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今度の選挙で何を選ぶのか
大野 拓夫

◆今度の選挙で何を選ぶのか◆

突然やっきた今回の衆議院選挙。でも、何を基準に誰を選んでいいのか良くわからないという方が多いのではないでしょうか。「小泉さんは『改革』をやってくれるようだし、何となくいいのかなあ・・・?」「民主党はまじめっぽいけど、迫力がないなぁ」などなど。

本当は、争点は明確なのです。それは郵政民営化でも自民党改革でも、もちろん「刺客」でもありません(笑)。
私が「困ったものだなぁ」と思うのは、小泉総理も、民主党もマスコミも、本来明らかなはずの争点を、お互いの思惑からか、あるいは能力の不足からか、明確に示していないまま選挙に突入してしまったことです。特に、批判的な目を持たなければならないマスコミが「小泉劇場」の放映を無批判に繰り返している状況は、日本が戦争に突き進んだ70年程前のメディアを思い起こさせます。

◆政治の世界で起こっている変化

 小泉総理は、これまでの総理大臣の中でも最も多くの「改革」を成し遂げて来た人物と言えます。それは彼個人の実力というよりも、制度的な変化によるものが大きいのではないかと思います。細かな説明は省きますが、中曽根政権以降、総理大臣の権限は次第に拡大され、総理とそれを支えるスタッフ(主として官僚)の力が強化された一方で、議会はその力を失いました。また、細川政権以降の選挙制度改革(主に小選挙区制と政党助成金制度の確率)は、それまで比較的多様な意見を内包することのできた政治から、2大政党制と政党内の権力集中へと変化しました。総理大臣の権限は限りなく大統領に近い存在になったと言えます。それを最大限に利用したのが小泉総理なのです。

◆小泉改革は本当の改革なのか?

 小泉氏は「改革」を旗印にしてきました。しかし、彼が総理を目指して以来一度も「何を目指す改革」なのかを示したことはありません。国のビジョンを示すこと無く「改革」を進めて来たという意味では、歴史上まれに見る政治家と言えます。また、それこそが彼の目指す政治の本質と言えなくもないかもしれません。
 例えば今話題の「郵政改革」の実体について見てみましょう。2000年現在、私たちが預けている郵貯と簡保のうち、国債や地方債、財投などへの貸し出 しの合計は304兆円余りで、総資産の実に92%にのぼります。政府の財政問題でも明らかなように政府予算の多くが、無駄な公共事業やODAなどに消え、不良債権化している実体を考えると、私たちの貯金や保険は既に元本の大半が無くなっていることになります。私たちが「ある」と思っている貯金は、その大半がすでに国によって使われてしまったのです。
 小泉郵政改革の実体は、これらの不良資産を「民営化」と称して、国から切り離しすことにあります。つまり「こんな巨大な借金は国で責任を持てないから、皆さんよろしく」ということなのです。その先のビジョンがあるのかどうかはわかりません。常識的に考えれば、回収の見込みの無い数百兆もの借金を抱える金融機関が、民間企業として存続するなどということはないでしょう。また、国の責任を問わずに、何の責任も無い郵便局員に詰め腹を切らせるということも大きな問題です。
 今、本当に必要な改革とは、私たちの税金を無駄に使いながら1000兆円を超える借金をつくってしまったこれまでの政府の責任を明らかにし、その構造を断ち切ることでしょう。残念ながら、小泉さんのやっている「改革」は、根本的な問題には触れないまま、人々の犠牲ばかりが多くなる「逆行改革」とも言えるものなのです。
参考
http://www.grsj.org/book/booklibrary/106.pdf
http://www.geocities.jp/muraki_file/Column/toukou.html

◆小泉総理がこの4年間で最も進めたことは?

 小泉総理は、確かにいくつかの「改革」を実現しました。経済特区を設けたり、中途半端ではあるものの、道路公団の民営化を進めたり。しかし、小泉内閣が最も本気で進めたことは、日本の軍事化です。
 その象徴は、ありもしなかった「大量破壊兵器」という口実で、アメリカが始めたイラク戦争に自衛隊を派遣してしまったことです。イラクでは今回の戦争によってすでに10万人以上の人々が殺されています。その多くは、非戦闘員である女性や子ども、老人たちです。イラクで米軍に対するテロ攻撃が続くのは、こうした人々の苦しみや憎しみが、政治的に利用されているということなのです。その余波がスペインやイギリスでの大規模テロでもあり、私たちの日本でもその危険は高まっていると言われています。
 イラク派遣以外にも、この4年で日米の軍事的連携は極めて緊密になりました。また、国内では、盗聴法、有事三法、報道規制、テロ特措法、国民保護法、そして憲法改正と、戦争を遂行するための数々の法制度が可決または準備されています。同時に、日の丸・君が代の強制、各地の公立学校での右傾教科書の使用採択など、戦前に近い世の中の状況づくりも進んでいます。これは、近い将来、私たち自身を縛る重く大きな鎖となるでしょう。
 また、悪化し続ける中国・韓国などアジア地域と日本の関係も大きな損失と言えます。過去の歴史を顧みれば、バランスを欠いた外交は必ずと行って良い程、戦争に繋がってきました。

◆では何を選んだらよいのか?

 私がお願いしたいのは、こうしたことを皆さんの目で検証して頂きたいということです。そして、もし賛同して頂けるのであれば、ぜひ、今回の選挙で行動 してみませんか。小泉さんに「まった!」をかける一番良い方法は、自民党を選挙で「勝たせない」ことです。「民主党も結局同じ」という人も多いでしょうが、私たち有権者の多くが「戦争に反対だから自民党を選ばない」「本当に必要なのは、くらしのための改革」という意志で投票すれば、どの政党も簡単に軍事化の道を歩んだり、くらしの問題を忘れることはできません。少なくとも時間稼ぎはできるでしょう。
 選挙制度の現実から、小選挙区では民主党や勝つ可能性のある野党の候補者に入れる。比例区では社民、共産など少しでも「平和」や「くらし」を考えてくれる可能性の高い政党に投票し、候補者には「あなたに入れるから、平和のことを考えて行動して欲しい」などと直接申し入れるのも良いでしょう。小さな行動も数が多くなれば、大きな力になります。

◆こんな挑戦をしている人もいる

 最後になりますが、小泉はこんなに危険なのだと自らの人生を投げ打ち、ドンキホーテのように「問い」を発している人物がいます。それは元レバノン特命全権大使の天木直人さんです。彼は、多くの支持者の静止を聞かず、無謀にも小泉首相の選挙区で出馬してしまいました。無所属で全く当選の可能性の無いたたかい。彼は「小泉は危険だ」という警笛を私たちにならすためだけのために、出馬しました。私を含め、殆どの人は彼のために直接応援することも投票に行くこともできませんが、元外務省の高級官僚で、国家の危険な内実を知る彼のメッセージだけは受け取ることができるでしょう。ぜひ、彼や勝手連のホームページを御覧下さい。
参考
http://amaki.voicejapan.net/index2.html
http://easyform.net/bn/Fx.exe?Parm=ns0103!NSBBS-G

                 大野拓夫

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