5Gは「夢のような未来」への扉か

       

 新型コロナウィルス禍が世を席巻する今、その宣伝効果の影も薄れてしまったが、「5G」(第5世代移動通信システム)と呼ばれる新しい通信方式が日本でも運用されようとしている。3月下旬、NTTドコモとKDDI、ソフトバンクの各通信会社が5Gの運用をいよいよ開始した。すでに新サービスの運用が始まっていて、昨年のラグビーワールドカップでは高精細な映像を体験。広い分野での社会問題解消のため5Gの利用が検討されているが、この通信技術は私たちに何をもたらすのか。
 5Gが普及すれば生活もビジネスも一変すると、各通信事業会社が宣伝している。家電や車など身の回りのあらゆる機器がつながり、自動運転や遠隔ロボット操作が可能になると旗振り役の総務省は夢を語る。NTTドコモやKDDIなどのテレビCMでは、人気のプロスポーツアスリートやタレントらが、ドラエモンが来るようなものとか、夢のような新しい未来がやってくるとか、魅力的で輝かしいイメージをふりまいている。既にスマホが体の一部のようになっている彼らは、5GにもAIに対しても、何の疑念も抵抗も抱かず、それを受け入れ、使うことは当然の流れだと思っているのだろう。彼らに悪気はないのだろうが、誰もが概して今の4Gも含め、その電磁波の弊害と危険性について、あまりに無知、無頓着である。

 5G基地局網を整備するためにKDDIは、2023年までに全国に約5万4000基もの基地局を設備する計画だ。神奈川県川崎市では、マンション屋上に基地局が設置され、最上階の住民に健康被害が発生。壁に長さ50センチの亀裂が入り、住民は建物への損傷と原因を調査する予定だ。総務省によれば、5Gは今年「導入当初期」(第一段階)に入る。3.5 GHz(ギガヘルツ)帯等を使う4Gが通信の中核的ネットワークを担い、3.7 GHz帯や4.5 GHz帯を使う5Gが付随的な役割を果たし、「超高速通信」を実現する。通信大手4社は今年中に47都道府県に5G基地局を設置する計画だが、圏内に基地局が複数基できても、県内全域で5Gを利用できるわけではない。「5G通信がおおむね全国で利用できるようになるのは2025年頃ではないか」と、調査会社IDCJapanの専門家は予測している。

 忘れてはならないのは、5Gには三つのリスクがあることだ。まずサイバー攻撃のリスクが4Gよりはるかに増える。IoTではインターネットにつながる機器の数が激増する。しかもパソコンなどはウィルス対策ソフトが常に更新されるが、家電では行われない。二重の意味で脆弱性が増す。次に個人への監視が極限近くまで強まると共に、個人情報の漏洩などによってプライバシーが侵害されるリスクも大きくなる。「5G通信を使ったデータ配信と認識機能に、顔認証とAIが組み合わされれば、匿名性などは歴史の遺物と化すだろう」と言うコンピューター科学の研究者もいる。そして、大量に放出される28GHz帯という強力な電磁波が人の健康に与える被害もまた、4Gよりはるかに深刻になる。このような負の影響を鑑みてもなお5Gを導入すべきなのか。そうした検討が全くなされないまま、5Gの商用化が始まろうとている。

地球規模でのダメージをもたらす5G

 5G通信網は、宇宙空間にも広がっている。英ボーダフォンと楽天モバイルは低軌道衛星ネットワークを利用して、当面は4Gを、将来的には5G通信を提供する予定だ。通信衛星を通して、携帯電話基地局がない地域にも携帯電話がつながるようにするという。
 同様にアメリカのスペースX社は、約4万8000機の通信用人工衛星を打ち上げる世界最大規模の通信衛星網「スターリンク計画」を進めている。しかし、国際天文学連合(IAU)は、短期間で大量の衛星が増えることを懸念。これらの衛星は太陽光を反射しやすく、電波を放射するので、大型天体望遠鏡や電波天文台での観測に悪影響を与える可能性があるからだ。さらに5G衛星の電磁波は、アメリカ海洋大気庁(NOAA)やNASAが共同運行する気象衛星と、電波干渉を起こす可能性がある。また、NOAAとNASAの気象データを基に、世界中で活動しているアメリカ海軍も5G衛星に反対している。

