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Terro in USA

カリフォルニアベイエリアより

ベイエリア通信 #1(9/23/01)
風砂子デアンジェリス


 あの衝撃の日から約一週間機能停止してしまい、やっと回復したわたしの
e-mailや電話やファックスで、日本から、「アメリカは、いまどうなっているの
?皆がブッシュ大統領を支持しているの?」という不安に満ちた問いが殺到して
います。それ以外のニュースは、日本のメディアには現れないんですね。湾岸戦
争の時も、サンスランシスコで2度も行われた、20万人の平和集会、その他の
さまざまな集まりなど、一切で報道されなかったものね。アメリカの報道協会
も、最近ジョン・レノンの「イマジン」を含む150曲の放送規制なども含め、
明らかな情報操作が行われています。この地域では、星条旗も殆ど見られない
し、KPFAという第一次大戦以来の視聴者経営のラジオ番組があって、そこからい
ろいろな情報が得られるのですが、地域のテレビ局は、完全にブッシュ路線支持
です。

 しかし、新聞の投稿欄や読者の声欄は、一般市民が実にはっきりとした分析と
発言をする、アメリカのすばらしさが一番現れるところです。

* はっきりした証拠もターゲットもないのに、急いで戦争に走ってはならな
い。
*なぜアメリカが憎まれるのか、これまでしてきた考えるべきだ。
*軍事力行使は、新たな憎しみと暴力を生むに過ぎない。
*安全保証の名のもとに、市民の自由が抑圧されることへの懸念

というような意見が、無条件のブッシュ支持よりは、ずっと多い。

 そしてブッシュ大統領の戦争準備が進む一方で、「戦争は答えではない」と主
張する動きも急速に広がっています。被災地ニューヨークのユニオン・スクエア
では、毎日のようにさまざまな集会がもたれ、なん千人という市民たちが集い、
意見を交換する一方で、モスレム・グループの集会計画が、警察署から脅迫を受
けるということも起こっています。
 ベイエリアの19日の集会では、「憎しみのない地区」宣言が提案されまし
た。

 9月20日は、全米学生運動の日で、36州150の大学で、武力行使計画に
反対する集会がもたれ、カリフォルニア大学バークレー校では、2千5百人の学
生が集まりました。衝突機のスチュワデスだったおばさんを亡くしたという22
才の学生が、「もしおばが生きていたら、彼女はきっといまぼくの隣に立って、
戦争でこれ以上犠牲者を出さないように、と訴えているだろう。」と語り、大き
な感動を呼びました。

 21日のKPFAラジオ「デモクラシー・ナウ」にも、夫と弟をそれぞれ亡くした
人の女性が登場し、「ブッシュ大統領の仕返しの軍事行動は、決して自分の愛す
る犠牲者が望むものではなく、わたしたちの悲しみを癒しはしない。」と訴え、
バークレーの他の被害者の両親も同様の訴えをするなど、深い悲しみのなかか
ら、平和への希望の声が、あがりはじめています。被害者の家族による平和への
願いは、ブッシュ大統領の「報復戦略」に対する、なによりも大切なくさびで
す。バークレー校の集会では、100人ほどの戦争支持グループが、星条旗をか
がげて「USA,USA」と叫んでいました。

 その日サンフランシスコの日本街でも、平和的解決を求めるデモンストレー
ションがありました。夜は、ベイエリアのさまざまな市民団体のメンバーや、
オークランド、バークレーの市会議員、アラメダ群議員など約200人が集ま
り、地域的なつながりのなかで、今後どのような活動をしていくべきか、熱気に
満ちた話し合いが行われました。「アメリカの武力行使でなく、国連と国際法廷
でテロリストを裁くべきだ。」という基盤にたって、20代から70代の多様な
人種の参加者が、地域と国際社会への働きかけ、ネットワークの強化、国会でた
だひとり武力行使に反対した、バーバラ・リー下院議員へのサポート、アラブ系
の住民に対するいやがらせをどう止めるかなど、具体的な話し合いをしました。
ブッシュ大統領が提案する長期的なたたかいは、明確なターゲットがない、とい
う点でも、あらたなるベトナム戦争だ、という声もありました。それに対する長
期的な平和運動がいま始まった、という実感を皆が共有した会議でした。こんな
ときこそ、まわりのひとと会話を続け、自分自信の視点をはっきりもつことが、
行動のもっとも基本的なことだという発言もたくさんありました。

 16日に開かれた「地球の集まり」でも、それが強調されました。日々刻々と
あらたなニュースがながれ、大スピードで状況が変り、戦争準備が進んでいると
き、真実が何かを見極め、自分の考えをはっきり持つこと、それを発言すること
は、とてもむづかしいことです。でも沈黙は、おおきな波への参加です。情報や
知識や意見を分かち合い、自分の意見をはっきりもつことが、いかに大切かが、
確認されました。

 これからも大小さまざまな行動やイベントが予定されています。9月29日に
は、ワシントンDC、ニューヨーク、ロスアンジェルス、サンフランシスコなどで
「人種差別と暴力に反対する大集会」が行われます。(参照:www.actionsf.org)
日本のメディアには決してのらない情報を、できるだけお伝えしたいと思いま
す。E-MAIL を使っていない人たちにも、伝えて頂ければ幸いです。

 日本では小泉首相が、憲法第9条を変えることなく、自衛隊派兵を可能にす
る、新らしい法律を作ろうとしているそうですが、そして25日には、小泉首相
が、ブッシュ大統領と会談をするというニュースが今入りましたが、日本の軍事
行動参加は、現在の世界の緊張をさらに深めるばかりでなく、アメリカが過去1
0年間に深めてきた、国際社会での孤立状態を思うと、日本にとっても、非常に
危険なことだと思います。そのあとで日本に還ってくることを、首相ははっきり
見極めているのでしょうか?今回の事件の犠牲者の遺族の思いは、日本人があの
戦争体験から得た、貴重な反戦感情に通じるものです。湾岸戦争に出兵しなかっ
た日本を無責任と言っているのは、アメリカ政府だけであって、国連では、そん
な声は一切無かったそうです。日本のテレビをみていると、世界には日本とアメ
リカだけ、しかもアメリカの政府だけが存在しているかのような感じをこの夏体
験しましたが、わたしの知るかぎりのアメリカ人は、日本の憲法第9条と、日本
人の反戦感情をみなうらやましがります。

 今回の事件の被害者の家族が表明する、平和への願いと同様に、戦争体験から
得た日本人の「戦争ぎらい」の感情こそ本物です。いまこそそれを大声で主張
し、日本政府が海外派兵ではなく、平和手段のリーダーになることを決意をして
くれることを切に祈ります。

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