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戦争ではなく対話を!の想いを運び

虹の旗が旅をする


 POC=本誌110号(2002年1月号)掲載=の中からアメリカによるイラク攻撃を前にして新しい動きが始まっている。昨年末ころからPOCの支援カフェで、イラク攻撃回避を願う気持をカラフルなカードに書いてもらう「虹の署名作戦」を展開。そのカードを集めてレインボーフラッグを作り、それを大阪のアメリカ領事館に持って行ってメッセージを伝えたり、また各地のカフェで展示してまわる「虹の旅」が始まっている。京都で中心になってこの虹づくりを進めているぴよぴよさんに、熱心に協力してくれているヴィレッジ(京都市左京区)というお店でお話を聞かせてもらった。


ユ集まった虹の署名カードを持つぴよぴよさん


──POCに参加したきっかけは?

ぴよぴよ● 9.11のあと落ち込んでいたんです。事件それ自体よりも、ニューヨークの高層ビルが崩れ落ちる映像を見て、スカッとしてザマーミロと感じた自分がまず、悲しくて。それからその後の各国の動き方、世論調査などを見ているとやっぱりかとまた落ち込んで。その上、氷点下の飢餓に苦しむ上に空爆されているアフガンの人たちのことを思うと、それに対して何も出来ない自分がまたつらくて。さらに自分を育ててくれた祖母がその頃亡くなって、それも重なって眠れなくて、胃が痛くて胃カメラまで飲んだり。それで自然育児友の会のMLに、やりきれない気持を書いていたら、こんなHP見つけたよってピースオブケーキ(以下POC)のHPを教えてくれた人がいたんです。そこで親友がやっている玄米定食屋さんに頼んで置いてもらったんです。最初はその1軒だけだったけど、京都にもさいきん自然を大事にしようっていうメッセージを持っているお店がいくつかあるので、行って話してみたらすごく喜んでもらえて、そういう出会いが楽しくなって、それで一軒一軒増えていって、今では京都に20軒くらいあるんです。(全国では約60店) しかもお金がけっこう入っているんですよ。今まで70万円ほども集まってNGOにカンパを送りました。

──お店の人だけじゃなくて、お客さんもみんな同じ気持だっていうことですね。

ぴよぴよ● そうなんです。それがすごい嬉しくて、できることからやっていって、ひとりでこもらないで、色んな人と話していけば、希望が必ず見えるという実感がわいてきて、楽しくてやってます。私たちは微力だけれど、無力ではない。そう信じる気持ちが生まれてきました。

──アフガニスタンから始まったPOCですが、イラクのことをやるようになったのは?

ぴよぴよ● 去年の12月、今にもアメリカがイラクを攻撃しそうな時、たまたま集まったカフェでみんなで話しているうちに、やっぱり何かしよう!ということになりました。最初は神戸のルミナリエで署名集めをしようという話になったんですが、しばらく攻撃が延びそうだということがわかり、街頭での署名は寒いし、ゆっくり考えて書いてほしいし、対話しながらやるようなことがいいねということになり、カフェの協力を得て、カフェでお茶を飲みながらメッセージを書いてもらうということになりました。みんなの中から、どんどん面白いアイデアが出て、夜中までうちに集まってカードを作ったりしました。
 クリスマスから始めて1月10日まで、間にお休みの日もけっこうあったんですが、375枚の色とりどりのカードが集まったので、それを4畳半の大きさの帆布に貼って虹の旗(レインボーフラッグ)をつくりました。そしてこの旗がいま全国のカフェをまわる虹の旅に出ています。
 私が一番よかったなと思ってるのは、カフェでお茶を飲みながら他の人のカードを見ながら、自分も平和をイメージしてメッセージを書ける。そういう時間があちこちのカフェで生まれたことです。ふだん戦争なんていややと思っていても、形に表す機会ってなかなかないですから。
 それに若い人の集まるカフェで、おしゃれのこととか恋人のことを話すのと同じテンションで平和のことを話したかったんです。熱く語ったり怒ったりするのも大事ですけど、そうじゃなくて日常生活に溶け込んだ形で語り合いたかった。それでお正月明けに神戸と京都でピーストークというイベントをやりました。初めて会う人が多かったんですが、ひとりひとりが自分の思いをしゃべって、人の言葉に耳を傾けて。もちろん異論を唱える人もいますが、みんな人の話をきちんと聞いていました。
 そしてレインボーフラッグは初めての旅先として、1月22日、20人くらいのメンバーと一緒に大阪のアメリカ領事館に行きました。警備はびっくりするくらいきびしかったけど、アポをとって行ったので、中で館長さんと和やかなにいろいろ話をして、みんなで書いた寄せ書きや手紙を渡しました。私が書いた手紙は、「アメリカは世界で2位以下を全部足すよりも多いほどの膨大な軍事費をかけてるけれど、そのお金と人材と技術と知識をもっと地球のために使って欲しい。たとえばCO2を減らすとか核兵器の不拡散を進めるとか、そういうところでアメリカはリードしていってほしい」という内容です。

──戦争反対といってもPOCのやり方は独特のようですね。

ぴよぴよ● 私たちがPOCで最初に何かしようって集まったとき、地球を宇宙から眺めると、アメリカも地球の一部で私たちの一部なんだっていう話になったんです。だとしたら、アメリカを憎めるだろうかって。アメリカの経済が戦争をしないとまわらないように出来ているということは、私たちの日常生活もアメリカが戦争をすることと結びついているはずです。アメリカは自分の大事な体の中の病気、ガンみたいなものです。だったらそれを攻撃するんじゃなくて大事にしなくちゃ。アメリカをひとりぼっちにさせちゃいけないという話になったんです。反対!とか憎しみをぶつけるようなやりかたではなくて、どうしたらアメリカも地球を大事にするような方向に動いてもらえるかみんなで考えようと。まあ実際にいま戦争が行われようとしているときには、「やめてよー!」って言うのは当たり前なんですけど、アメリカも私たちの一部だっていう基本をまず確認しようと話しました。
 「‥‥が嫌いだから、いやだから」から出発するんじゃなくて、「地球が好きだから、自分が好きだから」動くということを大事にしたい。そこに必ず希望があると思うんです。

神戸のカフェ・ナフシャに展示された「虹の旗」

★HPに報告や写真が載っています(最新情報はこちらで見てください):
 http://www3.to/peaceofcake
★虹の旅は各地のカフェをまわり始めている。3月2日〜9日は神戸・あしゅん=(078)322-1132 4月以降に京都・グアバジェリー=075-702-6678 等
★大切に責任もって扱ってくださる方には虹の旗は貸し出し可能です。
申込み・問い合わせはこちらまで→dolfin@joy.ocn.ne.jp


POC=“Peace of Cake”は英語の慣用語で「一切れのケーキを食べるくらい簡単なこと」という意味。目の前で落ち込んでいる友達にケーキを1ヶごちそうしてはげますような気持で、困っているアフガニスタンの人たちを応援しようという趣旨ではじまったカフェ募金だ。



No.117=2003年3・4月号

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