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とろんのPAI通信(2)

  『私は、クンユアム警察に署長として赴任してくるまでは、何の考えもなかった。1995年(平成七年)に赴任してから、いろいろクンユアムの人々の家に挨拶に回った。そうしたところ不思議なことにどの家にも宝物みたいにして、日本の兵隊さんのものを一つか二つ必ずもっていた。水筒、毛布、鉄帽、飯盒等。これが日本の兵隊さんの想い出の品ですよという。私はいろいろと聞いてみた。メーホンソンの昔を知る人は、むかし日本の兵隊さんがいっぱいクンユアムに来て、兵舎を作って4ー5年くらいここにすんでいたよといった。私は何もしらなかった。それから私はたくさんの本を読んだ。チェンマイの図書館、メーホンソンの図書館にいって第二次世界大戦のことをいろいろ勉強した。』『村人がだいたい分かっているのは、日本の兵隊が第二次世界大戦のときにタイに来て道を作ったということ。^メーマライから(パイ)への道。この道によって、チェンマイとメーホンソンがつながった。この道は日本軍がビルマにいく道で日本軍によって作られた。_メーホンソンの町からクンユラムへの道。特にメーマライから(パイ)への道は困難な道路建設でおおくの人々が死んだ。そのためタイ人は(白骨街道)とよんだ。』
 この文章は『第二次世界大戦でのクンユアムの人々の日本の兵隊さんの想い出』(クンユアム警察署長チェーチャイ、武田浩一訳、クンユアム戦争博物館発行)からの抜粋で、ボクにとってはドラマティックな出会いだった。
 タイの首都バンコクから夕日をみながら夜行寝台列車に乗れば、翌朝、日の出を拝みながらチェンマイに辿り着く。そして古都チェンマイからビルマとの国境の町メーホンソンまでは北回りと南回りがあって、南まわりで行くとクンユアムを通り、北回りで行くと、かわいいオレンジ色の小型バスに乗ってメーマライから山に入り4時間後に(パイ)に辿り着く。メーホンソンから南70キロに位置するクンユアムは(ブアトーン)というアブナイくらいのイエローな花が山一面に咲き乱れることで有名で、その時期(10月頃)にはタイ中からタイ人が観光しに来るので、ボクもその大きなひとのうねりに捲込まれ、昨年バイクで(観光)しに行ってきた。その時、あっ!!!とその出来立ての戦争博物館を発見したのだ。それまでのボクはなにもしらなかったのだから、こわいよね。そういえば、3年ちょっと前にチェンマイから初めて(パイ)にはいった時、山岳地帯から盆地に入ってパッ!!と空気が変わったと思ったら、川が流れていてコンクリートの橋があって、それに沿い並ぶ様にしてちいさな朽ちかけた鉄橋が眼に入ってきて(なんなんだろう??)ととまどった記憶がある。今から60年も前に初の(日本人たち)がどっと(パイ)に押し寄せた。それも国をバックにして道を作りながら紙幣を印刷しながら(武器)を片手に、だ。そしてその同じ道を60年後の今(日本人たち)がどっと押し寄せる勢いの日々。今度のは国の枠を外れた人たちが、昔、同じ日本人の作ったその道に乗っかって、トラベラーズチェックと楽器を片手に。兵隊サンたちが日本人の(パイ)訪問の(第一波)ならば、ボクら旅人たちは(第二波)なのだろう。この60年周期の(時代の変わり目)が(個人の変わり目)と相互作用しながら(なにか)を産み落とそうとしているのかもしれないな。いのち命イノチのかみさまの呼吸。(ムーンビレッジ)は今、田植え準備で忙しく、8月5日が田植えだ。(パイ)にやってきて沈没してしまった日本人、ファラン(西洋人)、タイ人の友達と一緒に一束ずつ、気を込めて植えていく。(第二波)の(結)だよね。助け合う(パイ)のひとたちの心は結び合っていて、その有機風景が美しい。
 最後に、最近(ムーンビレッジ)に辿り着いた(時代の最先端)をいくファミリーを紹介して『とろんのパイ通信』第二弾としよう。パパが「ふら」ママが「エバ」でスペイン人。子どもは12歳の「いっせい」君(スペイン産)を先頭に「まじゅ」君(日本産)「なたね」ちゃん(インド産)「みーや」ちゃん(ネパール産)の4人。ここに辿り着くまではネパールに1年以上いて、その前は多摩川の河原でテント生活を3年以上。「ふら」が昔一人でインドからスペインまで旅をして金が尽き果て路上で笛をふいていたら「エバ」が一目ぼれして始まったファミリー。ボクは彼とは20年前に国立の安アパートで出会っていて、ボクの本『まるだしのエクスタシー』にも登場してくる。(パイ)で再び一文無しになってしまった(時代の最先端)をゆく「ふらファミリー」が、どのようにして(活路)を切り開いてゆくのかが、今、ボクの最大の楽しみ。(ギセイ)は自然の(オキテ)。そしてすべての(ギセイ)を糧にして(カコ)を成仏させゆくのが(イノチ)。つらなる(たましい)の疼きを想いを(形)にしてゆくのがヒトの(いのち)。銃声を(歌声)に!社会力のアンタから(自分力)のアンタに!!愛とお金は天下の周りもの!!!
  MAY LOVE & MONEY
  GO ROUND ON EARTH !!!
とろんより愛をいっぱい!!!
(http://soul-love-fusion.com) 

(イラスト:なな)



No.126=2004年9・10月号

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