カズからの手紙


〈その23〉

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久々のファミリー報告です

 長野県の入笠山の廃村シピラから、愛媛県の久万高原、槙谷に移住して約10ヶ月がたちました。札所45番、岩屋寺への遍路道に在る我が家は、シピラというアイヌ語の意味そのものの地形になっています。アイヌ語に固有名詞はありませんから、ここのように谷あいの開けた斜面の地形を意味するようです。萱野茂さんのアイヌ語辞典によると、シピ=蘇生する ラ=下の方、低いところ シピラサ=開く となっています。そんなわけで、これからも「シピラ通信」というタイトルのままでいこうと思います。よろしくお願いします。
 さて畑作業も忙しい時期になり、ミツバチの分蜂も始まる頃、今春から地元の日本ミツバチを誘い込もうと巣箱がけもしました。

庭のミツバチの巣がけ
庭で遊ぶ鶏たち。真ん中の小さな小屋が鶏小屋

 冬から中ビナで飼い始めた地鶏(オンドリ2羽、メンドリ6羽)も4月1日から初卵を産み始め、1週間後には産卵率5割に達しています。

 今年のうれしいニュースがもう一つ、新しいすてきな出会いで余田さんというファミリーから共同の米作りを誘われて、苗作りがスタートしました。すぐ横に廃神社があり、その裏にさらに古い時代のイワクラがありました。
 そして、そこで共に祈るところからのスタートとなり、とてもありがたい流れとなっています。昨秋からこちらに来て、一緒に住み始めた次男の八星が作業の力となってくれます。農業高校を中退して来たのですが、学校では学べないことをたくさん学んでいます。納屋を改築して、自分の部屋を作るという、初体験も僕の廃屋再建の経験が良きアドバイザーとなり、かなりの集中力で学び、とりあえず自分が寝起きするスペースは自分で確保しました。ようやくギターも本気で練習するようになり、僕の感性を伝えています。山の水を引き、薪で暖をとり、風呂を沸かし、飯を作る暮らし。食料をなるべく自給しようとする暮らしから学ぶことは、どれも生きていく上で、そして地球の上で本当に自立して行く上で大切なことばかりです。
 三男の一新は2年生になり、同級生3人という小学校生活を楽しく元気に過ごしています。時々学校の他に良き学びの場になるなと思われる時は、学校を休ませて親と同行させることもありますが、学校側もこちらのライフスタイルなども含めて理解があり、うまく流れています。

八星。納屋の改築でロフトを作っているところ。左ひじの所に小さな玉響(たまゆら)が寄りそっています。 一新。自宅出産以来、一度も病院へ行ったこともなく、元気に育っています。TVを見ないので、良く絵を描きます。

 長男の天地は昨年の春に農業高校を卒業してから、縁あって「うさと」というオリジナルなファッションメーカーからスカウトされて就職し、京都で自立して暮らし始めてから2年目に入りました。高校の3年間はパートナーの史江共々想い出深い日々となりました。中学時代からバスケットに熱中した彼は本当にすごい集中力で練習しました。“僕は人より特別運動能力があるわけではないから、人よりたくさん練習しないとうまくなれないから”と言って、とても楽しんでいたし、キャプテンにまでなりました。高一の時はシピラから伊那の街の学校まで往復2時間の道のりを土日も休みなしで毎日僕か、僕がツアーでいない時には史江が送り迎えしてくれました。その間に天地とたくさん会話する時間が持てたことは良かったと思いますが、その手間と車の燃料消費はかなりだったので、2年生からは学校の近くにアパートを借りて通うことになりました。食事や生活の世話で週に3回くらいは行って、時には泊まったりしながらの2年間にはたくさんの想い出と物語があります。僕がツアーに出て皆さんに歌声を届けることができたのも、史江のおかげだし、彼女と子供らの間にはゆるぎない愛が育ったと思います。

 京都に住む天地の部屋は都会的なアパートですが、部屋のデコレーションは流木だったり古びた板きれだったり、石ころやドライフラワー、鉢植えの植物などで、やはり小さい頃から自然の中で育った感性が、きっとそうさせるのだろうなと感じました。こちらへ遊びに来た時には、街でも遊びましたが、一緒に河原で流木拾いをした時が一番の盛り上がりで、京都の部屋へたくさん持って帰りました。
さて僕は、古民家の再生もほぼできて、この春から音楽活動の方も忙しくなってきます。実は徳島の剣山系の方で、風力発電の事業計画が始まり、剣山系の神山に住む友人達からSOSが入り、長野での経験から協力することになりました。

シピラ通信の始まりの頃に、薪作りのシーンで小学生時代の天地の写真が出ていますが、8年以上過ぎてこんなになりました。

 それで、東京から原発や自然再生エネルギーと称するプロジェクトの実情に詳しい山田征さんに急きょ現地に来てもらい、4/10〜12の間に徳島県内で3回の講演会を僕のライブとジョイントで行い、大きな反響を得ました。まだまだ少数派の集まりではありますが、皆に本当のことを知ってもらう良いチャンスとなり、今自分達にできる範囲での種子まきができたと思います。長野の入笠山での「白いアナグマの祭り」のスタッフ達が徳島にはたくさんいるので、今回も彼らが大きな力となり、流れを作ってくれました。僕と征さんとはもう20年以上のつきあいとなりますが、74才になる征さんから今回もたくさんパワーをいただきました。近いうちにまた四国全体を共にツアーする計画です。さしあたり征さんからの貴重な情報はアマナクニを通じても得ることができます。動画もあるのでアクセスしてみて下さい。目からウロコが落ちるような話がたくさんあります。是非チェックすることをお勧めします。

■Youtube 20120410 山田征さん at ナマステゲストハウス
 http://www.youtube.com/watch?v=FPsrEI7xVmM
■Youtube 20120410 大村和生「まわるように」 at ナマステゲストハウス
 http://www.youtube.com/watch?v=unPNKNvMfc8

 僕自身のライブとしては、久万高原町、地元の青年部の依頼で移住後2度目の地元ミュージシャン達とのジョイントイベントが4/29にあり、5/23には徳島の四国大学で音楽科の学生を中心に講義があります。(今までにテクニックを教えてくれる人はいたけど、生き方を教えてくれる人はいないということで、その辺にフォーカスすることになります)

また当日夜には大学内の音楽ホールでソロライブをすることになりました。この企画は『13本のドキュメント映画』をボランティアで作る会とのジョイントから生まれたもので、僕自身その内の1本の映画の監督を務める事になっています。テーマは「それぞれのワクワクドキドキの世界」ということで、僕は天・地・人の三位一体を目ざした国生みから国創りの小さなヒナ型を生活と活動から紹介するつもりです。(http://nono-chan.info に興味のある方はアクセスできます)
この春は、畑、水田、ミツバチ等の作業に追われながらも活動が盛んになりそうです。長野〜関東〜北海道へのツアーの話が進んでいます。またお便りします。どこかでお会いできることを楽しみに。    LOVE 和