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ミス・アプリコットで聞く@
「無添加・自然派」化粧品が危ない!?


  化粧品やシャンプーなど日常的に使われるもので肌が荒れるなどの被害が絶えないのはなぜだろう。消費者の苦情件数では食品や家電製品等を押さえて常に化粧品がトップの座を占めているという。環境に配慮し動物実験をしない化粧品類を作っているミス・アプリコットの久下さんに、専門的な立場から化粧品の選び方や添加物について伺った。


化粧品被害がなくならないわけ

 化粧品被害がいつまでもなくならない一番の問題は、全成分表示をしてないせいだと思います。化粧品の原料には2586種類(その中の一つが「香料」)もあり、それにプラス香料が5000種類くらい使われています。その中で、消費生活センターで化粧品苦情窓口というのをやった時に、一番多かった化粧品被害というのは、95%くらいまでが香料と着色料だったんです。それを除くと少なくて、防腐剤・殺菌剤で5%以下です。
--- 被害というと、それが一番多いような気がしますけどね。
 それは表示の仕方にも問題があって、たとえば香料には5000種類も使われているのに、表示はただ「香料」としか書いてないんです。それと全成分の中で表示指定成分というのはたった100種しかないんですよ。あとの2500種類近くは書かれないわけ。だからほとんどザル法で、表示指定成分が逃げ口上になっていて、それさえ書けばいいということになっているんです。だから全成分を書かせようということで、日消連も全成分表示運動をやってますね。食品に関しては消費者の知る権利、自分が食べる物だからということで一応全成分表示をすることになったんですよ。まだ不十分だとは言われてますけど。去年あたりからそういうふうになったんです。だから化粧品に関してもそうあるべきだと思うんです。

表示指定成分は誰のため?

 表示指定成分という制度がつくられたのは昭和55(1980)年です。これまでに17年も経過しているのに、追加されたのがたった2品目なんですよ。新規原料を含む化粧品の承認申請は、平成7年だけで2000件以上もあるのに、そんなバカなことってないでしょ。どんどん作られている成分の中ではまだわからない、表示指定成分にすら指定されてないものがたくさんあるわけです。結局、化粧品被害が出て誰かの目がつぶれたとか、そういう事件が起こって初めて、それは危ないからと表示指定成分になったりするんです。要するに薬害事件みたいに死人が出て初めて規制するという厚生省のやり方は同じですよ。
 だから、表示指定成分を使ってないから安全だと思い込まされるのはとても危ないことで、逆に化粧品メーカーにとってはそれが逃げ口上になってるんです。たった100種の表示指定成分があるために、それさえ使わなければ無添加化粧品と書けるわけですよ。
--- え、指定成分以外の何かの成分を使っていても無添加と言えるんですか? へぇ〜!
 ええ、だからそれが隠れ蓑になって真実が明かされないから危ないんですよ。「自然派・100%無添加とか、一切添加物は使用してません」と言いながら、実際には表示指定成分は使用していないというだけで、添加物と彼らが呼んでいるのはその100種だけなんですよ。だから例えばフェノキシエタノールのような合成防腐剤を使っていても、堂々と「無添加」を標榜するような事例が多々あるんです。

パラベンは使えん?

--- 保存料のパラベンもその100種類の指定成分の中に入っているんですね。
 ええ。ただパラベンは長く使われている物なので、化粧品被害がどのくらい起こるかわかってるんです。もちろんそれを使ってアレルギーを起こす人は、それが一切入らない物を使うしかないですけど。
--- じゃあパラベンに弱い人は、店先で成分表示を見て、パラベンが入っているものは買わないで別のものにすればいいと。でももし別の物が入っていても、表示してなければわからなくて選びようがないということですね。
 うちは全成分表示してますけど、長く使われていて安全性も危険性もわかっているものは使用しています。たとえばパラベンだと、アメリカで化粧品被害で皮膚科にかかった人の0・8%がパラベンなどの防腐剤が原因じゃないかと疑われた患者さんだったんです。そういう人にはパラベンの入った物を使わないで頂くしかないんです。
--- じゃあ、実際に化粧品を使ってる人全体からみると、被害者はほんとにわずかな数字になるわけですね。
 まあ、それ以外の人にとっては統計からみると問題なかったということですね。だからといって、パラベンを奨励するわけではないのですが、植物原料は石油系の合成物よりは腐りやすく、腐ったものを顔につけてしまうという危険性は万人に起こりうるものですから、パラベンで異常反応を引き起こす確率と比べて、確率の低い方を選ばざるをえないということですね。植物抽出の作用が穏やかな防腐剤なども研究したり、試作を作ってもみましたが、やはり2〜3カ月で酸化したり、細菌感染したり‥‥、まだパラベンに置き換えられる物が見つかっていません。作用が穏やかでも、添加量を多くすれば危険性は同じですから、「フェノキシエタノール入りで無添加!」みたいな消費者だましはしたくないので。(*ごく最近、化粧品工業連合会の報告で、「フェノキシエタノールを添加したアイスクリームでは、使用者の半数に目が充血、腫れる等の障害が出た」というのがあります)
 パラベンでは0・0‥‥?%でアレルギーを起こす人がいますが、一方ではオリーブで起こす人もいます。それがどっちが多いかというのも一概に比較できないんです。だから自分がどれでアレルギーが出たのかがわかるように、成分を全部書いてもらわないと、それさえもわからいということですね。
--- 実際には何らかの防腐剤を入れないと、製品としては出せないんでしょうね。
 出せないというか、腐りますね。製造してから1カ月とか2カ月以内に必ず使うというような管理ができないと。だから輸入とかは当然出来ないでしょうね。腐った物をつけた時の危険性がありますからね。そっちの危険性とパラベンの危険性とどっちが大きいかと比較すると、腐った物を付けたときの危険性は万人に生じるものですからね。
--- 化粧品て大体どれくらい持つものなんですか。
 常識的には製造されてから1年以内。サンブロックのようなシーズンものは1シーズンと考えたらいいと思いますね。
 パラベンなどの他にはアルコールにも殺菌力がありますから、スキンローションの中にはアルコールで対応できれば、パラベンの代わりにアルコールを使ってるものもあるんです。でもこんどはアルコールでアレルギーが出たり弱い人がいるので、逆にそれが使えなかったりして。だから防腐剤については、もう選択肢でしかないと思うんです。でも何か入れない限り腐らない物はできないので。そうすると、なるべく長く使われてきた物の方が明らかだと思うんです。そしてそれを必ず表示するということが大事ですね。



石けんと合成洗剤の狭間

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