カ ウ ン ト ダ ウ ン 2012


 マヤの長周期のカレンダーが終わる時とされることから、地球と人類滅亡の時とさんざん騒がれた「2012年」に突入した現在―。ついこの間、怒濤のような2011年に入ったと思ったら、気がついてみれば、もう2012年だ! 年ごとに時間の速度が異常と思えるほど加速していると、目が回るような思いで驚嘆しているのは、私だけだろうか。
 たとえば、2011年は2001年の10倍の速さ、10分の1の時間しかなかったという感覚だ。この時間の加速はいつまで続くのだろうか。時間は螺旋状に進行していて、そのサイクルが短くなりつつあるとすれば、そのピークともいえるゼロポイント・タイムが必ずやってくる。それはもしかして、マヤ暦が終わる2012年12月21〜22日頃のことなのか、あるいは全く別のことなのかは、分からない。

 この強欲資本主義の断末魔と、原発事故の放射能汚染が広がる人間社会、地球世界を丸ごと含んでいる地球周辺、太陽系全体の宇宙天候、宇宙環境は今、どうなっているか―。
 サイクル24に入っている太陽活動。その極大期はいつになるのかは、NASAや太陽天文学の専門家によると、これまでの予想より後にズレ込んで、2012年を過ぎてから、2013年の中頃になると予測されている。

太陽フレアが人工衛星の落下を促している

 2011年9月25日、アメリカの人工衛星UARSが、地表に落ちてきた。それからわずか1ヵ月後の10月23日には、ドイツのX線観測衛星ROSATも落下したきた。
 幸いどちらも海へ落下したと言われているが、場合によっては大事故に発展する可能性もあった。だが、実はこの二つの宇宙ゴミは、予定ではもう少し遅いタイミングで地球へ落下するはずだったという。落下時期が早まったのである。どうやらそこには、極大期に近づいた太陽の活動が大いに関係していたようだ。太陽活動が活発化すれば、放射される紫外線量も著しく増大する。その結果、地球の大気圏は拡大し、デブリ(宇宙ゴミ)落下のスピードが早まったというのだ。
 2011年に入ると太陽活動は、目立って活発化を始めた。2月には、地球と同サイズの大きな黒点3つを含む黒点群が発見されている。また同じく2月には、約4年ぶりとなる最大規模の太陽フレアも確認されている。この時には通常の約100倍ものX線が放出された。こうした巨大な太陽フレアは「Xクラス」と呼ばれている。この強力なXクラスの太陽フレアが2月以降には続出し、3月に1回、8月に1回、9月には3回も出現している。Xクラスより下のMクラスに至っては、日常茶飯事といった現状なのだ。

 もしもこのまま太陽活動の活発化が進んでいった場合、どうなるのか? NASAが最も懸念しているのは、2013年頃に発生が予想される「スーパーソーラーストーム=超太陽嵐」の到来である。これは、超Xクラスの太陽フレアが発生した際、起きるとされている太陽嵐だ。もしもこれが地球に到達すれば、「10億人の犠牲者が出る」(NASA)という。それについて、NASAの太陽物理学部門のリチャード・フィッシャー博士はこう語る。
「スーパーソーラーストームで、地球の磁場が変化します。人工衛星やカーナビなどの通信機器、航空業界、金融システム、コンピューターといった、電子技術に依存している全ての機器が機能しなくなり、世界規模のパニックが起きます。落雷のようなスピードで一瞬にして起こるのです」

 幸いなことに2011年11月の時点では、太陽黒点の増加に太陽フレアが同調せず、なかなか発生しないという異変も起きている。だが、いつ超Xクラス級の超巨大な太陽フレアが発生するかは予断を許さない。
 太陽の磁極は、ほぼ22年ごとに黒点周期の一周おきの頂点で反転し、これもまた2012年に切り替わると考えられており、黒点の極大期と重なって、この状況をさらに不安定なものにするはずだ。

