(詩篇) ディセンション2012


 日本列島をなぞるように、この国を西から東へ横断していった5月21日の金環日食 それはマヤ暦において、現在の周期の終わりの日までの一つの区切りとなる“ラマトの日”
 日頃は宇宙(そら)など仰いだこともないような人までが誰もが呼び寄せられるように、リング状に見える太陽を見つめた
 これは地球人、中でも日本人にとって何の徴(しるし)であったのか

 その頃、地上では、世界一の高さを自称する「東京スカイツリー」開業のメディア挙げての浮かれ騒ぎ
 地上400メートルの展望台から見はるかすは、関東平野をどこまでも埋め尽くす、コンクリートジャングルのバビロン・シティ展望台で人々は、この光景を文明の成果として、素晴らしいと感嘆するのか
 ここから東北に200キロの地点では、原発が崩壊し、今も放射能の蒸気を吐き出している
 日本の発展を導く綱領であったものは、ある日、あっけなく崩壊した
 そうして一つの時代の終わりが告げられた時、人々はその結末を直視したくないように、超高層タワーの夢にまどろんでいる
そこに未来がないことを分かりつつ、まだ夢から覚めたくないと
 それは震度7の地震にも耐えられると、設計者らは自慢する
はたしてそうなのか、試される本番はこれから

 さあ、2012年も後半に突入 マヤ暦が、様々な予言が、チャネラーや宇宙人が伝える“終わりの時”、あるいは地球と人類のアセンション(次元上昇)の時は、いよいよ間近に迫っているのか
 ノーノーノー 残念ながら、現前の世界を見る限り、今の人類にアセンションなんて5千年はサイクルが早い
 人類の発祥に関わった神がもしいるなら、きっとそう言うだろうホモ・サピエンス・サピエンスという霊長類ヒト科として誕生してから3万年 未だに人々は、自ら作った金銭の奴隷となっており差別中毒、戦争中毒から脱けられない
 さらに原子力の使用によって、核放射能でこの地球と宇宙を汚染しようとしている
 地球上で地球環境や宇宙に、そのような汚染や害を与えている生命体は、ただ一つ、人間という種族だけ
これは要監視、管理が必要な、危険で未熟な生命体だ

 4つの原子炉がメルトダウンして、甚大な放射能を地球上にばら蒔いてもなお
 慇懃無礼な顔で原発再稼働を宣言する、日本政府と電力会社の世界も唖然とする愚の骨頂
 無知で、何が起きても一切責任を負おうともしない奴らが、未だ野放しで、誰も彼らの愚行を止められないでいる
 シリアでは政府軍と反政府勢力の武力衝突の中で、既に1万人以上の無辜の市民が殺されている
 たった今も、人間はいつまで経っても殺し合いを止められないなんという破壊的な意識体か
こんな体たらくで、意識進化もへったくれもない

これからアセンションだって? 冗談だろう
今、日本で、世界で、人間に起きていることは、アセンションとは真逆のディセンション―次元下降
退化、腐敗、堕落、衰退、破綻、そして消滅…
 大衆音楽の世界でも、演歌や歌謡曲、ポップス、どれをとっても一世を風靡するヒット曲や名曲なんて、もう出てこない
「俺がロックだ」と歌った忌野清志郎も、一足先に旅立った
 今、ケータイやスマホから流れている最近の細切れの楽曲はAKBやらKARAやら、どれも幼児向けの白痴ソングばかり
ただの記号でしかない、この貧しいスカスカの音の数々は、今や惨憺たるもの

 学校や巷では、いじめ、虐待、ストーカー、詐欺、異常な殺人事件の蔓延が止まらず 大衆はケータイやPCの画面と首っ引きで、他人のあら捜しと攻撃に興じ、分断されている
真の連帯も絆も、そこからは生まれるわけがない
 統治者からすれば、奴隷はつながったり、連帯したりすることなく、分断され、孤立化している方が望ましい

 このニッポンでは、60年安保闘争の時以来、政治や社会で何が起きようが、10万人、100万人規模の国民が参加したデモなんて一度もあった試しがない
 人々は為政者が何をやっても、何度、騙されても、常に「仕方がない」と言って、受け入れてきた
 自国の国民の反乱に手を焼く欧米の資本家や政治家が言う「日本人は黙ってこき使われている。日本が羨ましい」と日本人は、実に模範的な奴隷諸君というわけだ
 冗談じゃない! と言いたいが、自分も含めて大多数の日本人は、ずっと奴隷状態に置かれているのは、悲しいことに紛れもない事実

