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毎日新聞に応援のメールを出そう

“東海地震震源域の浜岡原発「老朽」2基、廃炉すべきだ”

の論説記事を載せた毎日新聞に中部電力が圧力


大鹿の河本です。

 毎日新聞の5月1日の「記者の目」に、 “東海地震震源域の浜岡原発 「老朽」
2基、廃炉すべきだ”という論説記事が載ったことをお知らせしました。
http://www.mainichi.co.jp/eye/kishanome/200205/01.html

 それに対して、中部電力は、東京本社編集局長あてに抗議文を送るとともに、抗議
文をホームページに載せました。原発の停止を求めることは偏った記事であると言わ
んばかりの強圧的な内容です。
http://www.chuden.co.jp/press/saisin2002/fr_pre0503.html

 毎日新聞に応援のメールを出しましょう。
kishanome@mbx.mainichi.co.jp
(「記者の目」欄のメールアドレスです。

以下は、私が送った応援メールの例です。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

毎日新聞社東京本社編集局長 殿
掛川通信部 中村牧生記者 殿

 私は、長野県内の地質系博物館に学芸員として勤務しております、河本と申しま
す。
 貴紙5月1日付け「記者の目『東海地震震源域の浜岡原発』」を拝見し、ようやく
マスメディアでも正論が述べられるようになったと拍手喝采しておりました。

 ところが、中部電力ホームページに、中部電力から貴紙への抗議文が掲載されまし
た。それを見ますと、「原子力発電所の運転に対して反対の立場で書かれたものであ
ると判断せざるを得ず(中部電力ホームページ引用)」として、推進の立場でなけれ
ば公正中立ではないかのように強弁しております。推進・反対の様々な考えがあるこ
とは当然であります。貴紙の中村記者殿が、中立公正な目で取材された結果、老朽化
と耐震性の両面において浜岡原子力発電所の運転継続が適当でないと判断され、記者
の意見表明の場である『記者の目』欄でそれを述べたことにたいし、原子力発電所運
転停止を求めること自体が許されないとする中部電力の主張は、まさに言論そのもの
を封じ込めようとするきわめて危険な主張であります。
 また、「当社の事業活動推進に大きな障害となる(中部電力ホームページ引用)」
として、企業活動を批判することは認めないと言わんばかりです。企業の活動といえ
ども人命や環境に重大な危害を加えるものならば、その企業活動に制限を加える意見
を述べることは当然であり、むしろ義務があるとさえ言えるでしょう。とりわけ東海
地震による被害に大規模な放射能放出が重なるならば、その影響は静岡県一県が失わ
れるのみならず、広く中央日本全体におよび、経済も立ち直り不能な打撃を受け、国
家存亡の危機に至ると思われます。また原子力発電所の事故は中部電力自身にも大き
な損失を与えるのであり、中部電力の健全な経営にたいしても原発からの撤退は賢明
なアドバイスであると思います。少なくとも当該記事において、中部電力の企業活動
を妨害しようというような悪意はまったく読み取ることができません。原子力発電と
いう事業活動を推進することが批判の対象になっているのであり、その事業の推進に
とって障害になることは当然であります。事業の推進に影響しないような意見以外の
表明を認めないというのであれば、だれが誤りを正せるでしょうか。

 そこで、抗議の理由とされる「事実の歪曲(中部電力)」があるでしょうか。私に
はそのように見えません。むしろ中部電力こそ、言葉のアヤをもてあそび、白を黒と
言いくるめているように思えます。

 中部電力は、「「老朽化」についてですが、この言葉はしばしば「高経年化」とい
う言葉と混同されています。(中部電力ホームページ引用)」と述べています。
 「設備や機器は使用に伴い劣化することがあり(中部電力)」と言っていますが、
程度は別にして劣化しない機器はありません。「適切な維持管理(中部電力)」を行
うことはあたりまえで、何も言っていないのと同じです。
 本来は劣化がなければ必要がない水素や白金触媒の注入も、適切な維持管理と思っ
てやったのでしょう。しかし、わざわざ不適切な管理を行うことはない筈にもかかわ
らず、水素爆発が起こってみれば、結果としては、何らかの不適切な維持管理があっ
たことになります。また、水素や白金触媒の注入によっても応力腐食割れを防ぐこと
ができずに冷却水もれが起こっています。
 つまり、何が適切な維持管理なのか分からないほど、あるいは適切な管理によって
も防げないほど劣化が進んでいると言えます。これは老朽化以外のなにものでもない
でしょう。「適切な維持管理」が行えないにもかかわらず、「適切な維持管理を行え
ば・・・評価のために使用した30〜40年という期間を超えて運転を継続すること
も十分可能(中部電力)」というのは、詭弁でしかありません。

 また中部電力は、「マグニチュード8程度とされる東海地震はもとより敷地周辺に
もっとも大きな影響をおよぼしたマグニチュード8.4の安政東海地震、さらにはマ
グニチュード8.5の限界的な地震を考慮して行っており(中部電力)」ということ
を、いろいろな場面でくり返し述べています。
 マグニチュードは地下の震源断層から発生するエネルギーの大きさです。原子炉の
基盤を揺するのは、広く不均一な断層面のそれぞれの場所から放射され、原発サイト
に到達する地震波です。地下に断層面が広がる領域の中に位置する浜岡原発では、全
方位から地震波が到達しますから、ひじょうに複雑な揺れが1分以上続くと考えられ
ます。原子炉の耐震評価では、最大の揺れを考慮しなければなりません。
 仮に、いくら大きなマグニチュードを想定しても、原子炉基盤に入射する地震波の
見積もり方が誤っていれば、過小評価になります。石橋教授が指摘しているのは、現
実の地震は複雑であり、中部電力が想定に用いている単純化された震源モデルでは、
原子炉基盤の揺れの最大値が過小評価になるということです。
 そもそも、その単純化された震源モデルは石橋教授自身がつくったものです。そし
て、そのモデルでは原子炉の耐震評価のために必要な、複雑な揺れを再現できないと
石橋教授は指適しています。複雑な揺れを再現できないのは、国の耐震設計審査指針
も同じです。
 つまり、じっさいの想定東海地震による原子炉基盤の揺れの最大値は、中部電力が
マグニチュード8.5の震源モデルから計算している揺れを大きく上回る可能性が高
いと指摘しています。
 にもかかわらず、「マグニチュード8.5の限界的な地震を考慮(中部電力)」し
ているから壊れないという主張を繰り返しているのは、なんら答えになっていないだ
けでなく、いかにも耐震性に余裕があるような錯覚を与えるものです。

 私は、世間一般よりも多少は震源断層についての知識があると思います。断層面の
広さと、ずれ方の不均一から、中部電力や国の想定を超えた強く複雑な揺れが原発サ
イトを襲う可能性が高いという石橋教授の指摘は、たいへんよく理解できます。
 一方、想定震源域の真上にありながら、絶対に壊れないと主張して運転を続ける中
部電力の姿は、自然をあなどっているとしか思えません。それを後押し、あるいは先
導する国も、自然をあなどっています。自分たちがやっていることの意味を理解して
いるとは思えません。それどころか、ことば使いで問題がないように見せかけ、貴社
のような指摘には強圧的な抗議で封じ込めようとしています。
 どうか圧力に屈することなく、正論を伝え続けてください。心から感謝し応援して
います。)


参考ページ

東海地震と浜岡原発(1)(以下4つは名前のない新聞に連載した記事=by河本

東海地震と浜岡原発(2)

東海地震と浜岡原発(3)

東海地震と浜岡原発(4)

浜岡原発を止める裁判の原告募集

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