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『一万年の旅路』著者、ポーラ・アンダーウッド来日イベント

「未来へつづく知恵の道」
REPORT-1


大盛況の会場風景(9月15日/オリンピック記念青少年総合センター)

 モンゴロイドの1万年の歴史がどういういきさつで発掘され、日本語に翻訳され、そ
の最後の伝承者であるポーラ・アンダーウッドさんが来日されたのか。壮大な前史か
らの文化遺産の継承は、この日参加者に託された様なものだと思いました。以下は、
その講演会場でのメモを起こしたものです。ビデオ記録がより多くの人にシェアされ
て、このモンゴロイドの先祖たちからの恵み多きハーベストが直接皆さんの体験となりますよう。

----------------------9/15代々木(オリンピック記念講堂)にて
 まず、翻訳者の星川淳さんより、この伝承に触れるきっかけとなった、『ベーリンジアの記憶』という小説の為の取材旅行の報告がありました。最初の北カリフォルニアで『地球生活』以来、何故か北米大陸に郷愁を感じるという彼が、後半にはスライドを上映しながら、40代半ばの現在までの旅を辿りながら、屋久島で暮らしながらモンゴロイドのルーツをインスピレーションで小説化して行くライフワーク。アラスカの大地、ハワイの古代航法復活の出会い等をまじえて、何故、北米大陸のイロコイ連邦を訪れるようになったのか。ポーラさんとの出会いにつないでいきます。

以下、星川淳さん--------------------92年初めて、アラスカ、フェアバンクスを
訪れる。白樺。内陸の村。生命、自然、深い感激。ど〜んと押し寄せて来るものがあ
った。80年代はじめのカリフォルニアの思い出。モンゴロイド。南北アメリカ先住民
と血を分け合っている!92年から継続して、その直感と強い郷愁に導かれて何度も訪れる。
 種族記憶のようなものか?アジアから北米に共通する、大地の力に触れて覚えたfeeling.それは、自分を通じて想い出したがっているのかなぁ?ということ。その物語を書いてみたい。小説の作法などは知らないけれども書いてみたくなった。
 三年程のフィールドワーク。ロシア側は行けないので、アラスカへ。15000年前シベリア側からアラスカへ、ベーリング海峡を渡ったその地。氷河期。陸橋。ベーリンジアという当時の呼び名のままをタイトルとしてその冒険物語りが出版された。(初版単行本題名は版元の希望で『精霊の橋』となったが、97年の文庫化のさいオリジナルタイトルに)
 しかし僕の中で懐かしさはつのるばかり。出版されてもそれは鎮まない。自分自身が引き込まれる。気が済まない。追加取材を目的に北米に1年住んでみた。アメリカ先住民たちの中に、ユーラシア側から渡ってきた時の記憶がないか、確かめたかった。
 沢山の部族を訪ねた。民族学などの専門家でもない素人が、大陸を足で歩き、1年で
8万キロを越える聞き歩きをした。その面白い旅の経験をインナーネット環太平洋モンゴロイド『環太平洋インナーネット紀行』『モンゴロイドの大いなる旅』などの本にまとめた。

--------スライド&トーク-------アラスカからベーリング海。ベーリング時代ツン
ドラ気候。ユーコン川源流。氷。氷河期。氷床。カナダ全域。トーテムポール。丸太。太鼓。ポリネシア共通。アジア側。ビッグ・サー(カリフォルニア)。セコイア、杉、
メサ。平頂台地(ホピなど)、半砂漠、デスバレー。海抜より低い昔の湖。塩のパタ
ーン模様。
「先史モンゴロイドが北米で最初に出会った原風景のようなものを撮りたかった」。

 コロラド、渓谷の底の記憶。1000メートルの落差、ハヴァスパイの川。砂漠なのに沢がある。滝。グランドキャニオンの南太平洋と言われる所。
 キャニオンランズ国立公園の景観。プエブロ・インディアンの集合住宅。日干しレンガの家(アドビー住宅)ナバホのホーガン、丸い家。遅れて第二波がきた。
 火山の爆発か何かがあったのではないか?1000年前位から南下。モンゴロイドの波、ルート。ミシシッピー河ぞいの古墳。メキシコ湾〜カナダ国境。北米ピラミッド文化(マヤなどが民族移動をして伝えたのか?)
 南からの民族との出会い。チェロキーの語り部。南太平洋上に原郷、中南米に上陸して北上し、北米東部アパラチア山脈に辿り着いて暮らす。熱帯ジャングルでしか効果のない吹き矢が伝わる。
 ウンデッド・ニー。ラコタ(スー)族の虐殺、先住民迫害に終止符を打った、先住民にとっての聖地となる。祈りの布。イロコイ、ナイアガラの滝、冬。オノンダーガのロ
ングハウス。族長。ワンパムベルト。飾り帯。記録。合州国とイロコイ連邦の対等関係を表したワシントンベルト。セントローレンス川。

---------実は、このイロコイ族に伝わる一万年の口承史について、未だ僕自身信じられない。これは物を書く人間としての職業的なガードかもしれないが。素朴な疑問がある。多分誰でもが感じることと共通のもの。代表的な疑問を先に上げて、説明すると。

1 ポーラさんは白人的な外見?--------家系の中に途中養子縁組が入っているため。(チェロキーetc.直系)白人例えばフランクリンなどとの血のつながりがあり、ネイティブ・アメリカン」の場合、精神的な絆も直系として認めていて、血のつながりよりも内容をとる。
2 伝承の歌をうたえるのですか?---------おじいさんのおばあさんはうたえた。その5世代後の彼女は、英語で書くという使命を与えられた人。口承の訓練は受けていない。口承を文字に写し取り、’93年初の英語版が出版された。
3 ストーリーテラー&ヒストリーキーパー----------Story Tellar(語り部)は短
い沢山の物語を覚えている人で、状況を見てどの伝承を語るか的確に判断し、ことを
解決するためのヒーラーの役。語り部。これに対してHistory Keeper(歴史伝承者)は、一族の来歴を語る。いかにしてここまできたか。その歴史全体を自分という器の
中に保持し、全部をひとつながりの大きな物語にして語れる。この二つのはっきりした区別は今回初耳。口承というと一字一句言葉を伝えるような印象を受けるが、伝承の核心においては言葉を介さない以心伝心のリアルな追体験をするとのこと。 

                       (レポート:サキノ)

ポーラ・アンダーウッド来日講演

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