衛星フォボスと葉巻型UFO

 

 20世紀末、集中的に打ち上げられたアメリカの火星探査機に先駆けて、当時のソ連はフォボス計画を推進。1988年7月7日にフォボス1号、その5日後にフォボス2号を相次いでバイコヌール基地から打ち上げた。
 衛星フォボスは静止軌道の内側を公転しており、その周期は火星の自転周期よりも短い。ちょうど1日の間にフォボスは火星を3周する。ここに観測拠点を置けば、フォボスそのものが人工衛星の役目を果たしてくれる。ソ連の狙いはそこにあった。
 しかし、フォボス1号は同年9月1日、突如、通信を途絶する。あらゆる努力がなされたが、フォボス1号からの通信は回復することはなかった。原因は機体の制御ミスとされたが、実際のところ何が起こったかは誰も知る術がなかった。
 1号を追う形で火星に向かったフォボス2号は、幸い順調に飛行を続け、1989年1月29日、火星に到達。周回軌道に入ることに成功する。

 続いて1989年3月26日、火星の周回軌道から衛星フォボスへ向けて飛行するため、フォボス2号はエンジンを噴射した。徐々に衛星フォボスへと接近、37枚もの画像を撮影し続け、フォボスへ190kmのところまで接近し、このまま計画は成功するかに見えた。だが、その2日後、ぷつりと通信は途絶えた。後日、ソ連宇宙局のニコライ・シムヨフムが会見し、フォボス2号は消失したと発表。その原因はアンテナの故障にあるという見解を述べた。しかし、後日、判明したところによると、フォボス2号の機体はきりもみ状態で地上へ落下していたことが分かった。当局は隕石に衝突したのではないかという消極的な見解を述べるにとどまり、事実上、フォボス計画は幕を下ろされた。

 いったいフォボス2号に何があったのか。実は通信途絶直後の1989年3月30日、ソ連のテレビ番組「フレミヤ」にフォボス計画に携わった科学者が出演。そこで不思議な写真を公開する。フォボス2号が撮影したという写真は火星の地表を写したものだったが、そこに細長い黒い影が伸びていた。紡錘形の影は明らかに上空を飛行する物体のもので、写真を見る限り、どこか不自然な印象がある。 驚くべきことに写真を掲げた科学者たちはこれが未確認飛行物体、すなわちUFOの影であると指摘した。フォボス2号は、その影を撮影した後に消失した。つまり、フォボス2号の消失にはUFOが関わっている。そう科学者は主張したのだ。案の定、番組を見た視聴者からは問い合わせが殺到した。
 アメリカのNASAと違い、ソ連=ロシアの科学者たちは、UFOの存在をいとも簡単に肯定する傾向がある。ほとんどは個人的な見解なのだが、時に科学アカデミーの見解であるが如く主張し、物議をかもすことがあり、その真偽については慎重を要する。
 この場合も同様だった。これは明らかに衛星フォボスの影であった。低い高度を公転するフォボスは火星の地表に飛行物体のような影を落とす。もともといびつな形をしているフォボスの影は細長く強調され、まるで葉巻型UFOの影のように見えてしまうのである。フォボス2号が撮影した影も、実は衛星フォボスの影であることが分かっている。

 しかし、ここで疑問がある。火星探査に関わっていた科学者であれば、フォボス2号が撮影した影は衛星フォボスのものであることを百も承知であったはずである。なのにその可能性をあえて否定し、当局の信用を損ねる危険性を省みずに、なぜUFOであると主張したのだろうか。これには明らかに裏がある。
 UFOのせいだと示すことで、原因は技術的なことではないと、現場の科学者の面子を保つことが一つ。と同時に、その裏には本物のUFO事件が存在することを暗示している。それが仮に明らかになった時、衛星フォボスの影がUFOだったと馬鹿げたことを言っていたという話と一緒にされて、結局まともに相手にされないよう仕向ける。その布石の味があったのだ。では、本物のUFO事件とは何か。それこそフォボス2号が消失した本当の原因なのだ。ソ連の科学者たちは衛星フォボスの影が写った写真とは別に、後日、もう一枚のUFOが写り込んでいるという写真を公開する。

 フォボス2号は衛星フォボスに十数メートルまで接近し、成分分析のレーザーを15分間照射した後、突如通信を途絶した。この時までにフォボス2号は37枚の写真を撮影している。衛星フォボスを撮影したものも含まれているのだが、その中に奇妙なものが写り込んでいたのである。
 1991年12月、ソ連の元宇宙飛行士マリーナ・ポポビッチがサンフランシスコで緊急記者会見を開き、フォボス2号が撮影したものだとして、一枚の写真を公開した。そこには衛星フォボスが露出オーバー気味に写っていたが、同時に衛星フォボスに接近するように細長いシャープペンシル状の物体が同じく露出オーバー気味に写っていたのである。
 その物体の直径は推定数キロメートルにも及ぶ巨大なものだった。

