2002年4月23日  オーストラリア・シドニー



 
 朝7時ころシドニー空港へ到着。飛行場からまだ会ったことのないアンソニー・マーティンさんへTEL.。28日にUnty church で歌うことになったために、シドニーに5泊することになり、宿泊できるところを紹介してほしいとUnty のミニスターにメールを送ったら、日本を出る直前にアンソニーから返事がきた。自分の家に泊まっていいけれど、迎えに行けないのでTaxi で職場まで来てください‥と。電話の小銭を作るために空港のカフェでコーヒーを飲む。オーストラリアドルは米ドルより、円を交換したらたくさんになるけど、コーヒー一杯3ドルは高いなあ。アメリカでは1ドルくらいだもん。ホワイトコーヒーって、カフェオーレのことなんだ!なんて感心しながらひと息入れる。

 Taxi で向かったのは、セントラル駅そばのDental Hospital 。マーティンさんは初老の歯医者さんだった。彼のオフィスに荷物を預け、マーティンさんがアレンジしてくれた観光コースへ家族で出かける。電車と観光フェリーを乗りついでタロンガ動物園へ。平日だというのに家族連れで賑わっている。オーストラリアは秋だと聞いていたけれど、陽ざしが強く暑かった。飛行機でちゃんと眠れてなかったので、アシカのショーを見ているうちに、くらくらしてくる。“どっかで昼寝しないと倒れちゃうよ。”と芝生の上でちょっと眠る。八星もまたたく間に私の隣で熟睡していた。コアラはやっぱり可愛かった。木のてっぺんの方で、ぬいぐるみみたいに足をなげ出して昼寝しているんだよ。丘の上からロープウェイでフェリー乗り場へ戻り、海のむこうに見えるオペラハウスや高層ビル、住宅地をながめつつ帰路につく。大都会のそばの海がまだまだ美しいことや、シドニーの街が緑豊かなことが驚きだった。

 仕事を終えたアンソニーと夕食に、ジャパニーズ&コリアンレストランへ。見知らぬ私たちに宿を提供してくれるばかりか、食事もごちそうしてくださった。どうしてだろう?と彼のふところの大きさを感じる。夜はアボリジニーの実話を構成した映画「ラビットプルーフフェンス」を見に行く。実は私も和生も子ども達も、座ったら眠ってしまう程に疲れていたのだが、初老のアンソニーの若々しい提案に、せっかくだから楽しもう!という気になる。彼はたいへん親切だがおしつけがましくなく、緊張のない不思議な人だ。アンソニーの言ったように、この映画を見たおかげでオーストラリアの目には映りにくい実情がわかって、胸が痛くなった。この大都会、文明は、土着のアボリジニーの人々を迫害し、追いやって成り立ってきたのだ。夜は体力を使い果たしてよく眠れた。


 4月24日(木) 私たちに二部屋も寝室があてがわれ、朝目覚めた時、しばしひとり瞑想の時間にひたれた。日本の数人の友人へあふれてくる愛を送る。いい天気なので、さっそく洗濯させてもらい、FRANGIPANNI という名の香り高い白い花を咲かせてる木や、パッションフルーツの実っている庭に洗濯ものを干す。洗濯干しがメリーゴーランドのようにまわるようになってるのに、なんだか感動。片側が乾いたら洗濯干しをまわせば反対側もすぐ乾くんだね。

 伊豆大島へ行った時、友人がオーストラリアのシドニーに住むFelicity の住所を教えてくれていた。日本での彼女がやっているターラの舞いのワークショップや、まんだらワークショップの話を聞いていたので、会いたいと思っていた。トニー(アンソニーの愛称)が、「訪ねてみようよ! 海の近くでとってもいい場所だよ。訪ねた後で海で泳いだらいいよ!」と、またもやポジティブな提案をしてくれた。電話番号を写しそびれてしまったから、こうなったら直接訪ねるしかない。

 彼女の住所を訪ねてみると、眠そうなフェリシティがゆかたを着て出てきてくれた。
「今朝、日本から帰ってきたばかりなの。今日はこれから友だちの誕生パーティーだから‥‥」と言いつつもしばらく話し込み、いい出会いができた。深い目をした味わいのある女性だった。

 フェリシティの家のすぐ近くに、海水を入れたナチュラルなプールがあり、まわりが海の岩場なので、あまちも八星も、貝やウニを探してたちまち遊びに夢中。私も泳げて幸せ。
 「どうしてこんなに都会に近いのにきれいなの?」とトニーに聞く。昔はトイレの水を海辺に流していたけれど、今ははるか沖へパイプで流しているからというのが彼の答えだったと思うのだけど、それでは根本的な解決になってないじゃん!とぞっとした。でも海辺にゴミが落ちてないし、せっけんの泡立ちもないのはどうして? 魚が泳いでるし。日本より意識が高いのだろうか?

 夕方、トニーの家の近くの店で食材を買う。やはり物価(食材)は安い。アメリカより少し安いぐらいだもの。(米ドルで考えても)トニーは、私がたくさんの米の中から素早く日本の米(短いやつ)を見つけだすことや、チャイニーズの麺を選ぶのを興味深そうに見ていた。夕食を食べながら、明日のプランを相談。私もカズも、ちょっと休みたい。日中はトニーの家でゆっくりし、トニーが仕事から帰ったら近くにあるというインドのグル、グルマイのアシュラムへ行くことに決定。

 トニーはインドのサイババのもとへ4回ほど訪れていて、たくさんの不思議を経験している。次から次へと話されるそれらの話は興味深く、彼の心の若さの由来をそのへんに感じ取れた。明後日は、彼の甥がなぜか初めて彼の家を訪ねてくる。ミュージシャンでオーストラリア全土に、オリジナルの歌を歌って旅して生活している40才くらいの男性らしい。オーストラリアの音楽事情がきっと彼からわかるだろう。出会いが楽しみだ。

 これを書いて寝ようかと思ってたら、トニーが川へ泳ぎに行くというのでついて行った。月夜の明かりで泳いだよ。ほんとにステキな夜だった。