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Y2K--2000年までにしておくこと

       ハーモニクスライフセンター主宰 き く ち ゆ み

前号でも2000年問題についての記事を載せたが、その後急速に市民レベルでこの問題に対処しようという動きが活発になってきた。今回はその動きに中心的に関わっているきくちゆみさんに、個人の視点からどんな準備ができるかをまとめてもらった。(浜田)

鴨川山中の築200年の農家からこんにちは。私は昨年4月にここへ移り、自給のための農業を学び実践しています。山の中の小さい段々畑を合わせて一反、同じく小さい棚田6枚を合わせて2反ほど手伝わせて頂いています。もちろん農薬や化学肥料や農業機械に頼らない自然農法です。今年からこの場を「ハーモニクスライフセンター」として、自然療法を学びながら四季折々の自然食を楽しむセミナーを要請に応じて開催しています。最近は毎週末色々な方が訪ねてきます。
 さて、私は遅れ馳せながら「2000年問題」の日本への影響の大きさに気がついたひ
とりです。この問題で精力的に動いている中川一郎さんにお会いしたり、いろいろな本を読んだりして、「これはコンピューターだけの問題ではすまないぞ。下手したら日本人は生存の危機にさらされる」との認識に至りました。
 近頃の私はあらゆる機会を捉えてこの話をしますが、殆どの人はこの問題を知らないか、知っていても「コンピューターなんて自分には関係ない」とか「大した事ないだろう」と思っています。私自身もつい最近までそうでした。
 私の認識を変えてくれたのは、米国在住の友人たちと越知洋之・足立晋氏の著書「Y2
K最新最終事情」(三五館)でした。それでやっと、食糧の6割、化石燃料のほぼ100 %、殆ど全ての原材料を輸入し、製品を輸出して生きている日本の脆さは、他国の比じゃないと気づいたのです。国内の対策が万全でも、貿易相手国(第三世界や中東は対策が遅れている)に混乱が生じたら、たちまち影響を受けてしまう日本。その上事故があってはならない原発が狭い国土に53基、化学プラントの類は海岸線に沿って無数にあります。仮に、日本中の全てのプログラムの修正と問題チップの交換を年内に終了しても(専門家は不可能と断言)、2000年問題は日本人を直撃します。それは私たちが日々のいのちを支える食から煮炊きの燃料まで、海外に依存してきたからです。
 今ごろになって私は、一般の人々に正確な情報を伝える「Y2K市民ネット」を立ち上
げようと動き出しました。そして既にこの問題で活動している様々な人と会ったり、情報交換をするようになりました。日本ではまだまだ危機意識が薄いのですが、結構本は沢山出版されています。「2000年問題のほんとうの恐ろしさ」(深野一幸著、東京書籍)は、コンピューターを使ってはいても、中がどうなっているか全くわからない私のような人には、最適です。この問題を題材にした小説も沢山ありますが、ジェイソン・ケリー著「パニックY2K」(集英社文庫)はハリウッド映画のノリですが、この問題を地球規模で捉えるのに役立ちます。読んでみて下さい。
 でも、パニックは禁物。正確な情報を自分でつかみ、できるだけ多くの人々に伝えましょう。そして、たとえ何かが起こっても「予想通りのこと」と平静でいられるよう、今から2000年までに個人でできることを列挙します。できれば隣近所、町会レベルで一緒に準備を進められるといいですね。

