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人間の盾から 見えたもの

「イラク国際市民調査団」帰国報告会

◆相澤 恭行◆

親愛なるみなさまへ

こんにちは、YATCH(相澤恭行)です。おかげさまで18日に無事帰国しました。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。私がイラクに行っている間、応援してくだ
さった方々、本当にありがとうございます。
また、身近な方々には大変なご心配とご迷惑をおかけしてしまい、心からお詫び
申し上げます。

出国前あまりに忙しかったとはいえ、もう少し周囲にしっかりと開戦後の「盾」
の意義を説明出来ていればと猛省しております。

イラクでの「人間の盾」の活動を終え、いまこうして日本に帰ってきてみて、約
3週間にわたる戦時下のバグダッド滞在がまるで夢のように思い出されます。

連日連夜にわたるミサイル着弾音の恐怖。いかなる状況下でももてなしの心を忘
れずに、逞しく生きるイラクの人々。クラスター爆弾により下半身に無数の鉄片
がくい込み、「ブッシュはテロリストだ・・・。」とうめき声を発する少年。

外国人の「盾」との禁じられた恋に落ちたイラク人ガイド。陥落後、米兵が怖く
て家族の死体に近づくことが出来ずに泣き叫ぶ人々の要請で、米兵と交渉して死
体の引き取りを手伝った際に見て触れた、あまりにも無残な人間のなれの果ての
姿・・・。

こうした数々の風景の記憶が、砂嵐のなか朧な光を滲ませて停電の街にそびえる
モスクを怪しく照らす上弦の月を中心に、連夜の「アッラーフアクバル」の祈り
の声に溶けてゆっくりと回転と始め、目が潰れてしまうほどの圧倒的な生と死の
コントラストは、いま、私の精神の深奥部で奇妙な調和を見出したかのようです。

我々「人間の盾」は、今回残念ながら始まる前に戦争をとめる抑止力にはなりえ
ませんでした。しかし最後まで市民生活に欠かせない浄水場等のライフライン施
設を守る姿勢を貫いたことにより、市民への被害を最小限に抑えることは出来た
のではないかと思っています。

もちろん「盾」がいなかった場合の被害状況と比較検証することは不可能なので、
どこまで抑止力が働いていたのかわかりませんし、事前に全く訓練のないまま参
加するにはあまりに危険すぎる行動であるため、危機管理をはじめ反省点は枚挙
に暇がありません。

しかし今回「盾」に限らず、国家間の戦争で世界各国からこれほどたくさんの一
般市民が非武装で入り込むということは歴史上まれなことで、これは武力を行使
する側にとっては非常にやりにくかったのではないかと思うのです。

もちろんこれは世界規模で連帯して高まっていった反戦の国際世論があってこそ
効果を発揮できるものであり、つまり世界中の目が見ているというのが最大の抑
止効果となって、無差別爆撃など非人道的な壊滅的被害はかなり防げたのではな
いかと思っています。

何よりも施設周辺の住民に、こんな戦時下でも我々のような外国人がいることに
大きな安堵感を得たと感謝されたことが嬉しかったです。

ただ、イラク全土では残念ながら少なく見積もっても二千人以上もの一般市民が
爆撃や戦闘に巻き込まれて亡くなっていることを思うと、やはり居たたまれない
気持ちになります。

自らの命を危険に晒すこうした究極の平和活動について、様々な批判があること
は十分承知しております。

しかし、この国際合意のないアメリカの先制攻撃を無効化するためにこれだとい
う有効な手立てがなく、国連ですらとめることが出来なかった今回の戦争に対し
て、我々世界の一般市民がただ座して見守るだけではなく反対の意思表示を続け、

さらには罪のないイラクの一般市民の犠牲を最小限に食い止めようと非武装で紛
争地に直接介入したというこの事実は、今後の平和活動ならびに市民が中心とな
った新しい持続可能な社会の創造に向けたひとつの試みとして、小さくても貴重
な一歩として記録されるのではないかと思います。

「人間の盾」とは、「人間」を信じる究極の行動だと思います。

開戦前、イラク政府に悪用されるのではないか、イラク人同士の内乱に巻き込ま
れるのではないか、アメリカは「盾」など無視して攻撃するのではないか、など
と懸念され、これからバグダッド入りするのは自殺行為に等しいなどと言われて
きましたが、そうした疑念に基づくことは一切起こりませんでした。

私は今回、イラクを信じ、アメリカを信じ、そして必ず生きて帰ってくると言っ
た自分自身を信じて人間の盾となりました。

疑いの連鎖が戦争を引き起こすのならば、私は信じることの連鎖によって平和を
創造したい。狂気に覆われかけた世界にあっても、信じることができる限り、そ
こに希望はあるのです。

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今後しばらくは、人間の盾として爆撃される側から見た戦争をテーマに、そこに
生きる人々の力強さ、また凄惨な戦争被害の実態を伝え、そしてこれからの平和
活動のあり方について今回自分が考えたことを報告会等で話していくつもりです。
日本各地に出向きますので、報告会、講演などを開催していただける方は、お気
軽にご連絡下さいますようお願いいたします。

同時に、「イラク支援市民ネットワーク」を立ち上げ、緊急支援のための募金の
呼びかけをしていきます。そして今後国連が中心となった各国のイラク復興支援
が具体的に開始された場合、それらが満遍なく公正に行き渡っているかどうかを
調査する必要があると思うので、そうした活動についてもこれから調べてみるつ
もりです。

平和への祈りをこめて
YATCH 
mailto:yatch-a@nifty.com

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■「イラク国際市民調査団」帰国報告会■
    
これからのイラクについて考えよう
〜わたし達が見たイラク戦争〜

●日時:平成15年5月10日(土) 18:30〜
●場所:文京区民センター(TEL/03-3814-6731)
      ※地下鉄丸ノ内線 後楽園駅から徒歩3分 
      ※都営三田線 春日駅から徒歩0分(A2出口直上) 
      ※JR中央線 水道橋駅から徒歩10分
●入場料:500円

●報告者(予定)
☆YATCH(ヤッチ)相澤恭行(会社役員・31歳)
     (イラク国際市民調査団員、「人間の盾」活動にも参加)
☆神崎雅善(オーガニック店勤務・23歳)
     (イラク国際市民調査団員、「人間の盾」活動にも参加)
☆市川美紗(保育士)
     (イラク国際市民調査団員)など

主催:イラク支援市民ネットワーク

連絡先:090-7828-8894
Eメール: kohzaki@mue.biglobe.ne.jp (神崎)
070-5562-2152 
携帯メールアドレス baobaboo@dk.pdx.ne.jp (市川)

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