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とろんのPAI通信(1)

  「いのちは呼吸するもの震えるもの疼くもの。形も色も大きさもなく、有るとか無いとかもなく、善悪美醜上下左右などまるで関係なく、偶然でも必然でもないまったく(当然)な状態。止むに止まれぬ、ふくらみ。 
 これは、今から12年前に産み落とされ7年前に『とろんのダイジョーぶ経典〈スートラ)』(晩聲社刊)という本になった、その一等最初のボクの言葉たちだ。この本を描いたあとも出版された後も、そして53歳になった今もボクの「いのち」は疼き、そして「止むに止まれぬ、ふくらみ」に突き動かされ、あたかも何者かにしくまれたように一日一日を「つなわたり」的に生きている。
 1969年の春、ボクが18歳の時、高校卒業直後、少年のボクの「いのち」は、あっ!と疼きふくらみ、いのちがけで神戸港からフランスの大型貨客船に乗ってインドのボンベイに上陸した。その当時の日本にはボクの「はまり処」はなくって、大学にも就職にも全く興味がなく友人も恋人もいなくて、僕の心は酷く飢え渇き、自分の「いのち」からのアブナイ信号が点滅されているのがわかっていた。そして偶然でも必然でもなく全く(当然)にボクの「いのち」は止むに止まれず疼きふくらみ、日本
をでた。
 三年半前、も少しで50歳になろうとする冬、中年のボクの「いのち」は、うっ!!と疼きふくらみ、いのちがけで、インドのベナレスに向かっていった。18歳の旅以来、ひそかにボクは「50歳の誕生日はインドのベナレスで」「21世紀の夜明けはベナレスのガンジス河から」と想いつづけていて、それがたまたま同じタイミングだったのだ。それに加えて、偶然でも必然でもなく全く(当然)に、中年のボクは再び日本での「はまり処」を失ってしまったのだ。今まで日本でやってきた事や人間関係に全く関心がなくなり長年のパートナーにも捨てられ、再びボクの心は飢え渇き「いのち」のうろたえの極致に達していたのだ。「21世紀の夜明け」と「50歳の誕生日」が「いのちの究極のうろたえ」と同じタイミングでやってきた。
 そして今のボク。インドからタイの北部山岳地帯の山の町「PAI」に辿り着いて3年以上が経ってしまった。50をこえてからのボクの「いのち」は、んっ!!!と疼きふくらみ、いのちがけで「PAI定住」を試みている。偶然でも必然でもなく全く(当然)にボクの「いのち」は止むに止まれず疼きふくらみ、ゲストハウスから新築の一軒家に住むハメになり、生活用品や冷蔵庫、自転車、オートバイ等を手に入れながら、今ではちょっとした広い土地を借りてリヤカーも手に入れ、昨年は日本米も作って『MOON VILLAGE』という村つくりに精を出してる始末だ。 
 「この同じ星に産まれ同じ時代に生き、同じ太陽と月の下で育ちゆくすべての命を想うとき、産まれたからには生きてやると強く想うし、このいとおしい一回キリのかけがえのない自分の命をけがし曲げるもの、制限するもの、萎縮させるものを激しく拒絶し続けたい。こんなボクが同じ星の下のアンタに辿り着くのは、ホンノちょっとした縁が起きたとき、そしてアンタとボクの宿命の糸がアッ!と触れ合うとき。」
 これは『とろんのダイジョーぶ経典(スートラ)』の一番最後のボクの言葉たちだ。地面に撒かれた種はいろんな状況が満たされてゆくと「ひとりでに」固い殻が破れて芽が出て天に向かって伸びゆくように、ボクら人間たちもタイミングよく「はまり処」にはまってくると「ひとりでに」固い殻が破れて、芽がふき天にむかって伸びゆくようにできているのかもしれない。僕は人口数千人のタイの山の町「PAI」に自分の「はまり処」を発見し「ここに死ぬまでいよう!!!」と本気で決意したとたん、うそのように何者かにしくまれたかのように物事が「ひとりでに」展開し始めたのだからその「ひとりでに」展開し続けてきたボクの「パイ物語」の「いのちの最先端」を、今、かたることで、第一回目の『とろんのPAI通信』としよう。
 あとちょうど3年後の2007年7月7日『七夕』から7週間の『まつり』を、この我が第二のふるさと『PAI』の町全体を会場にして(まつる)想い。早ね早起きをベースにした今までにないアートなまつり。虹や蛍がいっぱい出現し洪水もやってくるアブナクてキモチイイ雨季のまつり。メインステージなどなくってアチコチで(いのち)の渦が巻き起き、みんなで(ヒトのキセキ)を起こしゆくアドリブなまつり。詳しくはホームページをみてね。 (http://soul-love-fusion.com) 
 PAIで108枚つくった第一回目のチラシが地球のどこかでアンタにであうとうれしいな。
 これからの2007年7月7日に向けての連載『とろんのPAI通信』では、少しづつゆっくりとボクの「いのち」の「ことば)(ねいろ)(ふんいき)をつたえてみたいな。よろしく、ね。とろんより、愛をいっぱい!!!

(イラスト:なな)



No.125=2004年7・8月号

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