 フォボス2号のアンテナではないかという指摘にはこれを完全否定し、ポポビッチ女史は謎の物体が巨大な葉巻型UFOであると断言。会場は騒然となった。
 問題の写真は通常の撮影ではなく、赤外線によって撮影された画像であった。衛星フォボスと謎の物体が白く写っているのは、熱を発しているためである。露出オーバーになっているのは、両者が高温になっていることを示している。衛星フォボスが高熱を発していること自体、奇妙なことなのだが、謎の物体もまた高温状態にあるということは、これがフォボス2号のアンテナではないことを示している。
 実はポポビッチ女史が公開した写真は、2種類存在する。この一枚と衛星フォボスの周囲に小さな光が2つ浮かんでいるものがある。情報公開グラスノスチによりオリジナルの写真も一般に公開された。今ではインターネットで見ることができるが、ここには2つの光る物体がはっきりと写り込んでいる。

 ポポビッチ女史が謎の物体をUFOだと主張したことで、アカデミズムの科学者たちは完全に引いてしまった。UFO研究家らが騒げば騒ぐほど、世界中の科学者たちはフォボス2号の撮影した写真に触れようとはしなくなった。衛星フォボスの影をUFOだと主張した一件もあり、誰もまともに相手にしなくなったのである。
 しかし、裏を返せば、写真に写った物体はそれだけ問題であったことを意味する。アカデミズムは無視して済ませようとしたが、この物体がUFOではないという証明は何一つされていないのだ。
 フォボス2号が撮影した写真の多くは未だに公開されていない。封印されたままだ。理由はほかでもない、そこにあってはならないものが写っていたからだ。結論からいえば、発光体の正体、それはシャープペンシル型も含めてみな本物のUFOだったのだ。

 フォボス2号が赤外線で撮影した衛星フォボスの写真は露出オーバーになっていた。これは衛星フォボス自体が高熱を発していることを意味する。手前に写っている葉巻型UFOが高温を発して露出オーバーになっていることは理解できるが、なぜ衛星フォボスが高温なのか。考えられることは一つ。それが改造されており、何らかの活動が存在しているということである。その証拠にフォボス2号が撮影した写真の中には、葉巻型UFOが衛
星フォボスの中から姿を現した瞬間を捉えた一枚が存在するのだ。
 衛星フォボスは円筒形になっているわけでも、内部に通じる巨大なクレーターの穴があるわけでもない。そこから葉巻型UFOは透過するように姿を現したのだ。

 衛星フォボスも葉巻型UFOもプラズマに包まれていると考えれば、この問題はクリアできる。重要なことはプラズマには障害物を透過する性質があるということだ。プラズマに包まれた物体を移動させ、そのまま透過させようとしても、実体のある物体は壁に激突してしまう。しかし、透過しようとする壁にもプラズマを発生させると、プラズマで包まれた物体はそのまますり抜ける。衛星フォボスも葉巻型UFOも、このプラズマを発生さ
せていると思われるのだ。したがって、それらのUFOはプラズマ透過によって、ハッチどの開口部がなくても外部に移動できる。フォボス2号が接近した時、彼らはその存在を見せつけるために姿を現したと考えられる。しかもこの時、高エネルギーの電磁波が発生したらしい。ちょうど衛星フォボスにアンテナを向けていたフォボス2号はこれをもろに受け、一瞬にして電子回路は焼き切れ、そのままフォボス2号は軌道を外れていった。
 これがフォボス2号消失の真相らしい。

 実際、衛星フォボスには不可解な点が多い。巨大なスティクニー・クレーターの存在もそうだが、全体に伸びる筋も異常である。小さなクレーターが数珠つなぎになって形成されている筋が何本も表面を走っている。しかも、それらは測ったように並行になっているから不思議だ。体積に比べて質量が小さいのは、内部が中空になっており、全体に薄い金属板で覆われているからだとする人工天体説もある。
 ソ連が火星探査の拠点として衛星フォボスをターゲットにしたのも、人工天体説が影響している。衛星フォボスに探査の拠点を置けば、火星全体をくまなく観測できるのだ。

 1989年9月、イギリスのテレビ「チャンネル4」はフォボス2号が撮影したものだとして、火星の高解像度映像を公開した。そこには直線がいくつも走り、複雑な構造が映し出されていた。何も説明せずに見せられれば、誰もが都市を写した衛星写真だと思うだろう。撮影された場所はハイドレートカオスという場所で、明らかに人工構造物が見てとれる。これもまたロシアの国家戦略の一環で、アメリカの動きを牽制するために情報をわざとリークしたのだと思われる。

 しかし、両国が神経質になっている火星のUFO、あるいはエイリアンとは何者なのか。「人面岩」やピラミッドのような遺物を残した古代文明は一度滅亡したことが分かっている。その時存在した種族がそのまま現在も火星にいて、巨大UFOを操るような文明を築いているとは考えにくい。フォボス2号が遭遇した巨大な葉巻型UFOは、月周辺でアポロ宇宙船の飛行士らも遭遇している。現在、火星や月で活動しているUFO、あるいはエイリアンは古代に火星にいた存在とは別で、比較的最近になってそこに進出した種族だと考えられるのだ。いったいそのような巨大UFOを操っているのは何者なのか…。

 火星だけで驚いてはいられない。実は太陽系のさらに遠い各惑星の周辺にもその存在が、他でもないNASAの探査機やハッブル宇宙望遠鏡などによって偶然、捉えられている。そして土星の環の中やその周辺では、直径が数千kmという超弩級規模のUFOが存在しているらしいことが分かってきた―。


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