 一方、NASAは、ネットのホームページに、今回の太陽の極大期で、太陽嵐が起きて、最大級の太陽フレアが地球を直撃しても、地上が焼かれたり、甚大な影響を被るというようなことはなく、地球のN極とS極が入れ替わるポールシフト(地磁気逆転)が起きても、長時間、地磁気が失われて地上が有害な宇宙線に晒されるということにはならない―等と、サイトの記事で2012年宇宙のカタストロフィー、アセンション説を「科学的に」否定するメッセージを続けて出している。
 NASAの公の見解といえば、なるほどと、読まされているうちについ納得しそうになるが、それも一つの予測に過ぎない。宇宙で起きることは、NASAが司っているわけではなく、本当のところはまだ誰も正確に分かってはいないのだ。

 また、2011年6月には、太陽の研究を継続的に行っている主流の科学者たちが「黒点活動の周期は間もなく終了する」との驚くべき予測を発表した。(SPACE.com)
「本日(6月14日)に行われた全米天文学会の年次総会において、新たな研究結果が発表された。―太陽活動周期は最終期に入ろうとしていて、完全にストップする可能性がある―と、NSO(米国立太陽天文台)の所長フランク・ヒル氏は本日の記者会見で発言した。
 研究結果…・太陽内部(対流圏)のジェット気流が消滅した。
・肉眼でも観測可能な太陽表面の黒点が消えかかっている。
・太陽の極点近くのコロナに変化が現れ出した。

以上のような現象は全く予想外のことであるとヒル氏はコメント」〈これら三つは、それぞれ異なる現象であるが、全て同じ傾向を示している。それは太陽の黒点サイクルがこれから冬眠期を迎えようとしていることを告げている〉と、彼は加えている。
〈最後の太陽活動極大期かもしれず、その後数十年は訪れないだろう。この現象によって宇宙探査から地球の天候まで全て影響されるだろう〉とヒル氏は述べている。

 太陽の黒点活動が間もなく終了し、太陽活動はこれから数十年の間、冬眠期に入る? 太陽ではいったい何が起こっているのか? 私は太陽と太陽圏には、ごく近い未来に未知のファクターが外部から強力に加わってくると考えているので、この説には半分までしか同意できない。一時は活動が低下していくように見えても、これはむしろ嵐の前の静けさである可能性が高い。

星間雲(プラズマベルト)と太陽系

 太陽フレアも、ポールシフト(地磁気逆転)も、従来のように太陽単体、地球単体で起こることなら、NASAが言うように地球上には格別の影響も被害もなしに済むかもしれないが、今回はそれに未知のファクターが加わる可能性が大なのだ。
 既に太陽系に接触、干渉を起こしている巨大な星間雲―プラズマベルトからの太陽系内部に向けての衝撃波が増大している。この星間雲の存在は、太陽系の外縁部を航行する探査機ボイジャー1、2号からのデータにより、2009年末にNASAの研究者の間でも確認されている。
 NASAの客員研究員であるジョージ・メイソン大学のメラフ・オファー博士ら研究チームが、イギリスの科学雑誌『ネイチャー』に掲載した論文で明らかにしたところによれば、「ボイジャーのデータによって、太陽系のすぐ外側に強力な磁場を発見した。この磁場によって星間雲を一つにまとめることができる。長い間謎だったパズルが解けたのだ」という。

 以前の『宇宙NEWS LETTER』でも、ロシア科学アカデミーのアレクセイ・ドミトリーエフ博士が、太陽系と接触しつつある星間雲を発見、提唱していることを紹介したが、今回のNASAの公式発表によって、その存在があらためて裏付けられた。
 現在太陽系が突入しつつある星間雲とは、天文学者が「局所恒星間雲」、通称“Local Fluff”と呼ぶものである。その幅は30光年、六千度の水素及びヘリウム原子の混合体でできているという。オファー博士によると、星間雲の磁場は4から5マイクロガウスであり、この磁場のため、星間雲が存在するだけの内部の強度が確保される。つまり、この強い磁場が星間雲を固定し、存在させているというわけだ。
 それが今後、太陽圏(ヘリオスフィア)と太陽そのものに最大どのような影響を与えるか、そのピークは何時になるか、今のところ変数が多過ぎて確定はできない。