 宇宙にも通信衛星が配備されるが、地球を取り巻き、人間や動物の脳波や生体リズムに重要な影響を与えるシューマン波に作用する可能性も指摘されている。5G電磁波によって、細胞レベルでは酸化ストレスが増え、DNA損傷が発生し、自然流産や不妊、失明、皮膚ガンが増えると考えられている。自閉症や注意欠陥多動障害(ADHD)で生まれる子どもが増える可能性もあるという。
 アメリカでは、市民団体「5Gウェイクアップコール」がアピール文と賛同署名をアメリカの国連代表部に提出した。アメリカの研究者、アーサー・ファステンバーグ氏が発表したこの文書は、人間だけでなく、動植物や地球環境に深刻な影響を及ぼす可能性があると訴える。30カ国語に翻訳され、200 カ国以上の医師や医療関係者、科学者、技術者、建築関係者、養蜂家、市民団体が賛同し、約20万筆を超える署名を集めた。

街中が基地局だらけ

 5Gは「超高速」に「きわめて多数の端末への同時接続」と「きわめて速い応答速度」を加えた三つの高い性能が特徴だ。ところが、この電波は到達距離がきわめて短いため、約100 メートルおきに基地局を設置しなければならず、4Gに比べて100 倍も多い基地局を設置する必要がある。これには膨大な費用がかかる。通信事業会社は小型基地局を開発し、電柱やマンホールに取り付けることを検討しているが、人口の少ない地方は勿論、大都市圏でも郊外にまでこのネットワークを張りめぐらせることができるのだろうか。

 デジタル通信が民生利用されて電話に用いられるようになると、電波に乗せる情報量を増やすために搬送波の周波数を上げる必要が出てくる。で、どんどん携帯電話の電波の周波数が上がってきたわけだが、電話端末器はその使用者が発話するとかインターネットを用いるなどの行為を行う場合には、電波を発信する。セルラーフォンのように通信エリアを小さな区域(セル)に区切って端末器の使用者たちの居場所を常に把握しながら、最も近場の基地局を通じた通信を成立させるという方式だと、端末器は常時、位置情報を発信しているわけで、それを肌身離さず持ち続けているユーザーは、長時間の電磁波被曝を受けている以上、健康には何らかの影響が必ず及んでいると考えねばならない。だが、携帯電話ビジネスは、全国民規模のきわめて大きなマーケットの商売なので、電磁波被曝の健康被害はこれまで無視されてきた。

35カ国で約260 の抗議

 5Gに抗議するため1月25には、世界35カ国で約260 の抗議活動が行われた。この動きに関しては日本のメディアは、ほぼ無報道で、完全に無視している。アメリカでは、市民団体「5Gウェイクアップコール」がアピール文と賛同署名をアメリカの国連代表部に提出した。イタリア・ナポリのクアルト市では、約700 人がデモ行進をした。イタリアでは100 以上の自治体が5G導入の一時停止を議決しているが、同市ではまだ一時停止が採択されていない。スイスでは、16の自治体でデモが行われた。1月末、スイス環境省は、健康被害を懸念し、5G基地局の使用停止(無期限)を各州に通達した。
 さらに2月下旬、ジュネーブ州議会は4G+(従来の4Gより通信速度が速い)と5Gの導入を3年間一時停止すると議決した。人間の健康と動植物への影響が指摘されているのに、独立した研究機関による研究がまだ行われていないからだ。

