「2012年」の真相と太陽系異変

 

マヤ暦の真義

  マヤ暦の終わりの日を焦点に、論議が集中し、人類滅亡、あるいはアセンション(次元上昇)の時と言われ、期待されていた(?)2012年12月21〜23日には、何もこれといったことは起きなかった。マヤ暦もマヤの人たちも、地球と人類の滅亡など語ってはいないが、終末論好きな西欧人らが、我田引水の解釈で、それを地球滅亡の予言に仕立て上げたのだ。
 ノストラダムス予言に関してもそうだった。あの有名な四行詩―「1999 7の月〜」の中では、人類が滅亡するなんてことは一言も書かれていない。それがどういうわけか、人類が滅亡する終末予言として解釈され、その認識が固定化してしまった。
 単純で根本的な誤解なのだが、あの詩句をもう一度じっくり読んでみれば、誰にも分かることだ。それにノストラダムス予言は、西暦3797年に至るまでの予言詩が存在するのである。

  マヤ暦に話を戻すと、マヤ研究家の第一人者であるグッドマン、マルティネス、トンプソンの研究によって、マヤの長期暦の起点が、「紀元前3114年8月13日」とされていたので、長期暦の終わりは5125年後の2012年12月22日となる。ただし、5125年という大周期は、マヤ暦の構造上、定数と考えていいとしても、その起点を「紀元前3114年8月13日」と確定するのはどうなのか。5000年以上前のことを日時まで特定できるものだろうか。今回の大周期の起点が紀元前3114年8月13日であったとしても、それをそのままグレゴリオ暦と対応させていいものかという問題もある。
 マヤの神官であるドン・アレハンドロは、マヤの長期暦の終わりについて、「グレゴリオ暦における2012年12月22日には特定できない」と語っている。
 彼は「そう遠いことではない」と述べつつも、それが正確にはいつであるかについては、言及を避けている。

 ドン・アレハンドロは言う。
「自分たちは、遠い昔にプレアデスからやって来た人々によって大いなる知識を与えられ、偉大なマヤ文明を開花させた。長期暦の終わりの日は、そう遠からずやって来ます。その時には地球が真の暗闇に包まれ、やがて新しい太陽を見ることになるでしょう…暗闇に包まれた後、新しい太陽を見る―」
 どうやら、マヤの神官たちも長期暦の終わりには、何か大きな変化が地球と人類に起きると考えているようだ。そして、その到来は、2012年ではなかったが、そう遠いものではないという。
 喧伝された「2012年12月」が過ぎてしまったことで、予言は当たらなかったとして、マヤ暦は早くも忘れられつつあるようだが、実は誰もが、その真義を知らないだけなのだ。

 ドン・アレハンドロは、非常に気になることを言っている。「地球が真の暗闇に包まれる」、「新しい太陽を見る」―これは、いったい何を意味しているのか?
 いずにせよ、これから地球と人類に何か大きな変化が起きるとして、「本番」は、まさにこれからのようである。地球上でも、宇宙でも、その前兆と言える様々な現象が、加速度的に進行しつつあるのが今なのだ―。

チャネリング情報の疑問

 私は、チャネリング情報は一概に否定するものではないが、「2012年」も含めて、チャネラーを介する“宇宙存在”、高次(?)の意識体とやらの予言や託宣が、ズバリ的中したことは、この二十数年に限っても、私の知る限り一度もない。予言が外れると、後になって、そのシナリオは修正されたとか、回避された等と言い訳めいた都合のいいメッセージが出てくるのが常だ。今回の「2012年12月21〜23日」に関してもそうである。
 要するに、彼らもまた本当のところは何も分かっていないのだ。
 あやふやな“宇宙存在”の語るヴィジョンより、実際の宇宙をじっくり観察し、思考を深める方が先決だろう。

 また、チャネラーらが語る宇宙知識は、初歩的な間違いやデタラメが多く見受けられるので、要注意である。たとえば、太陽系はプレアデス星団の周りを2億数千万年の周期で公転しているとか、さらにプレアデス星団はシリウスの周りを公転している等と、天文学者もびっくりするような珍説を平気で語ったりしている。これでは、アセンションの話も同様に笑われるだけである。ちなみに太陽系とプレアデス星団は約400光年の距離があり、シリウスは約8光年の近い距離にある。太陽系は銀河系において、その中心を軸に2億数千万年の周期で公転しており、プレアデス星団の周りを公転などしていない。