 太陽圏も星間雲の粒子をかき分ける際に、その前方に衝撃波を生み出した。衝撃波は太陽系がこの宇宙の高密度領域に入るにつれ、大きく激しいものになった。
 ドミトリーエフ博士は太陽圏の衝撃波が10倍ほどに増大して、3ないし4AUから、40AU以上になったと見積もる(1AUは地球と太陽の距離、1億5千万km)。「―この衝撃波の増大は境界面でひそかに反応しあうプラズマを発生させ、それが太陽系の周囲でのプラズマの過剰放出につながり、やがて惑星間の領域にもなだれ込んでくるようになる…このなだれ込みは、星間雲から太陽系に向けられた一種の物質とエネルギーの贈与からなる」

 衝撃波が最も強いのは、星間雲の中を太陽圏が移動する際の先端部分だ。したがって、衝撃波は木星以遠の外惑星の大気と気候、磁場に最も強い影響を与える。天王星や海王星では、どちらもポールシフト(磁極移動)が起きている。そしてどちらの惑星の大気も以前より明るく輝いており、温暖化しているように見える。土星にもしばしばオーロラが出現するようになった。2006年1月末には、地球のものより1千倍は強力な稲妻が土星に走り、火星大の嵐を天文学者に見せてくれた。
 太陽圏で最大の惑星である木星では、その磁場を2倍に拡大しているのが観測されており、今では土星にまで達している。木星と衛星イオの間ではオーロラが輝いているし、イオはこれまで観察されなかった火山活動も見せている。
 衝撃波の効果は木星より内側の惑星でも検出されだした。火星の大気は濃くなっており、北極の氷冠は目立って減ってきている。金星の大気は化学組成と光学的性質が変わってきており、輝きを増している。そのエネルギー含量が増えていることの確かな兆候だ。
 つまり太陽系全体が際立って温暖化しているのだ。
 ドミトリーエフの考えでは、地球を含めたあらゆる惑星は挟み撃ち状態になっており、衝撃波から直接的にも、またそれが太陽で起こす乱れを通じて間接的にも降下物を受けることになる。

 一つの可能性だが、超Xクラスのフレアを放出するような太陽活動の極大期に、星間雲によるプラズマの衝撃波増大の相乗効果が重なったら、ある時、何かのきっかけで太陽は爆発したような様相を呈し、大膨張を開始するかもしれない。
 そうなると地球では何が起きるのか。高エネルギーのプラズマによって地球の大気が励起し、発光する。いい例がオーロラだ。通常は極地方で観測されるオーロラが低緯度地方でも見られるようになる。夜にオーロラが見られるのが珍しくなくなり、プラズマは天空を輝かせ、地上を照らす。さらにはプラズマの薄い層である電離層が励起して、発光することも十分予想される。ちょうど空が蛍光灯のような状態になるといえばいいだろうか。空そのものが真っ白に輝き出すのだ。
 そしてそのプラズマが地上にまで降り注げば、その規模にもよるが、我々人間も全ての生命体も、何らかの影響を受けずには済まないだろう。

 この10月には、アメリカの低緯度地帯の各州で、鮮やかな輝きを放つオーロラが出現した。カンザス州、ジョージア州、南部のアーカンソー州、ケンタッキー州、アラバマ州といった広い地域に渡ってそれは見られた。10月24日に観測されたオーロラは、2日前に発生した太陽嵐によって地球へ向かったCME(コロナ質量放射)と呼ばれる荷電粒子によるものと思われるという。
 ネットの記事の写真を見ると、まるで本場の極地のオーロラを見ているようで、文字通り光のカーテンの乱舞といった様で、その光り方は半端ではない。
 米メディアは、こうした現象を「極めて珍しい出来事」として大きく報じた。
 これは極めて珍しい現象であると共に、今後も度々起きるようになるとしたら、いずれ太陽と地球の間で起きる現象の予兆、前兆ではないかとも考えられる―。

