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東海地震の前に浜岡原発を止めよう

平和の集いレポート

8月1日から7日まで浜岡原発近くのデンマーク牧場で開かれた平和の集いは、規模は小さいながらも多数のバンドが出演するコンサートやワークショップ等と共に様々な参加者によるシンポ・講演などが持たれ、迫り来る東海地震の前に老朽化し危険な浜岡原発をいかに止めるかをみんなで考える機会となった。また若い世代のスタッフが中心となって運営され、深刻なテーマにも関わらず今後の展開が楽しみなものとなった。


 東海地震の前に浜岡原発を止めよう!という熱い思いから生まれた「平和のつどい」が、8月1日から7日まで、静岡県袋井市のデンマーク牧場で開かれた。このつどいは地元静岡で活動するジャンベグループTOKIWAと、その仲間たちが中心になって企画、運営をしたもので、浜岡原発との関わりも深い。「徒歩で来てね」との呼びかけに答え、参加者はバス停から徒歩、キャンプサイトまではリヤカーで荷物を運ぶなど、エネルギーのこと、利便性のことなどを体で感じながらやってくる。会場は、牧場ゾーンにステージと本部食堂が、ひと丘越えた斜面にティピーやテントが並ぶキャンプ村のふたつのエリアで構成されている。大きいティピーでは連日様々なシンポジウムや集まりが開かれ、また内田ボブさん言うところの「さわやか霊界コーナー」では、スピリットの世界に旅立った仲間たちがまつられ、会場にその思いをともにしてくれていた。
 1日夕方、霊界ティピーの前でのオープニング・セレモニー。ネイティブ・アメリカンの歌とドラム、インド音楽、日本山妙法寺の僧侶によるお祈りが捧げられ、サワさんの詩の朗読が続く。最後はジャンベの演奏でみんなが踊り、平和で楽しく、意義深い集いを願う思いがひとつになった。翌日からはライブが始まり、同時に原発や平和について語り合う内容の濃いシンポジウム、ノリ・ハドルさんによる100人の地球村ミニワークショップなどがティピーで開かれる。夜は山田征さん、おおえまさのりさんによるビデオ上映などが行われている。テント村ではチャイ、カレー、民族楽器、服、クラフトなど様々なものを扱うお店がゆったりと店開き。人々が集い、語り、歌っている。ステージではディジュリドゥ、三味線、レゲエにロック、平和を願うスタイルは無限。テント村からステージへ移動するたび、キジムナーの様に森のあちこちに現れる詩人ジャン。合言葉はいつも、「オゥ」。スタッフたちは受付で、食堂で、会場で、にこやかに動いている。岐阜からかけつけてきてくれた「なんや」の寛さんの食堂は、毎食野菜たっぷりのごちそうを用意してつどいを支えている。ここはスタッフも参加者も木陰でリラックスできる究極のラウンジ空間。夜にはビールやワインも登場し、テント村へ帰る足も遅くなる。もちろんそこにはいつもボブさんの声が響いていた。

広島デーと浜岡ショートウォーク
 8月6日、霊界ティピー前での黙祷とお祈りの後、浜岡町役場から原発までのショートウォークには約150人が参加した。デモ申請をしていないため、フラッグやメッセージは持たず、ただ、原発を止めたいという思いを込めながら、子供から大人までが楽しくのんびりと歩いてゆく。太平洋の力強い波が絶え間なく打ち寄せる砂丘に到着し、浜岡原発を見下ろす。圧倒的な自然の力の前に、原発という存在の愚かさはあきらかすぎる。シュールでありながら歴然とした事実である光景を心に焼き付け、諏訪湖と地下でつながっているという桜ケ池の池宮神社に向かい、最後のお祈りを捧げる。現実を受け止めることから始まる平和への動き、そのことへの決意をここで確認したのかもしれない。


政治の世界を垣間見る
 つどいのテーマである「浜岡止めよう!」。じゃあどうやるのか? そんな思いに答えるべく駆けつけてきてくれた人たちから私たちは多くを学んだ。4日には国会議員の北川れんこさんが登場。もともと尼崎で反原発・反農薬をコンセプトに八百屋「連」というお店をやっているうちに、市議になり、その後国会議員になったというユニークな経歴の方。「国会の仕組みすら分かっていないんですが」と尋ねてみると、「私も議員になって初めて良く分かった」というお返事。政治や国会などを私たちは必要以上 に難しいものと捉えているのかもしれない。

── 浜岡の問題や有事法案について、どうすれば一番効果的に国会や政府に働きかけができるのでしょうか?

