旅日記を読みかえしてみると、この数年の間に自分の転機があったことがわかる。カリフォルニアの大自然に囲まれて家族中心の暮らしをしていたかつてのわたし。けれど、8年振りで日本へ里帰りし、多くの人たちと出会いに導かれながらソロでも音楽活動をはじめ生活の基盤を得たことで、元パートナーとの間に未解決な問題を抱え続けていたことをやっと自覚し、その関係を手放すことにした。こんがらがった糸は、ゆるめてから時間をかけてほどいてゆくのがいいと思う。
『自分自身であることによって、本来の自分と本来のあなたが有機的に繋がってゆく。自分を制限してる枠組みから自由になって、本当に喜びある人生を自らの手で作りだそうよ。それは、そんなに難しいことじゃないよ』と、日本を出てカリフォルニアの広大な自然の中で出産し暮らした体験を話し、歌い呼びかけていたわたし自身が、実はまだまだ苦しみを抱えていた。今は、苦しみを手放した空白の後で、喜びが訪れて来ているのを不思議な気持ちで眺めている。
今年の3月に長野に自分の家を借り、子どもたちと再スタートを切った。新しい状況に立つことで、日々の展開は知らず知らず変化し続ける。新たな展開は、時として心の奥底まで揺り動かし、眠っていた過去の悲しみまで吹きださせつつ、喜びの入りこむ隙間を作ってくれている。その日その日に夢中だから後ろを振りかえっている間もない。その時その時の自分を生ききることで、次のステージに知らず知らず移行してゆくことがほんとに不思議でたまらない。自分でも知らない自分の心、自分でも知らない奇想天外な人生。きっとあなたもそうであろう心の深みで感じてることを、時々取りだして書いてみたいと思います。時空を越えてあなたと繋がってゆけますように。喜び溢れる人生をお互いに創造してゆけますように。(2003年10月23日)