 もう一つ、おかしな情報が流れている。2012年3月8〜11日にかけて、太陽近傍のコロナの中に、黒いフィラメントと共に木星並みの大きさの黒色の球体が出現したが、一部のチャネラーが介する「異星人」からの情報によると、彼らはこれを“巨大UFO”と称しているのだ。この黒色の球体は、その後も何度か観測衛星SDOによって撮影されており、その中には太陽をバックにして、その輪郭が透けて見える写真も存在している。
 私の見るところ、この球体はどう見てもUFOではなく、見た通り暗黒天体と呼ぶべきものである。
 最近、太陽周縁に惑星クラスの大きさの超巨大UFOが出没しているのは事実だが、何でもかんでもUFOと称するのは慎重な判断が必要だろう。驚くべきことに、この黒い球体は、2012年の3月、4月、6月と、少なくとも3度にわたって出現しているのだ。
 その正体は、いったい何か? 私の直観では、この暗黒天体は、今後の地球の命運にも深く関わってくるファクターになる気がしてならない。今後の発見や報告を、注意深く見守りたいところだ。

太陽磁場に現れた異常現象

 太陽からの暗黒天体の出現が合図だったように、その前後から、太陽磁場に異変が起こり始めた。5月、国立天文台が太陽に発生したポールシフトを観測。磁場の反転により、「4つの磁極」が現れた、と発表したのだ。従来の磁極は磁力線が南極側のN極から出て、北極側のS極に入るという一般的な構造(2重極)だった。それが南北の両極域にN極、太陽の赤道付近にS極ができるという構造になったという。この磁極反転、本来は今年起こるはずだったのが、予定よりも1年早く発生した。国立天文台によると、この事態が今後、地球がどのような影響を被ることになるのか、現時点では不明という。

 昨年のこの磁場反転後の8月、今度は太陽の表面に、まるで太陽を2つに分割するような巨大な黒いフィラメントが出現した。これは8月5日からの3日間の間に急速に発達し、長さ100万km近くまで達した。
 磁場の異変のせいか、太陽表面での爆発もまた顕著になった。11月16日の南半球での大爆発では、爆発の規模があまりにも巨大だったため、観測衛星SDOもその光景の全てを捉えきれなかったという。この爆発によって噴出したコロナやフィラメントの高度は、70万km以上に達した。これは地球の直径の60〜70倍に相当する。巨大なフィラメントといい、大爆発といい、これは今後太陽で起きる可能性がある大きな異変の兆しと言える。

太陽系惑星の異変

 異常な活動を見せているのは、実は太陽だけではない。太陽の磁場異変は、太陽系全体にも大きな影響を与えている。各惑星においてもここ数年来、これまで観測されなかった異変が起きているのだ。たとえば金星。この惑星は本来、磁極を持たない。だが、その金星で、磁極がないと発生しないはずのオーロラが観測されている。なぜ金星にオーロラが現れるのか? 実は近年、金星には磁場こそないが、巨大な「磁気の領域」があることがESA(欧州宇宙機関)の観測で判明した。つまり金星のオーロラ発生の原因は、その磁気領域が突然、活発化したとしか考えられないのだ。

 火星にも異変が起きている。地殻変動である。これは昨年2月にイギリス、ロンドン大学の研究チームが発表したもので、「火星でM7クラスの地震が比較的最近に起きていたことを示す痕跡を見つけた」という。NASAの火星周回衛星「マーズ・リコネイサンス・オービター」が撮影した画像を分析した結果である。
 同じく3月19日、アマチュア天文家によって火星の地表から約240kmの高さに雲のようなものが噴出している光景が撮影されている。これが火山噴火などの自然現象だとすれば、とんでもないことが起きているという。この現象はその後も観測されており、火星の地殻活動がにわかに活発化しているということだ。
 また、木星では赤道縞模様や大赤斑が消えたり、新しい赤斑が現れたりしている。これもまた、磁場の激しい変化を示唆する現象と言える。
 土星とその衛星では、雲にも異常が認められている。そして2011年7月、スーパーストーム(大嵐)が探査機カッシーニによって観測され、写真に撮られている。
 スーパーストームのスケールは想像を絶するもので、地球などたちまち吹き飛ばされてしまうほどだという。

 さらに同年11月、2度にわたって、太陽から約28億キロ離れた天王星の青緑色の表面に、史上初というオーロラが観測され、ハッブル宇宙望遠鏡が撮った画像が公開されている。地球に現れるカーテン状のものとは異なり、白い点状である。
 異変は冥王星でも起きている。2010年2月4日、NASAがハッブル宇宙望遠鏡で撮影した冥王星の写真を公開し、その輝きが数年前より赤みを増していると発表した。
 冥王星もまた、太陽磁場の影響を受けている。そして当然、我々の住む地球も、である。

地球磁場反転の前兆?

