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なまえのない新聞102「いのちの祭りレポート」特集より

いのちのフォーラム、続いてます!

き く ち ゆ み


8月6日、広島の日の朝、いのちのまつりで「核のないみどりの地球」というテーマで話をさせていただいた。最初会場にいた数名の人と「これだけ沢山の人がまつりに来ているのに、このテーマに興味のある人がこんな少ないんじゃ、核のないみどりの地球を実現するのは、まだまだ難しいかな」と冗談半分で話していた。それなら小人数の作戦会議にしよう、と輪になって自己紹介を始めると、なつかしい顔、初めての顔、メール友達、老若男女それぞれが、いろいろな課題を抱えて集まってきた。
 ここ10年ぐらい21世紀には核のない(といっても今ある放射性物質は今後何億年も存在し続けるが)世界を作ろうとできることをいろいろしてきたけれど、現実はとても厳しい。ただ、そんな中でも私が希望を持てるのは、昨年後半にY2K WASHキャンペーン(核と原発にお正月休みを、という国際キャンペーン)を立ち上げて地球を1周半したときのことだ。まずこれをみんなにシェアした。それは本気で動く人がほんの小人数だとしても、かなりのことができる、という体験だ。WASHに関わった人たちは、Y2Kでもし原発事故が多発するようなことになったら、地球は居住不能な星になってしまう、これだけは何としても防ごう、と本気で思い、本気で動いた。そのメッセージは海を越え、世界の様々な人たちによって運ばれ、WASHの主張がほぼ全面的に欧州議会の決議として実を結んだのは1999年11月18日。実際、世界433基の原発を止めることはできなかったが、Y2Kで起こった原発の故障や事故はどれも大事に至らずに済んだのはありがたい。 2000年を半分以上過ぎた今、Y2Kの緊迫した状況はなくなったが、核の危機が去ったわけでも、原発の危険性がなくなったわけでもない。
次に、世界の原子力産業は日本のお金で命脈を保っている話をした。その資金源は日本人の税金や年金、郵便貯金や電力料金など、みんなの貯金と公的資金だ。電力の自由化がより進んでいる欧米では、経済的に成り立たない原子力は衰退する一方だ。原子力産業界の唯一の優等生が日本であり 今やこの業界は中国や東南アジアの巨大マーケットに食い込んで延命を図っている。
だから日本人の選択は、責任重大だ。どんな政治家を選ぶかと、何にお金を使うか(どこに預けるかも)の二つは私たちに与えられた自由行動。ならば、この二つを最大限に行使しよう。お金を悪いもの、汚いものと思っていると、そういう人の所にお金は来ない、悪いのはお金ではなくてその使い方、という話もした。また、原発がないと電気が足りないというのは嘘で、実際は今すぐに日本の原発を止めても、他の電源で十分賄える、ということも。
 それから参加者と話し合う時間をたっぷりとった。核のゴミ捨て場となりつつある六ヶ所村、いつ起きてもおかしくない東海大地震の震源地付近に位置する浜岡原発、強制収用がまもなく実行される日の出の森、基地問題でゆれる沖縄などなど、日本全国で抜き差しならぬ問題を抱え、長い戦いで心も体も疲れている、それでも持てる力を出し切ろうとしている仲間たちがいた。そんな話を分かち合っているうちに、美麻村から来た沢木薫さんが「日本中で自然保護や脱原発や、いろんな運動をしている人がいます。一つ一つの運動は小さく、孤立しています。それをつないで、助け合ったり、緊急事態のときにわっと動いたり出来るような大きなネットワークが必要」と発言。それだそれ。みんなの目が輝いた。やろう、今、ここで作ろう、何かみんなの誓いみたいな宣言も出そう、という話になった。持ち時間の2時間はあっという間に過ぎ、会が終っても、みんな席を立たない。そこで、 今後「いのちのネットワーク(仮称)」作りに関わっていきたい人は名前と連絡先を残して下さい、と紙を回すと、35名が記入してくれた。そして具体的な話は、5時から行われる「環境市民政党」のときにしよう、と言って別れた。
午後のフォーラムは、ヘンプ。エコロジー産業として日本でヘンプを蘇らそうとしている様々な興味深い取り組みが紹介され、会場は200名ほどの人の熱気でいっぱい。続いて、環境市民政党のフォーラムには、朝見た顔がいくつもあった。そこでも、日本を地域循環型の共生のコミュニティに変えるには、バラバラな各地の市民運動の緩やかでも揺るぎ無いネットワークが欲しい、ということが確認された。それなら、それをもっと具体的に話し合おう、と翌日の午前中も緊急の集まりが持たれることに決定した。
 8月7日の朝は70名近くの人が集まった。何かが始まるときの、あの特有のエネルギーが漲っている。小林一朗さんの進行で、グループワークをすることになった。まず、話し合いたいテーマがある人が前に出て1分間アピールをする。
「私は地域通貨やお金の問題について話したい。なぜなら…。」「新しいコミュニティ ・家族について話そうよ」「地域起こしに興味があります」という具合に。これは先着10名まで。前に出なかった人は、各テーマの中で最も興味のある所に集まる、人が集まらなかったテーマは似たテーマと統合する。こうして、「地域通貨&ジュビリ
ー2000」「地域起こし」「男と女のパートナーシップ」「新しいコミュニティ」と「緑の政治&グリーンメディア&ヘンプ&緑のネットワーク」のグループが誕生し、50年後どうなっていて欲しいか夢を描く、という共通の課題に取組んだ。それぞれ深刻な現状を抱えている人が多いので、なかなか夢が描けない。最後に各グループごとに発表したとき、一番受けたのは「新しいコミュニティ」で、「50年後には進化した人しか存在していません、大都市はなく1万人以下のコミュニティだけ、子供はコミュニティで育て沢山のパパとママがいる、進化できなかった人には...死ぬ権利があります」などなど、大爆笑だった。
この流れを受けてこの繋がりを何らかの形で残そうと、このフォーラムの共同宣言の作成を有志で行ったので左頁に記す。なお「いのちのフォーラム(仮称)」はまつり終了後はいのちの祭メーリングリスト上で続けることになった。近いうちにまたどこかで「いのちのフォーラム」をやろう、という話もある。いよいよ大きなうねりになりそうで、なんだか嬉しくてたまらない。

【いのちのネットワーク連絡先】
★〒296-0111 鴨川市仲1047
 FAX.0470-97-1215 きくちゆみ
 メール:yumik@awa.or.jp
★東京都北区昭和町1-11-7 小林一朗
 TEL 070-5569-5974 FAX 03-3894-
 6680 メール: ichiro.k@d4.dion.ne.jp



いのちの祭りHPin アマナクニ

No.102=2000年9・10月号

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