コンサートツアー2002に寄せて
92年に最初の子を産むために訪ねたカリフォルニアはエルクバレー、標高1000Mの静かな山の丸い木の家にわたしたち家族は9年暮らしている。2000年秋からわたしたちは日本へコンサートの旅にでるようになった。わたしと和生のもともといた世界に、山で生まれたこども達と歌をつれて。
こどもたちは未知の地を数ヶ月間、旅ができるくらいに育っていたが、育ったのはこども達ばかりではない。わたし自身も変化していた。というより本来のわたしが現れてきていたという方が正確だろう。自分たちの直感だけをたよりに、幼いこどもたちを育てながら広大な山にすっぽりくるまれて暮らし、山のふもとのカリフォルニアの田舎町から歌い出してきた。そんな暮らしの繰り返しがわたしをこの地球に根付かせた。
日本とアメリカをコンサートのため行き来するこの頃、距離は問題ではなくなってきた。この地球のいたるところに魂の兄弟たちが暮らしている。今まで彼らを知らなかったのが不思議なくらいだ。わたしの本来の仕事はなんだろう?とこのごろ考える。自分の喜びとすることを人々と分かち合いたいと思う。歌うことで出会い、出会いの中から新しい歌をいただく。歌はわたしの中に生きる森や水や風、家族や友達、そしてわたし自身に捧げるためにやってきている。
今回のツアーでは日本を歌いながら旅することで、魂の家族たちとさらに深く出会いたい。わたしたち4人家族が旅の中でさらに育ってゆけますように。ひとつらなりのいのちを繋いでゆけますように。 吉本有里