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虹の村から【8月5日】(Daily Gaia No.3)

8月5日。虹の村には、昨日とは明らかに違う空気が流れています。恵みと浄化をもたらす激しい夕立の度に、エネルギーが混ぜ合わされるような感じ。クリアな光の中に漂う周囲の自然の香りに、思わず人々の表情も和らぎます。何があっても、何事もなかったように昇る朝日に、感謝。今日の大きなテーマの一つは「地域通貨」。簡単に定義すると、特定のコミュニティー内のメンバー同士がサービスや物を交換する時に使う利子のつかないお金。こんな説明だけでは、「?」ですよね。祭り期間中、虹の村には、地域通貨を実践している人々、興味のある人々が大勢来ています。初めて「地域通貨」という言葉を耳にする人も、安心して質問しに来てください。お金って何だろう?、豊かさって何だろう?…ゆっくりじっくり、一緒に考えて直してみませんか。

フォーラム「地域通貨と共生のコミュニティー」
第一部 「日本人の無知こそほとんど唯一の“希望”」田所康雄さん

 「お金がないと生きられない」という人類が設定した一種の決め事から、「お金だけでは生きられない」という宇宙のシンプルな真実へ。この意識の変革こそが、社会を変えていきます。それには、ただ心の底から気が付くだけでいい。多くの人々がまだその気づきを体験していない日本。それは、その分大きな変化への可能性もあるということを意味しています。お金を求めて真っ正直に経済発展を遂げた日本社会。ある意味、ウブな国民性。人工密度も高く、情報伝達もかなり素早い。つまり、気づきが一旦本格的に広がると、爆発的に情報が流れ、一挙に変革を遂げてしまう可能性があるのです。その典型的な例が明治維新。滞ったエネルギーの流れを開放して、「開国」しましょう。自分を開く。日本を開く。世界を開く。宇宙人への仲間入りをする時は、近づいています。狭い産道を通る時は、けっこうつらいものですが…。

第二部 
講演会「だれでもわかる地域通貨入門」あべよしひろさん

 まずは、現在の貨幣制度に仕組まれた「利子」というトリックを体感するゲームから。「いんちき銀行券千円」を一人10枚ずつ配り(融資)、一人一人好きな商売をやっているという想定の下、取引ゲームを行います(いわゆるお店ごっこ)。時間がきたところで、「いんちき銀行」に利子千円をつけて返済。ここで返済できない「破産者」が出ます。2回目の取引の後では、さらに千円を付加して返済しなくてはいけません。ゲームから脱落する「破産者」が増えきったところでゲームオーバー。次に、地域通貨「レッツ」を使ったゲーム。「人のために何ができるのか」「自分は何を望んでいるのか」を、自ら考えて記入した一覧を基に、ニーズが一致する人同士でお互いの通帳にプラスとマイナスの数字を相談して記入します。例えば、お掃除してほしい人の通帳にはマイナス〇〇、お掃除してあげたい人の通帳にはプラス〇〇。取引が成立して、「ありがとう」と握手を交わす参加者の笑顔。お金の本来の役割は、お互いを支えあうことで人と人とをつなぐ道具です。そして、人と人のつながりの先には、コミュニティーがあります。競争・自由・匿名性・成長・孤独などを促す「陽経済(円やドル)」、連帯・自律・情報公開・安定などを促す「陰経済(地域通貨)」。拡散していく経済と収縮していく経済。どちらが良い・悪いというものではありません。大切なことは、この両者のバランスをとりながら、自分で意識的に貨幣制度を選択することなのです。

第二部
座談会「人間中心の金融・経済システムを語る」森野栄一さん

お金が欲しい。でもお金がない。これが、お金が力(利子)を持ち始めた原因です。日本国民全員が一度に銀行からお金を降ろしに行っても、実際にはそんな大量のお金はどこにもありません。日本人の個人貯蓄はかなりの高額かもしれませんが、国は国民に対してそれを帳消しにしてしまうほどの大金を借金しています。結局、私達はお金を本当に所有してはいないのです。電子取引上の数字としてのお金。そこから1秒毎に生み出される多額の利息にふりまわされる人間達。お金の力は止まるところを知らず、人間の願望から生まれた貨幣システムはもう人間にはコントロールできないところまで肥大化してしまいました。では、なぜ私達はそんなシステムを作ってしまったのでしょうか。人間は、いつか死にます。いつまでたっても腐らず老化しないお金に対して、人間は無意識のうちに不老不死の夢を託していたのです。自分の力を将来にとっておくためのツールとして、老後に備えてお金を蓄えることが常識のようになっている不安に満ちた現代社会。余剰なものや必要なものを、必要な人々へと運ぶ道・運搬手段であったお金は、本来の役割を見失い、今は完全に滞っています。しかも、地球や人々から多くのものを搾取しながら。私達の社会はどこに行くのでしょう。今こそ、原点を思い出す時なのです。

第二部
シンポジウム「実践者が語る、地域通貨の実際と展望」

「とにかく積極的に“使う”ことがおすすめですね。人にいっぱいお世話をしてもらっているマイナス長者になれるんですから。実際に地域通貨を使ってみてわかったのは、お金を使って実は人とエネルギーを交換しているんだという感覚です。エネルギーの流れと共にコミュニティー全体が進化していっているのでしょう」と、ある実践者。拍手。場を共有する人々の笑顔。「ありがとう、という思いが日常生活の中で流れていく。それが、いいんですよね」と、ある参加者。突然の激しい夕立に、手作りの竹製シンポドームに雨音が響きます。でも、雨音と共に響き合う人々の思いは、とても温か。「あっ、三日月が出てる!」。いつもまにか雨も止み、美しく日が暮れていきます。

第三部
「ひと・自然・いのち・繋がるということ 共生のコミュニティーをさぐるリレートーク」
アース・スチュワード・インスティテュート代表のダグラス・ファーさんの自然との調和をテーマにしたお話で静かな夜の対話がスタートしました。もう、ここまでくると、説明の域を超えています。どうか、みなさんが、この波を感じることができますうように。

★★★★★★

夜、GOCOOの音楽が始まりました。本当にすいません。このことを表現できる言葉を私は知りません。でも、きっと、何かが出てくると思います。いえ、もう出ています。出して、出して、出して、出して、出して、出して。自分が透明になるまで、出して…。

*地域通貨に興味のある方は、虹の村の地域通貨専門ブースへお気軽にお越し下さい。