2003年8月21日 札幌




昨日はまるで、焦点合わせのために与えられた予定外の1日だった。一人で自分を見つめる時間のないまま、幸せに怒涛のように過ぎていった日々(山陰関西ツアー、自宅レコーディング、お祭りツアー、再び自宅レコーディングと妹や友人たちの来訪)から、一人でコンサートツアーするために自分ひとりに戻るための予定外の時間。
 早朝、羽田から札幌に飛び立った飛行機が予定の10時半に着陸した。睡眠不足のため眠りの中で「もう少し、眠っていたかったのに。」と強く思う。すると「エンジントラブルが早急に直せるか調べますのでお待ちください。場合によっては飛行機を乗り換えていただくことになります。」と機内アナウンス。どうやら、札幌には着かなかったみたい。急いで札幌で待っていてくれてるオーがニックカフェ青い空に電話。「ところで、どこにいるの。」と聞かれて、「それがわかんないんだよね。」と笑う。コンサートは夜だから、余裕。自分が羽田に戻っていたことを確認して、札幌でランチを一緒にする約束をしていた友人に遅れることを連絡。ふたたび飛行機が飛んだのが12時半で、4時間もの遅れとなった。3時頃札幌で友人たちに会い、お茶してからオーガニックカフェ青い空へ。もうコンサートの時間。でも、お客さんが数人しかいないんだよね。昨年は準備期間1週間で随分人を集めてくれたし、今回は準備期間が充分あったから心配していなかったのだけれど。
 数日前に7万人規模の大イベントに出店したばかりで、相当疲れていた上に、タイミング的に集客するエネルギーが湧かなかったようで、30分遅れで数人の聞き手に近くに寄っていただいてコンサートを始めた。選曲した歌を書きだした紙がなぜか見当たらなくて、心赴くままに話しつつその場で歌を選んで歌う。シンガーの友人が「ライブの時、うまく歌える時と、ちっともうまくいかない時があるんだよ。」と言ってたことを思いだし注意深くライブの流れと聞き手のエネルギーを感じてみた。
 昨年の9月、北海道をコンサートツアーした時、聞き手の中に自分の歌を知ってる人がほとんどいない状況で歌うのはエネルギーが必要だと感じた。最初から楽しみで、歌の流れに身を委ねてくれる心の準備のある人がいると歌い易い。みんなが初めての場合、聞き手にも歌い手にもどこか緊張感と抵抗感があるので、そこから緊張を溶き、融和していくプロセスを自ら作ってゆくことが大切になる。
 コンサートでも、人との出会いでも、日常でもみな同じ。自分の心の中心と全体の流れを感じ取り、無理なく、でも時には大胆に進めていくことで、聞き手が歌をサポートしてくれる細やか融和した世界にプラスして未知の領域へ身を委ねていく空気が産まれてくる。

飛行機で過ごした3時間、空港ですごした2時間、小人数のライブが、自分の中心と全体の流れを汲み取るいい時間となりました。今日はニセコへ。ライドも得られ、夜にはコンサート。

ツアーに出る直前、隣の守屋さんからいただいたカリフラワーとキャベツの苗を植えて来た。81才の守屋さんがこの頃たびたび口にする「いないと寂しい。」という言葉が胸にある。山室のカリフラワーも守屋さんも元気かな。9月7日には村の運動会のお手伝いをするよ。