田畑を借りて米や野菜や豆を育ててみよう(6月一杯田植えは間に合う)
今のうちに農地のあるところへ引越すか、せめて正月は田舎で過ごそう。原発からは遠いほど良い。都会の人はなるべく近くの農家へ週末援農に行くなどして、米や野菜の生産者と顔の見える関係を作ろう。生産者を誰も知らないなら、共同購入グループや生協などに加入して、2000年問題の勉強会を呼びかけよう。農地を持っている人は、例年より多く米、豆、芋、雑穀など保存の利くものを作付けよう。種はF1はやめて、自家採取できるものを探し、今年からは自家採取しよう。
食糧と水、生活必需品の備蓄を計画的に始めよう
 長期戦になる可能性もあるので、保存の利く乾物は強い味方。でも、何が起こっても「水と玄米とごま塩、味噌さえあれば生きていける」ということも知っておこう。白米は保存が利かないし、おかずがないと栄養失調になる。乾麺も全粒粉の国産品が良い。煮炊きの燃料は 貴重品になるから、うおつか仁之助の本を読んで保温調理を身につけよう。5分煮たら火を止めて、バスタオルで鍋ごと包めば 煮物でもスープでも美味しく栄養満点。日本の伝統食はどれも保存食ばかりでありがたい。梅干しや漬物、ジャムも大量に作ろうね。今のうち、断食や少食療法を経験しておくのも名案。
電気とガスがなくても暮らせる準備をしよう
 元旦に日本中が一斉に停電する可能性はそれほど高くない。しかし原油や液化天然ガスの生産停止と、日本の備蓄が切れる春以降の電気やガスの供給不足は十分有り得る。今から週末などにブレーカーを落として、電気とガスがない暮らしの予行練習をして、何が必要か準備しよう。燃料は練炭と七輪が煮炊と暖房が同時にできるので、お勧め。東北地方に多い豆炭を使ったこたつも暖かくて重宝。
余裕のある人は、ソーラーなど再生可能エネルギーシステムを導入しよう
 21世紀は再生可能エネルギーの時代。小型水力、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、コジェネ、廃棄物発電などが日本のエネルギー源に。「いつか別荘を」「退職したら農業でも」「そのうちソーラーを」なんて考えている人は、思い切って今年中にやろう!
正確な情報を友人と近所の人々に伝え、サポートグループを作ろう
 原発と核兵器、化学プラントにオイルタンカーなど環境と人命に壊滅的影響を与える事
故以外なら、私はある程度のことは起こってもいいと思っている。むしろ、ここまで暴走してしまった大量消費社会を抜本的に方向転換するのに、2000年問題はまたとないチャンス。もちろん、壊滅的影響を与えうる施設に関しては「疑わしきは止める」勇気が必要。果たして、日本の電力会社が原発を止めるだろうか。今の所、九電力とも声を揃えて「2000年問題対策は万全 」と言っており、止める可能性は皆無。私たちの一人一人の声を結集して、世論を動かし、国を動かさなくては。できるかな。でもやらなくっちゃね。
トイレをどうする?                               水と電気が止まれば、水洗トイレは使えなくなる。庭のある人は穴を掘って用を足せばいいが、庭がない人は?一番簡単なのはバケツを二個以上用意して、大と小を分ける(大と小は混ぜてはいけない)。小は流しても問題ないので流し、大には糠や枯れ葉を混ぜてふたをし発酵させ完熟したら、公園や土手など土のあるところに返す。この簡易コンポストトイレで何ヶ月も問題無く暮らしている家族を知っている。しかし都会では土があるところが限られているから、難しいかな。できれば、今のうちに少しでも土のある所へ引越してはいかが、と、ここでも1の提案をする。都会はトイレ問題が大変だよ。
病気をしたら? 自分の健康は自分で守ろう
 日本人は世界中から食料を買いあさって飽食をするのをやめれば、おそらく今よりずっ
と健康になる。繰り返すが、人間は水と玄米と塩、味噌、少しの野菜があれば健康に生きていける。それ以外の贅沢品(肉、乳製品、玉子、加工品、お菓子)の常食が、病気を作っているといってもいい。それでも病気になってしまった時のために、今から自然療法を勉強して身につけておこう。自分や子供が病気になっても自分で治す方法を知っているのと、そうでないのとでは、生きる安心感が違うよ。
ある程度の現金は今からたんす預金にし(銀行に入れても利子ないし)、年末に貯金通帳を記帳する。年末に一斉にみんなが引き出すと取り付け騒ぎになるからね。
物を大切にし、壊れても修理して一生使う習慣を今から身につけよう
10 年末にマイコン制御製品の電源を抜き、ガスの元栓を閉め、コンピューターの大切な情報はフロッピーデスクに保存し、1月1日はさわらない。
 今の日本人を含む先進国の人々の生活は環境を汚染しすぎるし、資源・エネルギー的に
持続不可能です。私たちが贅沢な暮らしができるのは、安い原料を第三世界から買って、高い製品を売って、たまたま貿易立国として世界第2位の経済大国に君臨できたから。エネルギーと食料が自給できない日本は、何か起こればすぐ生命の維持さえおぼつかない脆弱な国です。円が強いのも今年一杯かも。そのことを知った上で、今から21世紀はどんな日本を作っていくか、しっかりビジョンを持ちたいです。
 さあ、2000年まであとちょっと。何が起こるかわからないけど、対策の済んでない
コンピューターは確実に問題を起こします。まずは、ある程度のことは起こる覚悟をし
て、食べ物と水だけは準備しましょう。でも、この問題を上手く乗り越えることができたら、21世紀は地球と調和した社会が誕生する予感がしませんか。
 災害が起こったとき、いのちが危機に瀕しているとき、一番大切なのは人間と人間の深いつながりと、信頼関係です。日本の終戦後も、神戸の大震災のときも、人と人が助け合うことで、なんとか悲惨な状況の中を生き延びてきました。ただし、今回は世界同時に問題が起こるので、どこからも助けはきません。Y2Kを自分の問題として受け止め、準備をすることは、たとえ何も起こらなかったとしても、これからの人生に役に立つと思うのです。まずは今、隣にいる人(夫婦、家族、恋人、友人、ご近所)との絆を深めることから、始めませんか。