 RAS(ロシア科学アカデミー)発行の最新報告書によれば、昨年5月25日から数週間にわたって続いたノルウェー海の海底地震は、海底下8.8キロという浅い震源で発生したM6.2の地震だったことが明らかになった。アメリカの地質調査所のデータでは、震源地はノルウェー北西部トロムソの沖合601キロ。NOAA(アメリカ海洋大気庁)によると、この地震をM6.5とし、局地的に津波が発生すると警戒警報を出した。
 原因は北磁極(磁極としての北極)が1000キロ近くも移動するという“予想外かつ急激な”変化にあるという。2011年1月、NOAAの国立地球物理学データセンターも公表している通り、現在、北磁極は史上最速のペースで移動を続けている。その結果、近代交通システムから、季節ごとに渡りをする動物たちのルートまでもが影響を受けているのだ。
 磁極は、過去200年間にわたってカナダの極寒地帯に位置していた。だが、このところ、1年間に64キロというペースでロシア方向に向かって移動し続けている。移動のスピードは過去10年間だけで33%も上がり、それに伴って磁場反転が発生する可能性が語られ始めている。方位磁石の針がこれまでと逆、つまり北ではなく南を指すようになるということだ。こうした現象は、100万年ごとに3〜7回起きるとされている。それが今、再び起きる可能性が高まっているのである。

 ロシア科学アカデミー・シベリア支部地球物理学研究所所長ヴィクトール・セレズニョフもまた、昨年2月26日にシベリア東部トゥヴァ共和国で起きたM6.8の地震に関連して警告を発している。セレズニョフは、今後さらに地震が頻発するだろうが、それは地球の「磁極移動=ポールシフトが急速に進む前兆だ」と指摘した。セレズニョフ含む科学者チームは、過去2週間にわたってトゥヴァ共和国一帯を監視し続けてきた。これは昨年2月9日、および12日に起きた“謎の爆発”を踏まえた上での監視体制だった。
 彼らが注目した大爆発は、西シベリア南部のケメロヴォ州ベロヴォという町の付近で起きたもので、その爆発は1908年6月30日のツングースカ事件を彷彿とさせる規模だったという。同チームがまとめた報告書は、謎の爆発とシベリアで頻発する地震の因果関係を読み解く鍵が、地球の北磁極の急速な移動にあるとしている。
 その移動速度は過去50年間で2倍に上がり、特に顕著だった1990年代には、北極海に向けて1年に55キロ以上移動したという。

 磁極移動が北半球にもたらす直接的な悪影響が、ジェット気流の分断現象だ。その結果、北アメリカ大陸で夏には記録的な乾燥と高温、冬には猛烈な寒波をもたらし、ヨーロッパも寒波と豪雪に見舞われている。セレズニョフは、“完全な”磁極反転の発生を示す物証が存在し、それに関する集約的な討議が現在進行中であることを、報告書の中で明らかにしている。彼曰く「地球は間違いなく“ラシャンプ型の大規模な地磁気エクスカーション”のさなかにある」という。
 この地磁気エクスカーションとは、磁場反転と同じく地球の磁場に起きる著しい変化のことだ。ただし磁場反転とは異なり、大規模な方向変化が起きるのではなく、「場合によっては45度に至る極方向の変化を伴いながら、短期に起きる磁界強度の激烈な低下」なのだという。ラシャンプ型地磁気現象は7000〜1万7000年前に起きているが、その現象が今、そう遠くない時期に起きる可能性があるという。
 こうしたロシアからの情報を鑑みれば、太陽異変によって生じたらしい北磁極の移動は深刻さを増している。

 これに関連して、注目すべき事実がある。ロシアとEUの公的機関が磁極のシフトの発生を懸念し、対策を講じているというのだ。ロシアではモスクワだけでも5000カ所に及ぶ緊急シェルターを増設しているという。EUは、“Doomsday Seed Vaut=終末の日の種子庫”の建設に乗り出している。一方、アメリカもまた、緊急事態に備えて、かねてから対策用の地下都市、基地の建設を進めている。

 方位磁石の針が南を指すようになる磁場反転にまで至らなくても、地磁気エクスカーションと呼ばれるような地球の磁場に著しい変化が起きたら、どういうことが起きるか、地球の気候、人体への影響、太陽との関係を含めて、未知の領域であり、予断を許さない。
 NASAは、今年の秋頃に太陽はサイクル24の極大期を迎えると予測している。さらに、予測が難しい太陽圏と接触しつつある星間雲からの衝撃波と、銀河中心からのスーパーウェーブ(高エネルギー宇宙線)というファクターも加わってくる。
 地球も、太陽も、これから未知の大きな変化を迎えようとしていることだけは歴然としている。「2012年」に関係なく、宇宙は、まさにこれからダイナミックなシフトに向かおうとしているのだ―。



*画像は『ムー」より転載



 

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