カズからの手紙


〈その11〉

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初めての採蜜

今までにも何度か紹介してきましたが、我が家に三年前から同居している野生の日本ミツバチ(Apis cerana japonica=養蜂家の使う西洋蜂とは別種)の採蜜の話です。パックナンバーの分蜂の話などと合わせて読んでもらうと蜂の方から誘ってきて共存するようになったこととか、色々な流れが良く見えるかと思います。昨春に分蜂(巣分れ)して巣が二つになったので、昨秋初めて蜜を絞っていただく事になりました。通常では巣箱には使わない大きな樽に営巣した我が家の蜂の巣はずっしりと重かった。

巣の入った樽をさかさにしたところ。(3斗樽)
3年目の巣はかなり特大だった。

ネット付帽子をかぶり煙で蜂の巣の入った
樽をいぶす松尾君

近所に住む陶芸家で友人の松尾君に頼んで手伝ってもらうことになりました。とりあえず蜂さされ防止ネットの付いた帽子は一つしかなかったので、松尾君に使ってもらい、僕は無防備ですることになりました。二人共まるで採蜜の経験の無いど素人で、情報として、巣箱をひっくり返し、そこへ同じサイズの巣箱の口を合わせ、巣の入った方をたたくと、蜂が空の箱の方へ移動するということを経験者から聞いてしっていただけだった。それでまずはどうしたものかを蜂に聞いてみた。僕は本や経験者の話などから勉強もするが、基本的に一番大切な事などはいつも直接蜂に聞くことにしている。はっきりと声に出して質問すると、野生はいつも答えてくれる。僕の場合はインスピレーションやビジョンあるいはメッセージドリームによって答えをもらうけど、今回は“一度煙をたいてから、腹いっぱい蜜を吸って移動させて欲しい”ということだった。彼らは煙が来ると山火事と思い、数万の群れがとりあえず腹いっぱい吸えるだけ蜜をかかえて安全な場所へ移動し、新しい巣を作ろうとする。通常は蜂ごと全部殺してしまい、そっくり蜜をいただくのだが、それではあまりにかわいそうだということで、最近、蜂は殺さずに別な巣箱へ移動させ、砂糖水で養い、春の花の時期まで越冬させる方法を研究している人たちがいるので、それに習って試してみている。

バケツの上のザルの中で巣をつぶし蜜を絞る

一度ザルで絞った蜜をさらに目の細かいザルで漉して
小さな巣くずを除去する

さて、まずは青葉でも良く燃えて煙の出るヒノキ系の葉を炊いて、巣箱をいぶし、樽ごとひっくり返して別な同サイズの樽とくっつけて、たたいてみるのだが、素人なのでガンガンにたたいてしまった。後で専門家に聞くと、ほんの軽くトントンとたたかないと蜂が萎縮してしまい、かえって動かなくなるとのことだった。それでもうほとんど蜂が動かないので、しかたなく樽を持ち上げて、下に空の樽を置いて、ほうきで蜂をザラザラとはき落とした。こんなことしてよく刺されなかったなと思うけど、最初に煙を炊いて蜜を吸わせた事が幸いした。
彼らは腹いっぱいになると全然気が立たなくなって、おっとりとしてまるで攻撃しようとしないのだ。この事は春の巣分かれの時に彼らが自分で次の巣作りに必要なエネルギーとして腹いっぱい蜜を吸って出てくることを体験していたので解っていた。あの時も万の蜂の群れを直接手で触っても、全然攻撃されなかったのだ。
とりあえず女王蜂を中心とした大半の群れを別な樽に納めてから、元巣のあった場所へもどしてやると、空中にワンワン舞っていた残りの群れも女王様を追いかけてあっという間に空の樽の中へほぼ全員移動してしまった。その間、二人共まるで蜂達の怒りは感じなかったし、もちろん刺されもしなかった。
大きな樽の中は写真のようにかなり立派な巣が入っていて、陽あたりの良い暖かい縁側で、バケツの上にザルをのせて、その上で巣をつぶし蜜を絞るのだが、何と5升(約9リットル)の蜜が採れた。通常多くても3升くらいなので、これはかなり驚きの量のようです。

蜜を採った後の蜂達を綿と巣くずにしみ込ませた
砂糖水で養っているところ

採蜜後,1ヶ月もすると蜂達はもうすでにこんなに
越冬用の巣を復活させて蜜をため込んでいる

さっそく1升くらいは蜂に返してあげると、あっという間に吸ってしまった。その後、1升の水に3kg弱の砂糖を溶かし、それに蜜を絞った後の巣くずをまぜて、岩塩をちょっと入れて綿にしみ込ませてあげると、4〜5日で1升飲み干した。1ヶ月ほどすると写真のようにまた立派な巣を作って砂糖水から作った蜜をため込んでいる。その頃になると、もうあまり砂糖水も吸わなくなり、冬眠に近い状態に入った。このままうまく春の花が咲く頃まで生き延びてくれるようにと祈るように世話をした。1升の水に3kg弱の砂糖という濃度は、先人の研究者が色々やってみた結果、3kgを越える濃度では蜂が、理由は解らないけど、越冬できかったということだそうです。
僕はここ3年くらい野生の日本ミツバチ達に夢中だった。愛の深いワンネスの世界を数万の個体が一つになって生きている。神に近い存在として、僕の中ではとても偉大な存在だ。多くの癒しと成長のプロセスを授かっています。一口なめると身体いっぱいにシピラの百花の香りが輝き、そのまま人生が百花色に輝くように感じます。シピラの蜂の精霊に感謝します。
                                     Love 和生 ♪
 


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