れんこ● まずは一番話を聞いてくれそうな議員に意見や希望を伝えにいくのはとても大事。国会前の座り込みにしても、最初は圧力を感じるかもしれないけれど、毎日そこにいると、議員の人も慣れてきて、存在が気になってくる。個の顔を見るのと見ないのとでは、問題に対する姿勢もずいぶん変わる。この「つどい」にある雰囲気をそのまま国会前に持っていって、「楽しく運動してますねん」という風に、こっちの方が楽しそうだなと思わせたらいい。誠実にやっている人の姿勢は伝わるから、耳を傾けてくれる人も増えるはず。実際に議員に会って、何を望んでいるかを具体的に伝えると、議員も動きやすい。彼らは忙しすぎて情報が不足している。原発の専門知識がなくても、思いを伝えることには説得力がある。純粋に平和を願う人の気持ちは相手にも伝わる。もうひとつ、とても影響力があるのが、具体的な法案の提案。政治家たちは毎回400本以上の法案に目を通しており、それに対応するだけで精いっぱい。そのなかで86%ぐらいが通っているという。じっくりひとつの問題に取り組む姿勢がないので、逆に出したものは通りやすい。市町村の出す意見書も、市民の意向を計る目安になるので大切。
 日本の国民一人当りの軍事支出は42120円。日本は有事法を通じて、先制攻撃をかけられる国としての準備をしている。原発でプルトニウムが作られ、核戦争を起こしうる国になっている。そういう意味でも原発の問題をエネルギーだけではなく、核武装の問題とからめて訴えていってはどうだろうか。放っておけば日本はいずれ水爆も原爆もOKの国になってしまう。電力会社自体は、もう原発をやめたいが、核武装とからんだ国からの圧力のためやめられないのだと思う。今こそ声の上げ時だ。
 今度の秋から始まる155国会は、154国会と比べて、今後の日本に大きな意味を持つのでぜひ関心を持ってほしい。いろんな意味で今までのやり方がもう行き詰まっているから、今が変え時、重要な転換期。そういう時に活動することは面白いしやりがいもあるはず。10代から30代の人たちが政治的な議論が出来る土台をぜひつくってほしい。いままではグループで運動する時代だったけれど、これからは個がゆるくつながるという感じでやっていけるといいと思う。
 来年は統一地方選挙があるのでぜひ投票してほしい。投票するときは、自分がもし議員になるならどんな仕事をしたいかを具体的にイメージしてみてはどうだろう。また、候補者に対して、浜岡を止めることを公約にいれてほしいと詰めよるのもいい。浜岡は東京にも近いため事故時の影響も多く、そういう意味で止める合意はつけやすいはず。この際、議員を使い、動かす醍醐味を味わってみてほしい。政治が堕落しているとかひとくくりで非難するのではなく、きっちり向き合って、政治家に詰め寄る材料を持って働きかけてほしいと思う。直感を信じること、それを政治の場面で使うことも大事だと感じている。難しい用語を使うことより、思いを率直に伝えるほうが効果的だ。

ウーマンズ・ティピー:女たちの集い
 最終日を目前にした6日夜遅く、女性の立場から、今度まつりを企画してみたい、そんな思いを共有する女性たちの呼びかけに、24名の女性たちが丘の上のティピーに集まった。ランプの柔らかな光に照らされた美しい顔、顔、顔。それぞれが沢山の思いを胸にこのつどいに参加し、沢山のことを感じ、分かち合いたいと願っていた。自分がどこから来て、どこに行こうとしているのか、ここに集まったみんなと何がしたいか。ゆったりとした時間の中で、溢れんばかりの思いが空気を満たした。歌、踊り、語り、それぞれの表現を通じて、同じ道を行く互いの歩みを確認しあう。女たちのつどいは翌朝も開かれ、まつりの計画に向けた具体的な話や、浜岡を止めるためのアクションのアイディアなど、創造的な話が広がった。ここでつながった女たちの輪には、男性を排除するのではなく包み込みながら、あくまでも女たちのスタンスで広がっていこうという、おおらかな空気が感じられた。