大地に鳴り響く怪音―アポカリプティックサウンド

 始まりは灰色の重い雲が垂れ込めた北の街、ウクライナのキエフだった。
 2011年8月11日、この街に突然、怪音=ノイズが鳴り響き、住民たちを驚かせた。
 それはまるで金属を擦り合わせる高いノイズと獣の低い唸り声、さらに礼拝堂の荘厳な鐘の音を混ぜ合わせたような不思議な音だった。しかもこの怪音は、十数分にわたって鳴り響いた。ついには空間そのものが振動しているような感覚に人々は陥った。
「生まれて初めて聴いた。不気味な音だった」
「重くしみ込むように振動が頭の中にまで伝わってきた」
「怖気を感じた。もしかすると異変を知らせる警告音なのか」
「“音”は大地の底から発せられている…」
 曇天の空に反響しながら、街中に響きわたった怪音を聞いた人々は、不安を隠しきれない様子で口々に語ったという。
 しかもその後、この怪音現象は世界各地へ広まっていったのだ。

 まずは8月14日、ウクライナの隣国ベラルーシのホメリで、8月16日にはカナダのウィンザーオンタリオ州、19日にはアメリカのミシガン州とイリノイ州で同現象が確認されている。その様子は動画サイトのYouTubeにもアップされた。その他にもメリーランド州や北欧スカンジナビア地方でも怪音の報告があり、数日の間に世界各地で謎の音が鳴り響いたのである。
 この不気味な怪音はいつしか「アポカリプティックサウンド」(終末の音)と呼ばれるようになった。それは『聖書』や神話で語られる世界の終わり、終末を告げる音を意味する。
『新約聖書』の「ヨハネの黙示録」には、次のような記述がある。
「最後の審判が始まる時、7人の天使がラッパを吹き鳴らす」
 また北欧神話でも、世界の終末になると神がホルンを高らかに吹き上げ、その音をきっかけに神々の戦争が始まるという。

 実際にこの音を聞いた人々は、誰もが「異変の前触れではないか?」と恐怖している。
 彼らは揃って次のように指摘する。
「怪音は大地の下から鳴り響いてきた」―と。事実だとすれば、アポカリプティックサウンドは地球内部に起因していることになる。あるいは「地球が発する声=悲鳴」と表現してもいいだろう。
 地球内部の変動といえば、真っ先に思い浮かぶのが地震だが、アポカリプティックサウンドは、これまでほとんど地震が発生していない国でも鳴り響いている。はっきり言って、これはただごとではないかもしれない。もしかすると、何かの大異変を察知した地球自体が震え、悲鳴を上げているのではないか。
 アポカリティフィックサウンドは、未曾有の天変地異発生の警鐘である可能性もある。
 それは今のところ限られた地域や国で起きているが、局所的なものなのか、世界的な規模まで広まるのか、今後の経緯を注視したい。

 大地の下から鳴り響く怪音―地球内部では今、何が起きているのだろうか。
 ロシア発の極秘情報(2006年)によると、軍の探査により地球の内核が北極に向けて徐々に上昇を開始したことが判明したという。今のところ移動距離は数百キロというレベルではなく、微々たるものらしいが、中心から移動していることは間違いないというのだ。
 もし内核が北極へ向けて上昇を続けた場合、どうなるのか。極端な話、マントルを突き抜けて北極に顔を出すのか? 一見、トンデモ笑い話にしか思えないかもしれないが、内核はプラズマで包まれている。その状態で上昇すれば、地球の中心軸を貫くプラズマトンネルを通って、文字通り地上―北極に、氷の海を溶かしながら姿を現すことも十分考えられるのだ。
 これも地球という惑星が持つ未知のシステムなのかもしれない。星間雲―プラズマベルトに遭遇し、太陽系全体が高エネルギー状態になりつつある今、宇宙生命体である地球は地磁気減少を伴いながら、予想だにしない活動を始めたのかもしれない―。

*画像は『ムー』2012年1月号他より転載 クリックすると拡大表示します。


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