 日本では患者会「いのち環境ネットワーク」が、アピール文を政府に提出。1月24日には参議院議員会館で院内集会を開き、過敏症患者約30人と市民が省庁と意見交換をした。
 総務省は、国の基準値(2GHzで1000μW/cm2 )以下の電磁波なら人体への悪影響は認められないと主張し、WHO(世界保健機関)も電磁波過敏症と電磁波被曝の関連性を否定する文書を発表していると主張した。だが、この文書は今から15年も前のもの。
 近年は海外の医師会などが、診断・治療ガイドラインを発表し、電磁波被曝を避けるよう推奨している。
 内閣府は、5G衛星が気象衛星と電波干渉を起こすことを知らなかった。厚生労働省も、電磁波過敏症や職場の電磁波を対象にした研究を行う予定はないと答えた。
 参加した電磁波過敏症の女性は、「私はいくつもの難病を抱え、東京のマンションで20年間寝たきりだった。電磁波過敏症と化学物質過敏症になり、基地局に近い自宅から車椅子で夜逃げのように逃げた。蛍光灯や無線LANの電磁波にも反応するので、病院にも入れず、足を痛めても救急車にも乗れなかった。今の状況は、私のような人が医療を受ける権利を排除している。これからどうやって病院に辿り着き、治療を続けたらいいのか」と訴えた。

R―5G(第5世代の放射線被曝)

 この「R―5G」―非電離放射線の産業利用がもたらす一般国民ユーザーの被害は、眼疾その他の形で現れてくるものなのだが、通信業界が言う5G―「第5世代移動通信」以前の今までも、スマホのような通信端末の利用に伴う電磁波被曝による健康被害の危険性は指摘されてきた。だが “電磁波被曝” 加害企業は、商業マスコミの有力な広告スポンサーであるし、マスコミ自体もインターネットによる収益に依存しており、“電磁波公害”を黙認している。無線移動通信に用いる高周波の電磁波による健康被害も、やはり「放射線傷害」なのである。ただし、「アルファ線」「ベータ線」「ガンマ線」のような電離放射線ではなく、それよりも比較的エネルギーが小さい〈非電離放射線〉であるが、しかし、その放射装置(ケータイ、スマホ)を肌身離さず携帯し、日常的に使用していれば、やはり深刻な健康被害を覚悟しなければならない。

 誰でも試すことのできる極めて興味深い実験が一つ紹介されている。「パイオニアーズ・オブ・サイエンス」という子ども向けの科学実験教育の動画がユーチューブで公開されている。インターネット接続用の無線通信ルーター(WiFi)の側で、植物の種子を発芽環境に置き、ルーターが電磁波を放射している状態と、電磁波を出さない状態で、種子の発芽にどう違いが出るかを比較した実験である。60時間あまり電磁波を浴びせた種子は発芽しなかったが、電磁波を浴びせない種子は発芽してすくすくと育った。この科学実験で用いられた無線ルーターは5G移動通信用のものではないが、既に生命活動にとって脅威となるような“電磁波スモッグ”をまき散らしていることが一見して分かる。今年からは日本でも一層強烈な非電離放射線の常時放出を、ケータイ通信端末を所持する人たちは体表付近で受け止めることになるし、ケータイ端末を持たない人でも、すぐ近隣に基地局が設置されて5G電磁波被曝を被ることになる。
 これまで述べたように5Gの問題点と危険性は様々に指摘されているが、メディアは5Gを宣伝し、利点を並べたてるばかりで、その弊害と深刻な危険性については何も警告しない。この国では官、民、メディアを挙げて何も問題がないかのように5Gの商用運用になだれ込もうとしている。

増強する電磁波は何をもたらすか

 電磁波は電気である。ケータイ、スマホ、パソコンによる電磁波―電気は頭に残る。
 視床下部、松果体、脳下垂体、ニューロン、シナプスに残る。これは私たちの霊的記憶、過去世から現在の記憶まで到達するようになる。電磁波が頭に溜まればブロックがかかり、そういった霊的情報までブロックするようになる。スマホやパソコンを利用していてもいなくても、頭痛を訴える人が増えているのはなぜか。偏頭痛、目まい、嘔吐といったものを含めてだ。その多くは膨大な量の電磁波被曝によるものだ。人体には全神経を支配する中枢神経、交感神経、副交感神経がある。それは精妙な電気回路だ。強烈なエネルギーの侵入を受ければ中枢神経は壊れていく。スマホやパソコンなどの電子機器を通じて電磁波が体内に流れ込み、特に頭に蓄積されていく。それは何をもたらすか? 頭痛である。頭が電磁波を吸収して蓄電池のようになるのだ。それだけではない。一日10時間以上もスマホ、パソコン等に触れ続けていれば、脳、チャクラ、循環器系、ホルモン分泌系、生殖器などに影響するようになる。