聖なる戦略―意見書アクション
 つどいも最終日を迎えた7日夜、ボブさんの呼びかけのもと、元原発企画行程管理者の菊地洋一さんを囲んで熱いミーティングが食堂で開かれた。みんな浜岡を止めようとここに集まったなら、何ができるのか、もっと深く話し合おうじゃないか。そんな思いがあった。菊地さんの話が進むにつれ、アクションを起こさないことのリスクをあらためて確認する。そこへ、浜岡原発を止めるために国会議員の秘書をやめて静岡で活動している「ちょっと考えてみよう会」の古長谷稔さんから、「意見書アクション」についての説明があった。「ここにいる中で、本当に地震の前に浜岡を止めることができると信じている人どれぐらいいますか?」古長谷さんの呼びかけに、返事はなかった。「100の自治体が、原発を止めるよう要請する意見書を国に提出したら原発は止められる!」そういう古長谷さんの言葉に皆が聞き入り、ではその具体的なステップは?と突っ込んだ話が展開した。ここにいるみんなでやってみる事はできないか、そんな思いで話は進み、ミーティングは場所を移動して、霊界ティピーの前で深夜まで行われた。菊地さん、古長谷さんからは、徹底的に話し合おうという意気込みが感じられ、参加者も具体的戦略について真剣な眼差しで聞き入っていた。この結果は後日「意見書アクション」という形でスタートするべく、情報が用意されましたので、「平和のつどい」のHPやMLをご覧ください。

長崎デー、祈り、感謝
 後片づけのメンバーだけが残った9日、11時5分に長崎の被害者の冥福と平和を祈るセレモニーが行われた。霊界ティピー前にサークルをつくり、一本のワシの羽根を順番に渡していきながら、一人ひとりがこの集いで感じたこと、祈りや感謝の言葉を捧げた。みんなの心の奥からくる純粋で、正直な思いに聞き入り、胸が熱くなる。テントが消え、ティピーがたたまれて、ポールとして使った竹を山に帰していく。最後まで残って見えたもの、感じたこと。新しい動きへの予感、希望。沢山の学び、そして宿題。いろんなことがありすぎて、整理しきれない思いを胸に抱きながら、再びそれぞれの場に戻ってゆく。わずかな準備期間でなんとか開かれたというこの集い、注がれた思いの深さ、広さは計り知れない。集いを発案した人、計画した人、運営した人、参加した人、全ての人に感謝を捧げたい思いでいっぱいになった。
                    (MH)



★平和の集いのホームページでは毎日のレポート、写真、詩、イラストなど多彩な表現で集いの内容を公開しています。今後の活動にも続けていく予定ですので、どうぞごらん下さい。
URLは:      http://amanakuni.net/heiwanotudoi/
★また意見書アクションなど今後の浜岡原発を止める活動の連絡先は:「平和のつどい連絡オフィス」〒430-0811浜松市名塚町155-3 P鈴峰内 Tel/Fax. 053-461-7345
e-mail:biotop@po2.across.or.jp


〈平和の集い〉意見書アクション

 今回〈つどい〉で色々な経験と戦略を分かち合ってくれた「ちょっと関心をもってみよう会」の古長谷稔さんは、100の自治体が浜岡原発の運転停止を要求する意見書を国に出せば、浜岡は止められると考えています。昨年11月の事故以来、現在までに18の自治体(県や市町村)から意見書が提出されています。この問題の解決には、国の方針決定が必要で、国会議員が動きやすい土台を作るために、この意見書が非常に有効ということです。東海地震が起きる前に、残り82自治体から意見書を出してもらうよう、ここに集まったみんなで具体的に動いてみようということになりました。
 私たちのほとんどは、今まで政治的な活動と距離を置いていたかと思いますが、今回このつどいで、音楽、シンポジウム、ウォークなど色んな形で「浜岡を止めよう!」との深い願いを確認した今、とにかく動くしかないと感じた人も多かったのではないでしょうか? もちろん、自分たちのスタイルを大切に、自分らしい動きをすることが前提だと思います。そのへんをうまくバランスをとりながらやっていけたらいいなと、私たちは考えています。
 自然発生的に集まった女性の語らいでは、このつどいの雰囲気をそのまま国会前にもって行き、歌やキルトで想いを表現しようというアイデアが出ました。私たちらしい表現のスタイルを大切にし、楽しく、力強くやっていくことが、継続的で効果的な行動になるのではないかという想いが確認されたように思います。またアクションだけでなく、私たちに与えられた生命を讃え、楽しむこともどんどんしていこう!というのが女性たちに共通する想いでした。

【私たち一人一人ができることは二つあります】

1)自治体に「意見書」を国に出してもらうよう働きかける。‥‥3名の議員から議題が提案される必要があります。まずは議員の支援者を探して理解と協力を得、その人を通じて議員に会って説明やお願いするとスムースです。
2)個人が自治体に「陳情書」を提出して回答を求める。‥‥紹介議員の名前があると必ず議会で取り上げてもらえます。陳情書は自分の言葉で書き、個性を生かしたものにする方がインパクトがあります。
☆まず役場の議会事務局に行くと、議員さんの名簿をもらえます。女性議員を中心に働きかけてみましょう
☆このアクションに必要な参考資料などがありますので、下記までお問い合わせ下さい。



No.114=2002年9・10月号

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