“プロジェクト・ペガサス”と火星秘密基地 (その3)

 

陰謀説と宇宙のスターゲイト

 アンドルー・D・バシアゴ弁護士は、2008年に『火星生命の発見』を発表し、軍産学複合体の陰謀と支配のいわゆる“内部告発者”としてカミングアウトした。以来、これまで紹介したような奇想天外な体験告白を発表したおかげで、同じ内部告発者でも、かなり浮いた存在になっている。一つには、軍産学複合体の内部告発者は通常、元々政府や軍や情報機関で働くうちに告発しなければならない秘密を知ってしまった人たちだが、バシアゴは少年時代と大学生時代に、強制的に時空トラベル実験プロジェクトの被験者にされただけで、軍産学複合体の組織内では全く仕事をしたことがないからだろう。
 火星テレポート実験の終了後に強力な心理ブロックをかけられたせいか、ペガサス計画の被験者だったことは中年になるまで記憶から全く消えていたが、世紀が変わった頃から被験者だった記憶が少しずつ甦ってきたらしい。

 バシアゴの“ペガサス体験”と“火星体験”に関する記憶で、これまで思い出した分を、全面的に肯定し支持する最高の理解者は、宇宙政治学者アルフレッド・L・ウィーバー博士だ。1942年生まれのウィーバーの経歴も、バシアゴに劣らず教養豊かな知識人であることを証明している。名門イェール大学出身で、国際法で博士号を取得。国際的な宇宙法の基盤となった有名な宇宙条約(宇宙憲章)の共同起草者となる。以来、作家、法律家、未来学者、平和運動家、そして宇宙兵器禁止条約の推進運動家など幅広く活躍している。 そのウィーバーが現在最も重点を置いている活動が「宇宙政治学」なのだ。
 宇宙政治学とは、地球外文明が昔から地球を訪れている証拠はすでに出そろっているが、アメリカと主要諸国の政府機関と軍部の双方によって、その証拠が隠蔽され続けてきた、との大前提の上に成立する学問研究の新分野である。

 彼の宇宙政治学的信念は、「宇宙は生命に溢れている」というもので、人類以上の文明レベルに到達した知的生命体が無数に存在する。大多数の異星人は物質・精神共に高い文明レベルに達していて、平和で理想的な“宇宙社会”を構成し、超高度の時空トラベル技術を自在に駆使し、宇宙中を自由に往来していると確信している。
 だが、軍産学複合体はそのような宇宙の真実を知りつつ、UFO由来の宇宙技術やフリーエネルギー技術を隠し、自分たちの利益独占のみに利用している―。
 ウィーバーにとっては、バシアゴの仰天するような内部告発の主張こそ、自らの宇宙政治学の主旨にぴったり合うように思えるのだろう。

 もう一人の宇宙政治学のパイオニアが、オーストラリア生まれのマイケル・サーラ博士だ。メルボルン大学で哲学の修士号を、クィーンズランド大学で政治学の博士号を取り、2004年までアメリカン大学で教鞭を執ってから独立し、ハワイにUFO/ET問題専門の宇宙政治学研究所を設立。以後はここを拠点に活動範囲を世界に広げている。
 サーラの宇宙政治学的信念はウィーバーとは大前提は同じだが、対照的だ。どれほど高度な文明レベルに達しようが、肉体を脱ぎ捨てられない生物である限り、地球外知的生物の思考と行動は地球人類と変わらない、とするのだ。
 異星人も人間と全く同じで、“いい奴”もいれば“悪い奴”もいる。地球社会を裏で支配する軍産学複合体と、秘かに何らかの密約を結んだり、結託して行動する異星人がいてもけっしておかしくない―。
 したがってサーラの考えでは、人類に接触してくる地球外知的生命体に対しては、相手の真意が判明するまでは常に警戒を怠らず、人間行動学・軍事学と宇宙政治学的分析に基づく外交戦略と情報戦略をもって対処すべきとするのだ。
 当然ながら、バシアゴを無条件に支持する同僚のウィーバーに対しては、学者の理性をどこへ放棄したのかと厳しく批判する。

 そこでサーラはこう結論する―。
「2人とも自分ではそれと気づかないうちに、マインドコントロールの餌食となり、何らかの陰謀計画に加担させられているのではないか?
 彼らが課された任務は、火星の秘密プロジェクトについてちょっぴり真実を暴露することだが、ただ、その発表の仕方があまりにバカバカしいので、そのような主張を真剣に研究したいと思っている人々に、かえってそっぽを向かせる結果になる―」

「これは古典的な心理戦術の一つであり、真実は皆の目に曝されながらかえって隠れてしまい、何が起こっているのか真剣に調査しようという気持ちを躊躇わせてしまうのだ。
 バシアゴはペガサス計画の被験者の時代に、ウィーバーは多分エール大学時代(当時、“松明と鉤爪”という秘密結社のメンバーだったと本人も認める)、あるいは市民活動家の時代に、さりげなく洗脳されてしまった可能性がある。とりわけバシアゴの場合、ほかの内部告発者がそうすることで結果的に職を失うことが多いのに、現在もなおワシントン州で堂々と弁護士業を営んでいられるのは、実は軍産学複合体の陰謀の一端をそれと知らずに担っているからだ。バシアゴは純粋な内部告発者ではなく、見せかけの内部告発者、というのが私の結論である」

