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からだが整うと、心も整い、
すべてがひとつにつながりだす

「女性のからだの整体法」野村奈央著 七つ森書館 ¥1200+税

 女性のからだにはリズムとサイクルがあり、生理や排卵、出産、更年期‥日々刻々と変化しています。それらを面倒で避けて通りたいものという人もいますが、あなたは自分の「女性のからだ」をどのように生きていますか? 
 「生理も出産も、女性にとって健康法であり美容法である」。これは、野口整体の創始者である故・野口晴哉氏が言っていたことです。最近、同氏の「風邪の効用」という本が文庫で復刻され話題を呼んでいます。風邪は悪いものではなく、熱や下痢や発疹などを通して、偏った疲労や老廃物を出す大掃除としてのからだの知恵であり、丁寧に観察しながら経過を促す方法がそこには書いてあります。出るものを出してしまえば、後はスッキリ弾む元気が甦る。そうやって時々風邪をひいたり、からだは自ら治る力を発揮し、バランスを取り戻そうとするんですね。その働きを、薬や注射で押さえ込むことで何かが狂ってゆく。そして風邪さえひけない鈍いからだになってしまうことが、一番怖いことだと同氏は言っています。

 その野口氏に師事し、最悪だった二十代前半の健康状態を克服して以来三十余年、実践を積み重ねながら指導を続けて来られた野村奈央さんの新著「女性のからだの整体法」は、現代の若い人にも受け入れやすいやさしい文体で、整体の奥行きの深さに少しずつ触れてゆけるようレイアウトされた本です。「生理」「出産」「更年期」「眼の疲労」など6つの基本テーマをはじめ、各四季や梅雨時といったインデックスがついていて、そこをパッと開けばテーマに即したからだのお手入れ法が豊富なイラストとともに解説されているのでとても便利。
 すべてのテーマを通して、一番のポイントとなるのは「骨盤の弾力」。生理のたびに、また季節のサイクルにそって、女性の骨盤は開いたり閉じたりしていて、その動きの幅が大きければ排泄やバランス回復もスムーズ、それにともない情緒も安定してくる。‥骨盤がそんなふうに動いてるなんて、私は知りませんでした。でも腰骨にそっと手をそえて、呼吸にじっと耳をすましてみたら、骨盤も動きながらゆっくり呼吸しているのを手のひらで感じることができました。そんな微妙なからだの営みに意識を向けることなどあまりなかったけれど、自分の中に、四季のめぐりや月や潮の満ちひきがそのまま息づいているのを感じて、何だかとても愛しく安らかな気持ちになりました。

 例えば生理は、月に一度の子宮のお掃除。骨盤の調整として、生理中ばかりでなく、排卵等を含めた前後の時期を通した適切なケアの方法とタイミングがあるんですね。私は以前、生理のたびに激痛や精神的不安定で寝込んでいましたが、足湯や手当てなどを実行して以来、うそのようになくなりました。生理や出産は痛いものと一般的に思われていますが、それは歪みや毒をため込んだり、自分の体を他人や薬まかせにして鈍らせていることからくる警告で、本来は痛くないものなんだそうです。辛さを体質とあきらめる前に、からだを丁寧に観察し経過することで必ず変わってゆけるんだと信頼できれば、毎月めぐって来るものが楽しみにさえなりそう。それは、しおれた花に水と光を与えればシャンとするように、あたりまえでシンプルな自然の法則なのです。
 ただ、そのシンプルでいるということが、この時代とても難しくなっているために、多くの女性が骨盤の弾力を失い、固まらせてしまっています。時間に追われる慌ただしい生活や、冷暖房やコンピューター等に常に晒され、ゆるむひまがありません。それが積み重なると、気は滞り、ますます硬ばって、呼吸が浅くなり、地に足がつかない感じになってきます。自分が疲れている事にさえ気づかないほど感覚が鈍り、心と体、考えていることとしていることが分離してくる。そんなからだの状態で、本来のその人らしさや女性性を発揮するのは難しいですね。やはりその日の疲れはその日にとっておき、フレッシュな気分で毎日を迎えたいもの。私たち現代人は、かなり意識してでも整える時間をとっていかないと、感受性の麻痺は、いざ生命の危機に晒されたときの免疫力や判断力を働かなくさせるから怖いです。それぞれの人の癖や生活スタイルによって、緊張や疲れをためやすい場所が違いますが、この本には、からだのあらゆるポイントとなる箇所の整え方が載っているので、理屈よりとにかく試してみることをお勧めします。自分ひとりでも、家族や友達とでも。後頭部や眼の「蒸しタオル」、それから「肘湯」etc.。試してみないとこの気持ちよさ伝えきれません。とろけてしまいそうなほどの気持ちよさが細胞にしみわたり、思わずホォ〜っと深いため息が‥。「足首まわし」も丁寧にやってみたら、足首から膝、股関節、骨盤そして全身と、すべてがバラバラでなくつながっていることが実感できました。固まって回しにくい部分を、ひと呼吸そしてもうひと呼吸と、ゆるむよう意識しながら深めることを続けてゆくと、潤滑油がまわるように弾力が戻ってきます。からだが整う(整体)っていうことは、「気持ちいい・愉快・楽しい」っていうことなんですね。おまけに綺麗になれるなんて!。自分がどんなふうに変わってゆくか、楽しみに私も続けてみようと思います。(M・U)


整体ライフスクールのHPができました。http://cute.apple.ac/~naogenki/



No.118=2003年5・6月号

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