“プロジェクト・ペガサス”と火星秘密基地 (その2)

 

バシアゴが火星テレポートで見たもの

 1972年以後、中学・高校・大学時代を通して8年間、アンドルー・バシアゴはペガサス計画とは無縁になり、一般の子弟と同様の学生生活を送ることになる。だが1980年早々、当時カリフォルニア州チャッツワースに住んでUCLA(カリフォルニア大ロサンゼルス校)に通っていた19歳のバシアゴに、突然コートニー・ハントと名乗るCIAのベテラン工作員が踏み込んできた。ハントの目的は、ペガサス計画の次のステップとして、バシアゴに火星テレポート実験を承諾させることだった。
 結局、バシアゴはその年の夏、同州北部のシャスタ山麓にある小さな2年制短大シスキュー・カレッジで、3年間の“火星トレーニング研修講座”を受けることになる。
 これは、火星環境の実状と対応の仕方を学ぶテレポート要員の訓練セミナーで、研修生はバシアゴを含めて10代半ばから19歳までの男女学生10人。講師は米陸軍の科学技術インテリジェンス(諜報)将校で、当時は軍事機密だった遠隔透視(リモート・ビューイング)研究のパイオニアとされるエドワード・デームズ少佐だった。

 バシアゴの証言によれば、この選抜された10人中7人まで、親がCIAと密接な繋がりがあり、バシアゴの父レイモンドも含めて、親たちもみな火星セミナーを聴講したという。そして後年バシアゴは知るのだが、同じ研修クラスに若き日のバラク・オバマがいたのだ。ただしオバマ青年は事情があって、当時は“バリー・ソエトロ”と名乗っていた。
 デームズ少佐は、講義の中で、恐ろしい真実を包み隠さず打ち明けたという。
「我々がこれまでに火星へ送った兵士や科学者・技術者は9万7000人に上るが、そのうち5年後まで生き残れたのは、わずか7000人だけというのが実状だ」

 少佐はさらに、火星には知能のある人間型生物もいることが分かっているが、当面一番厄介な問題は、地表に棲息する様々な肉食動物の餌食にならないよういかに対処するかだ。種類によっては逃げられるが、出会ったら最後で相手を倒せなければ殺されるだけという凶暴な猛獣もいる、と詳しく教えた。
 予想される危険な事態に備えて、バシアゴは火星に出立する直前、CIAのハントから個人的に追加トレーニングを受けたという。

 研修の最後にハシアゴたちはデームズ少佐から、今回の火星テレポート計画の持つ意義をこう教えられた―。
「我々の目的はまず第1に、地球を宇宙の脅威から防御する防衛体制を確立することにある。また第2には、君たち民間人を火星へ送り込むことによって、アメリカが火星における領土主権を主張する法的基盤を確立することだ。そしてこれらの目標が達成されたあかつきには、人類が大挙して火星を訪れるようになる未来への展望がある。
 君たちに課された使命は、火星のヒューマノイドと生き物たちを君たちの存在に順応させることだ。君たちの仕事は見られることで、食べられることではない」

 こうして火星セミナーの研修を終えた10人の若者は、1981年から83年にかけて、ロサンゼルス国際空港に隣接するカリフォルニア州エルセグントのヒューズ航空機社ビル内の“ジャンプルーム”から、それぞれ個々に何回か、火星へテレポートすることになる。

 バシアゴが昨年9月20日付で出した声明によれば、この火星トレーニング研修と火星テレポート体験を終えてしばらくしてから、何らかの心理的ブロックをかけられたらしく、当時の記憶は今でも曖昧で、部分的にしか回復していないという。
 バシアゴがもうひとつ記憶にとどめているのは、1981年から83年の間に、火星のジャンプルーム付近で、研修生仲間だったバリー・ソエトロことバラク・オバマ・ジュニアに出会ったことだ。その時バシアゴは何度目かの火星訪問中で、ジャンプルーム施設の丸天井の下で壁によりかかって座っていたが、そこへ火星の平原地帯から帰還したらしいオバマ青年が、ジャンプルームに近寄ってきて、目の前を通りすぎようとした。
 その時、バシアゴと視線が合い、相手に気がついた。オバマは思い入れを込めてこう言ったそうだ。「お互い、遠くに来たもんだな!」
 ちなみに旧姓バリー・ソエトロは、火星セミナーの翌1981年、母親アンの再離婚を機に以前のバラク・オバマ・ジュニアに戻り、名門コロンビア大学に転学。さらにハーバード大ロースクールを卒業して、順調に大統領への道を歩み始めたことが分かっている。