Y2Kについてのミーティング風景=99.5.6

集会のお知らせ

「Y2K市民フォーラム〜わたしたちの暮らしと2000年問題」

★日時=7月3日(土) pm1:30〜6:30 (その後、9時頃まで懇親会の予定) 

★会場=東京・文京区民センター3A=地下鉄・後楽園駅/JR水道橋駅すぐ 03-3814-6731

★基調講演「2000年問題最新情報(仮題)」=青柳武彦(国際大学グローコム教授)

★海外からの報告「世界の核兵器・原子力発電とY2K問題」=メアリー・オールソン(米国NIR     S原子力情報リソースサービス・Y2K担当)

★「サバイバルから共生へ」=中川一郎(米国・地球の集まり)

★事例報告 「行政への働きかけ」=交渉中

「子供と一緒にY2K対策」=鶴島夕子(エコママネット)

「Y2K関西情報センターの取り組み」=津村喬

「Y2Kに強いシンプルライフ」=きくちゆみ(JEAN)

★私のとりくみ、あなたの取り組み=

津田政明、河千田健郎、田中正直、大和永乗、他多数

★オカリナ演奏=堀田峰明

★総合司会=永野ゆきの

(上記内容には一部変更があるかもしれません)

★前売り¥1000/当日¥1500 

(前売り券は:現金書留で必要枚数分を同封し、住所氏名を明記して         〒192-0153 八王子市西寺片町1006-17 今村美佐子 まで) 

★問い合わせ=TEL. 03-3771-7681:夕方まで(伊藤)/0426-51-8775(今村)/
   0470-97-1422(きくち)

Y2Kお役立ち情報

* 水道水はもちろん、川の水や雨水でもミネラル飲料水に変える「夢風船」という装置をY2K対策用に販売しています。カタログを希望する方は160円分の切手を同封の上、〒295-0111 鴨川市仲1047 (株)モリタインターナショナルへ。
* 自然療法のセミナーのお問合わせは、ハーモニクスライフセンター(Tel. 0470-97-1011 Fax. 97-1215)まで。

*Y2Kに関してはインターネットで国内外の最新情報が入手できます。情報公開の進んでいるアメリカの情報が充実していて、お勧めのホームページはこの問題の第一人者のゲリー・ノースのhttp://www.garynorth.com/と、2000年問題の元祖と呼ばれるピーター・イェガーのhttp://www.year2000.com/ です。英語が苦手な人には足立晋氏のホームページhttp://www.y2kjapan.com/が良いでしょう。

No.95=1999年6・7月号

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