 バシアゴの正体に関するサーラ博士の鋭い指摘には、非常に納得できるところがある。
 しかし、それでも博士の言う通り、バシアゴの主張の核心的な部分だけは真実に違いないようだ。それは何なのか?
 ほかの多くの火星テレポート体験者の内部告発とも共通する核心部分は、タイムトラベル/テレポーテーション技術から誕生した“時空瞬間移動装置”だ。現実問題として、すでに多くの宇宙科学者たちが、“天然スターゲイト”は実在すると考えている。時空連続体に、極端に強力な電磁場とプラズマによって形成される通称“ワームホール”(プラズマトンネル)だ。ワームホールは空間と空間を短絡するメカニズムだから、宇宙と宇宙の間、次元と次元の間、パラレルワールドとパラレルワールドの間にも想定することが可能だ。
 これに理論物理学者たちの“量子宇宙多世界解釈”(エヴェレット/ホィーラー説)、“量子宇宙多歴史解釈”(ファインマン説)を組み合わせれば、理論上はあらゆる枝分かれした時間線世界を“親殺しのパラドックス”も心配することなく、過去へも未来へも時空トラベルできることになる。

 また、ハワイ在住の異端の天才物理学者ナシーム・ハラメインは、宇宙のあらゆる恒星(太陽)の中心に時空特異点(事象の地平線)が存在し、地球外または超次元の宇宙文明が、それを“スターゲイト”として利用している可能性を指摘する。最近、太陽近傍で出現している超巨大物体―UFOは、この太陽スターゲイトを介して異星や異次元、異宇宙から飛来している、とハラメインは主張している。

 宇宙政治学者サーラ博士が断じたように、アンドルー・バシアゴ弁護士は、やはり“見せかけの内部告発者”なのか? 疑惑に包まれたまま、バシアゴは今年もテレビやインターネットのYou tubeに自ら進んで出演して、アメリカの“極秘火星進出計画”の明白な証拠という“秘密基地”“秘密植民地”の米議会調査の一刻も早い実行を要請している。バシアゴはまた、国防総省とNASAが火星進出という“厳然たる事実”を隠蔽しようとしている不誠実な態度を非難し、ウォーターゲート事件になぞらえて、“マーズゲート”と命名した。
 一方、火星の秘密植民地行きを勧誘されたローラ・アイゼンハワーも、しばしばバシアゴと一緒に、あるいは単独で各種のメディアに登場し、「この“第3の選択”に投じる数兆ドルもの無駄金を、人民の新たな目覚め、環境に優しく自然と共存する新地球文明の建設という“第4の選択”に使ってほしい」と懇願した。

 そして、バシアゴ弁護士とローラ・アイゼンハワーは、2010年3月、地球外の惑星への人類のプレゼンス(植民と定住)について、次のような声明を発表した。
「地球は過去、幾多の災厄に見舞われ続けてきた。だから我々はほかの天体にも人間の植民地を建設して、ヒトゲノムを守らなければならない。とはいえ、そのような計画が秘密のベールに包まれると、政府が個人の自由意思を奪い取り、人類の全未来に影響を与える問題の討議から人間自身を閉め出し、惑星の運命を変えかねないので、我々は自由の民の良心にかけて、そのような計画はけっして軍産学複合体の暗い通路ではなく、公民の精査という明るい陽光の下で進められることを要求する」

 はたしてアンドルー・バシアゴは、どこまで真実を語っているのか? 公には、NASAの火星への有人宇宙探査は、これから準備と様々な段階を経て、実現するのは20〜30年先ということが米国政府からも発表されているが、バシアゴら内部告発者が語るように、すでに時空トラベル技術によって、火星へのルートが開かれ、多くの人間が火星に進出し、基地も存在しているのだとしたら、表向きの旧来のロケット技術による莫大な予算をかけた宇宙開発計画は、何のためにあるのだろう。
 NASAとペンタゴンのコンピューターに侵入したゲーリー・マッキノンが確認したように、アメリカ軍は、すでに“宇宙艦隊”というにふさわしい火星へも往復可能な宇宙船も、秘密裡に所有しているのかもしれない。これは表向きの宇宙開発にも対応したものだが、もう一方では地球―火星間の“スターゲイト”を通じて直接、人間や物資を送り込んで、着実にプレゼンスを広げる。一見、矛盾するようだが、そういう二面作戦が行われているのではないか。
 また、多くの内部告発者が、火星に存在するという地球人類とは別の存在について言及している。これに関しても多くの人は、下手なSFのように思えて、にわかには信じられないだろう。私なりにこれまで研究したところでは、火星の現在の環境は、通常言われているよりずっと地球のそれに近く、そこには古代のそれを含めて人工構造物や地下都市のようなものが存在していることを既に確信している。

 “マーズゲート”の真相は明らかになるのか、それとも、これまで通り当局とメディアの徹底した無視によって、うやむやのまま過ぎていくのか。すでに確認したように、これらの中に、見過ごせない事実、真実が存在している。その中には、現行科学のパラダイムをはるかに超えるとてつもない発見、事象がある。時空トラベル/テレポーテーション技術一つをとっても、そこから全く未知の世界と次元が見えてくる。
 そのテクノロジーとは、機械装置による人工的な一種のアセンション(次元転移、次元移動)だ。一部の人間が極秘にそういうテクノロジーを独占し、勝手に用いているのだとしたら、これも非常に危険なことで、人類全体に対する背信行為といっていい。
 少なくとも、その事実は必ず暴露され、公開されなければならない。
“マーズゲート”の向こうに、驚くべき宇宙の真相と真実が垣間見えている。
 火星に関しても、そして太陽に関しても。そのことが公のニュースで報道される日も、そう遠い先のことではないだろう―。



 

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