 それにしても、SFも裸足で逃げだしそうな、あまりにも奇想天外なバシアゴの体験告白を、我々はどう評価すればいいのか。変人の妄想と片づけるのはたやすいが、それにしてはバシアゴ当人の経歴は、オバマのそれと比べても遜色ないほど、立派な知識人、教養人であることを裏付けている。それだけの知性の持ち主が、自分の地位と名誉を賭けてまで、虚言、妄言を弄して世間を騙すことに血道を上げるとは、到底考えられない。
 2008年にカミングアウトして以来、あまりに過激な主張をほかの軍産学複合体内部告発者たちからさえ白い目で見られながら、孤独な闘いを続けてきたバシアゴに、最近やっと心強い味方が現れた。
 1980年の火星セミナーに参加した10人の若者の一人、最年少のウィリアム・ブレッド・スティリングス(44歳)が「バシアゴの証言は全て真実だ」と名乗り出たのだ。
 スティリングスはバージニア州生まれで、ロッキード社とNASA―JPL(ジェット推進研究所)の分析官を務めた元海軍情報部員の父トーマスに、幼年期からインテリジェンス社会で育てられたという。最近まで海軍軍人として、生物学応用技術の仕事をしていた。
 昨年8月、スティリングスはバシアゴと感激の再会を果たし、お互いの記憶が細部まで合致することをあらためて確認したという。
「あのクラスにはたしかに、ソエトロと名乗っていたオバマがいた。火星にジャンプした時もオバマに再会したよ。火星基地ではCIAのハントにも出会ったのを覚えている」

 さらにもう一人、バシアゴやスティリングスとは無関係だが、2006年から翌年にかけて、CIA工作員らしき男から“火星秘密植民地”行き地球脱出計画に是非参加してほしいと、執拗に勧誘された女性がいる。ローラ・マグダーリン・アイゼンハワー。今年38歳。名前から分かるように、アイゼンハワー第34代合衆国大統領の曾孫に当たる。彼女はニューエイジ系の神秘主義芸術家で自然環境保護論者でもある。
 曾祖父は、1961年の大統領離任演説で、軍産複合体の陰謀支配の危険性を警告したことでも有名だ。曾祖父の理想を受け継ぎ、軍産複合体の支配と陰謀に反対するローラを選んで、CIAが陰謀計画へ加担の誘いをかけた意図は分からないが、単なる偶然ではないことは確かだろう。

火星基地の真相を暴露する“関係者”たち

 「火星には生命が存在する。基地も複数存在している。私自身も火星にテレポートされ、知性のある火星文明人と会談した!」
 2009年7月25日、スペイン・バルセロナで開催された「ヨーロッパ宇宙政治学サミット」の公開席上で、“リヴァモアの物理学者”とだけ肩書を紹介されたヘンリー・ディーコン氏は、淡々とした口調で静かに打ち明けた。だが、出席者の誰もが、本名はアーサー・ノイマンとすでに知っていた。カリフォルニアのLLNL(ローレンス・リヴァモア国立研究所)の元所長で、かつては国防総省やNASAの重要なプロジェクトにも関わっ
たれっきとした物理学者だったからだ。 国家陰謀の内部告発者として2006年にカミングアウトして以来、自ら顔を曝して逃げも隠れもしないのに、ヘンリー・ディーコンの仮名を使ってきたのは、ここから先は国家の安全保障を直接侵害するという限度―言い換えれば、己を危険な立場に追い込まない限度すれすれをよくわきまえているからだという。