 内臓や脳の分泌腺を介した性的快感が弱くなれば、性的欲望はなくなる。現在、生まれてくる子どもが弱くなっている。男女共に性的・遺伝的に質が下がっているのだ。電子機器の乱用により、20年前に比べ現在の男性は、精子の質の低下に加え、その量も3分の1、�に減少している。女性の生産する卵子も弱くなっている。それは生まれてくる子どもの命の質が肉体、エネルギーレベルで低下していることを示している。このままでは、時を経るにつれて、地球に生まれてくる子どもは、肉体、エモーションレベルでのエネルギーの低下が進んでいくことは避けられないだろう。

 宇宙からは膨大なコズミックエネルギーが地球に届き、地球のエネルギーと融合し、地球に命を与えている。現在、都会に溢れる電磁波はコズミックエネルギーが100 %届くのを妨げるバリアーを作っている。それどころかコズミックエネルギーを吸収し、それが地球に入らないようにしている。この上、5G通信網により地球上空が電磁波バリアに覆われるようになれば、コズミックエネルギーが地球に浸透するのを妨げるばかりでなく、地球のエネルギーが宇宙に向かって放出されるのを妨げるようになる。本来、この二つのエネルギーは融合すべきものだ。これが宇宙と地球のバランスだ。我々人類は地球を覆う電磁波バリアーにより、この宇宙と地球の融合したエネルギーから遠ざかることになる。このエネルギーは地球の生命、生きとし生けるものにとって欠かせないものだ。
 人類が作り出したこの電磁波網は人体だけでなく地球の内部まで浸透し、出ていくことはない。それにより環境汚染に新たな要素が加わることになり、地球とその生命はますます弱体化していくだろう。

 電磁波は物質的に機能しているだけでなく、私たちのメンタル、スピリット、感情といった霊的側面においても機能しているのだ。政府や企業、メディアを通して地球全体に電磁波ネットワークを作れば、地球全体にバリアーを張ることになる。そうなればコズミックエネルギー―光が入るのを妨げる壁ができることになる。地球を取り囲む人工的な電磁波網の周波数が高くなればなるほど、コズミックエネルギーと光の存在が地球に入ることが難しくなる。そして、そのバリアー内での人類に対するコントロールはますます強くなっていく。我々が現在、アメリカと中国との5G通信網をめぐる経済戦争として目にしているものは、そのプロセスだ。それは目覚め―アセンションに向かう人類が微々たるものになることを意味している。大半の人がその電磁波の中にいるままでは、その外で起こっていることも、自分の周りで起こっていることも感じず、気づかないからだ。
 人類はこれからこの人工的な電磁波をますます強化していく道を進むことを決定した。
 惑星全体をコントロールするためだ。この電磁波は、この時空に我々を閉じ込めるために、我々が欲しがる全てのテクノロジーを提供し、メンタルをコントロールするためのご馳走となる。

 各空間、各次元には各々の電磁波エネルギーが存在する。そういった宇宙の法則に基づく電磁波エネルギーは光である。意識の高まり、目覚め、アセンションに導くものだ。
 それが多次元宇宙からコズミックエネルギーとして地球に降り注いでいる電磁波だ。
 しかし、現在のテクノロジーの生み出す電磁波はその反対だ。新たな病気や問題をもたらすもの、似た思考形態に脳が支配されている人々に幸せをもたらすもの、魂のレベルでのテクノロジーコントロールを意味する。しかし、これらは全て偽りのものだ。私たちが自分のエネルギーを高めるためには、エネルギーを変えるために努力しなくてはならない。そうでなければ、電磁波網に捕らわれたままではそこから出ることは決してないだろう―。

*写真は『週間金曜日』2019年11月15日号、2020年5月8日号、『NO HUKES VOICE』23号より転載




 

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