パンフレット

自給する日本に向かって
WTO(世界貿易機関)にもの申す

河 千 田 健 郎

地球環境蘇生化実践協会 事務局長
レインボーパレード 理事長


 5月24日〜26日に6年振りに水俣市を訪れました。9回目の訪問です。水俣病患者で漁師の杉本栄子さんの話に涙が止まりませんでした。しかし今回私はもう一つ感激の涙を流しました。水俣市の市民と行政は水俣病を教訓にし、自然循環型社会作りへ力強く立ち上がっておられました。60年代〜80年代の水俣市には水俣病の健康被害とともに、もうひとつの悲劇がありました。それは加害者も被害者も同じ町に同居し、暮らしていたからです。市民は、患者や家族の悲惨な状況に同情し、道義的な憤りを感じる一方で、「チッソ」が潰れると自分は職を失うのではないか、自分の店は潰れるのではないかなどと思い惑い、「ではどうすればよいか」という判断を出来ないまま時を過ごしていたようでした。しかし90年代になり、特に吉井澄人市長になってからの水俣市は大きく大きく変わってきました。水俣病の悲劇を乗り越える新たな地域文化を形成し、いままでにない価値観に基づく地域作りが始まったのです。水俣病を体験した水俣市は環境がいかに大切であるか、健康を守るのがいかに困難なものか、努力を必要とするかを知りました。「環境と健康はすべてに優先する」という基本理念のもとに環境都市水俣市へ生まれ変わって来ています。今水俣市は、人間は自然の中の一員で、自然によって生かされているという考えに立ち、生と死の間を循環する動植物すべての命を尊敬し、天地自然と調和していく共生の思想で、二度と水俣の悲劇を繰り返さないよう広く内外に訴え続けております。私たちは今、ここから多くのことを学ぶ事が出来ます。人類自らが犯している地球環境破壊などの行為を防止する為、今私たちは大きく変わらねばなりません。経済優先の社会からいのちでつながる世界へ……。

 現在、世界貿易機関(WTO)の支配は非常に強力で経済のグローバリゼーションは自然界の生存の最大の脅威です。WTOのルールが、きれいな空気や新鮮な水といった要素の価値を考慮に入れていない為、地球上の森林資源が犠牲になっています。また森林だけでなく地球上の大気、気候変動、地球上の生物多様性の保全などにも深刻にかかわっています。WTOによる国際社会からのボイコットや排斥の脅威が最終的には威力を発揮して、多くの小国が外国の投資と、入国に対する境界を撤廃しました。農業では食糧生産の多様性や地域住民に供給するための主要作物への特化が犠牲になり、大量の化学薬品や機械の投与による輸出市場向け嗜好品生産の単一栽培方式にとってかわられています。この何世紀の間、農産物の貿易が小規模ながら行われてきたのは確かですが、基本的には家族農家が食料を自給自足する事で、地域内の食料を充足してきました。今でも世界中の人類の約半分は家族と地域の為に土地をたがやし、食料を生産しています。しかし事態は急変しています。地域で生産し地域で消費することに重きをおく自給自足のシステムから巨大なアグリビジネス企業が力を握り管理している工業化した多国籍農業システムに移行しつつあります。農民は自分たちが伝統的に培って来た土地を奪われ、飢餓が猛威を振るって地域社会は瀕死の状態です。南側の世界では、多国籍企業がかつてなく大規模の農場を経営しているため、主食となる農産物の生産をやめて輸出市場向けの嗜好品の単一栽培に切り替えています。そして全世界中で、農業の担い手を人から機械や化学肥料に切り替え、農民たちを土地なし、仕事なし、場合によってはホームレスにまで追いやってしまっているのです。
 グローバリゼーションの目指すところは、製品が地球上を何千キロも越えて行き来することであり、結果として輸送において空前の大気と海洋の汚染というかたちでの肝をつぶすような環境負荷を与え、エネルギー消費と化学燃料の排出を増大させ(気候変動を促進する)包装容器の利用を増大させ、道路、港、配管、ダム、空港などの社会資本の発展により環境問題をひきおこしているのです。

 文化の多様性もなくなりつつあります。世界中にあふれでている欧米文化の商品に支配された単一の生活様式に全ての国々がますます侵されており、人々はますます同じテレビと映画を観て、同じ服を着て、チェーン店の同じ食べ物を食べて、同じ消費観により行動するようになってきています。日本国内も同じパターンです。21世紀を目前にし、時代は大きな変革期を迎えております。私たちが生物の一種族としての人間であり、自然界の一部である、という明確な事実を直視するならば、私たちがどう生きるべきかという問題の鍵は自然界の中にあります。私は地球環境蘇生化実践協会の事務局長として善の科学技術者101名の方々と連携をとり合っています。101名の方は、日本の自然、日本文化の中にある日本人の民族文化の中にある本能は活力や直感、日本人が身体的に体得してきた永遠のいのち、この自然界を構成している空気、光、水、土、風などの中に神々しいものが存在すると感じる感覚から発明されたものです。つまり、宇宙意識自然の摂理にそった科学で、無限に誰にでも手に入る無限資源を資源として、地球環境を破壊しない、また破壊された地球環境を蘇生させるのが善の科学技術群です。いのちの祭り2000でもいくつかをお見せする予定です。

 いのちの祭りでの新たな試み、各地域でのコミュニティ作りなど大変楽しみにしております。私としては、次の点について皆様と一緒にじっくり話し合えたらいいなと思っています。

○WTO問題にNGOとしてどう対応していくのか。
○いのちを大切にし、自然と生きる若者、市民、企業、自治体をどうしたら作り出せるのか。
○21世紀、人々が元気に楽しく暮らせる自然循環型社会はどうしたら作り出せるのか。
○環境重視、循環型社会作りの企(起)業集団をどう育てていけるのか。
○文化の再生、芸能や祭り、歴史的資源を生かした地域社会をどう作り出せるのか。



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