 LLNLは2009年、世界最大のレーザー核融合施設を完成させたと発表したが、ディーコンことノイマンの主張によれば、実はこのレーザー核融合技術の開発段階で、部外秘に相当するとんでもない事態が発生したという。
 ごくごく微細な一点に超々高エネルギーの配列レーザービームの集中砲火を浴びせて、核融合反応を発生させた途端、“時空の織り目”に亀裂を生じさせてしまったのだ。「時空連続体に亀裂が走るとどうして問題なのかというと、それが大きかろうが小さかろうが、割れ目は割れ目だから、そこに入ってほしくない色々なものが入り込んでくるんだ。信じられないだろうが、生き物も入ってくるし、何かのエネルギーも入ってくるし、“ありとあらゆる気味の悪いもの”が入ってくるんだ。
 そういった時空の亀裂はあらゆる厄介な問題の原因になるから、リヴァモアの科学者連中はET(異星人)たちの助けも借りて、総出で修復しようと必死になる。連中はこっちの目的が何なのか、ちゃんと分かっているに違いない。ただし、いつもうまくいくとは限らないけどね」

 ノイマンの主張によれば、フィラデルフィア実験にせよペガサス計画にせよ、どんな時空をいじくる極秘計画にせよ、結果的に時空トンネルを作って瞬間移動するという真実に変わりはないという。「そしてここ数十年の間に、軍産学複合体は様々な実験プロジェクトを実行して、とうとう“スターゲイト”テクノロジーを産み出した―時空連続体に潜在するポータル(出入口)をこじ開けて、時間と空間を瞬間移動する手段をね」

 ノイマンの指摘によれば、そうしたポータルの一つが地球と火星を永久的にリンクする“スターゲイト”となって、軍産学複合体が見えないところでこっそりと、沢山の基地を火星上に建設し、科学者たちがこの両惑星の間を日常的にしょっちゅう行ったり来たり、テレポートするようになっているというのだ。実際にノイマン自身が、まだリヴァモア研究所で現役だった頃、火星基地の一つにテレポートして、1時間予定の会議に出席したが、そこには火星の地下都市で生活する高度文明の火星人類代表も参加していたそうだ。
 ノイマンはさらに、火星の秘密基地について意味深なことを打ち明けた。
「火星にはスターゲイトを通して資材を送り込むのはもちろんだが、代替手段として宇宙艦隊が物資を大量に運搬供給して建設された、広大な全自動化基地も一つ存在している」
 それ以上は詳しく話そうとはしなかったが、アメリカは陸海空・海兵隊の正規4軍のほかに、実は極秘の“宇宙軍”をすでにこっそり地球や火星近傍の宇宙空間に配備しているのかもしれない。

 その可能性を全く別の角度から裏付けたのが、イギリスのコンピューター・ハッカー、ゲーリー・マッキノン(47歳)だ。マッキノンは2001年〜2002年当時、権力側に隠蔽されるUFOやフリーエネルギーの重要情報を暴き出す目的で、アメリカの国防総省やNASAのコンピューターに侵入した。
 修正前と修正後のUFO写真ファイルや、北半球を覆うほどの巨大円盤母船の画像などを探り当てたが、いちばんショックを受けたのは、見慣れない名前が並ぶ“非地球出身士官リスト”とか、海軍艦船名簿には存在しない艦名の船から船への転任命令書などを発見したことだ。しかも、どの艦名もUFO史上重要な役割を果たした将官クラスの名前ばかりな上、海軍艦船ならUSS(合衆国船)と頭につくはずが、USSSと記されていた。
 どう見ても“合衆国宇宙船”の頭文字としか考えられなかった。
 マッキノンの発見は、近未来の“宇宙戦争”に備えて、軍産学複合体が秘かに超法規的に編成した“宇宙軍”の存在を裏付けるものかもしれない。
 米国防総省がマッキノンを法廷に引きずり出そうと今も躍起なのは、そのへんに理由がありそうだ。


 

表紙にもどる