 一方、日本国の盟主であるアメリカ帝国は、オバマの「チェンジ」も「イエス・ウィー・キャン」も、今はとっくに霧散し、裏切られ、色あせた夢となった
 ご覧の通りアメリカは、ブッシュ時代と寸分変わらぬ“資本独裁国家”の道を邁進している
 99%の持たざる者が、1%の富裕者を支えるために、せっせと働く、感心するほど合理的な資本家と銀行家にとっての理想社会
 そしてアメリカは、「テロとの戦い」の永久戦争のさ中にあり、次のターゲットはシリアかイランか、同胞のイスラエルと示し合わせて、虎視眈々とその時を狙っている

 今やアメリカ国家は、金融から福祉、医療、教育に至るまでグローバリストに乗っ取られ、国民の生活、文化、生命そのものが市場化され、商品というコマにされた
 企業と市場の“自由”が最大限に尊重される、究極の効率化社会のモデルケースの完成も近い

 恒久化された「愛国者法」によって、国民は監視、盗聴を余儀なくされ、医療は国民保険もなく、金持ちでなければ、まともな医療一つも受けられない
 3500万人にも達するという貧困層は、こうして最低限の医療からも遠ざけられ、さらに悲惨な目に遭っている
 一説には90兆ドル以上に及ぶという米国政府の負債は、実際にはもう踏み倒すしかないラインを超えている
 国家破産―デフォルトは、金による裏打ちのないドル札を大量に刷って、無理やり先送りしているだけ

 これが世界に冠たる先進国、自由と民主主義のリーダーの国だって? まるでこれは、アメリカが自由と民主主義の敵として非難してやまない北朝鮮あたりの有り様と、さほど違いはありはしない
 これが世界のトップモデルだとしたら、この文明モデルのまさに醜悪、悲惨な結末を、かの国は見せつけてくれている
 だから、この世界はディセンション どん底がそこまで見えてきている
              *

 惑星地球のアセンション―次元移行があり得るとしたら
それは銀河中心からのスーパーウェーブ(宇宙線)と、太陽系に侵入する星間雲からの衝撃波が重なり、それに励起された太陽が、超新星のように大爆発を起こした時
 その時、地球を包み込む太陽からのプラズマ流が、ワームホールを生み出し、別の次元、別の宇宙(パラレルワールド)へ地球を転位させるかもしれない

 誰の悪戯かは分からないが、イギリスのミステリーサークルに現れた2033年の太陽系の惑星軌道図に、地球の姿は消えていたそんな一つの未来も示されている
 その時、地球と同調して人間も次元移行できるかは、超難関の門となるだろう
 多くの人々は、まだまだ慣れ親しんだこの次元にいたいのだ新たな扉を開けて、未知の世界に踏み出すより、ここにいたい
 この肉体を失いたくない―死にたくない、あるいは肉体ごと次元を移るなんて考えられないと

 おそらくその時、地上は宇宙からの高熱のプラズマ流の直撃で、三次元の肉体では生存できない状態になる
 そこで焼かれ死ぬか、肉体ごとこの次元から飛び出すか
アセンションとは、実はそういう時のことを言っている
 ニューエイジやスピリチュアルのセミナーを受けたり、瞑想したり、その気になって準備していても、いざとなったら、そんなものは何の役にも立たないかもしれない
 逆にアセンションのことなど何も知らないような人が、意外にもクリアして、この次元から消えるかもしれない
 我々は、そんなことに直面する心の準備ができているだろうか
 今の慣れ親しんだ世界が、もうじき終わるなんていうことに

古今東西、アセンションした先人は、既に多々存在する
おなじみのイエス・キリスト、聖ヨハネ―ボアネルゲ、ヒマラヤ聖者、中国や日本の仙人たち、“賢者の石”を得た古代から中世の錬金術師たち あるいは伝説のサン・ジェルマン、ドルイドの魔女たち、世界各地のネイティブの無名のシャーマンたち…
 彼らは皆、肉体の原子を変換させて―DNAを書き換えて、ライトボディ―“光の体”を得た
 それは不老不死に等しい身体で、この次元に現れるのも消えるのも、自由自在だ

 アセンションするというのは、そういう存在になるという大それたこと だからこそ、本気でそれを望み、求める人は実は少ない
 それよりは、限られた肉体生、限られた物質世界ゆえの体験を繰り返し求め続ける
 そして今回も、愛してやまないこの三次元世界の存在に留まることを、人類の大勢は選択した まだ、この次元で修業していたい、夢を見ていたいと
 だから今、ディセンション―次元下降
それが世界中で起きている 人間だもの、これでいいのだと

 だが、この次元に生き残ることさえ難しい時が来る
肉体ごとアセンションできないなら、肉体のまま滅ぶこと―死ぬことを受け入れるしかない
 辿り着くところは同じところ 死ぬことは実はアセンションと同じこと
だからディセンションもまたよろしからずやだ
 一度、地獄の底まで落ちなければ、より高い世界までジャンプする足場は得ることができない
 きっと、それが今、ボクら人類に試されていること


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