CO2 温暖化論の崩壊

       

 “温暖化の危機感共有 気候行動サミット 米大統領が出席”

 気候行動サミットは、地球温暖化に対策を求める若者の抗議行動などを背景に、対策強化を表明する国が相次いだ。一方、パリ協定から離脱する方針の米国や石炭火力発電を重視する日本などへの批判は根強いが、二極化が鮮明になっている。登壇したのは欧州など先進国に加え、アジアやアフリカ、南米の発展途上国など多岐に渡った。首脳らは2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする長期目標や、石炭火力発電所の段階的廃止、炭素排出にも課金する制度導入などを次々に表明した。
                         (『北海道新聞』9月24日付)

 その「CO2 増加による地球温暖化」という世界的合意を形成する国連のノーベル平和賞受賞者「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」という組織については、日本人は国連とかノーベル賞受賞といったお墨付きがつけば、頭から信用してしまいそうだが、これはその名の通り政府間の組織で、参加している研究者は、いわばボランティアで、国際学会や学術研究連合とは全く性格が異なる。また、IPCCは独自の研究調査はせず、既存の研究結果に基づいて合意を形成し、報告書を作成したということになっている。政府立案者に向けた報告書に過ぎず、学術論文のように厳密な審査を経たものではない。

 このIPCCにおいては、2009年11月に交信メール1073件と、文書3800点がアメリカの複数のブログサイトに流出し、世界中が驚愕する「気温データの捏造」というスキャンダルが発覚した(クライメートゲート事件)。日本では無報道に近かったが、科学誌「化学」2010年3月、5月号で東京大学の渡辺正教授が詳細にこの事件を分析している。アメリカ、ヨーロッパでは、その不正とスキャダルを伝える多くの報道が続き、その正体のいかがわしさが明らかになった。現在では、メディアもすっかり忘れているようだが、その詳しい内容については、私の「宇宙NEWS〜」の〈地球温暖化の虚構〉(2015年12月)の項を参照されたい。

 科学的立証も実は不確かなCO2 温暖化説が、いつの間にか科学の結論、社会の常識として定着し、温暖化ストップや気候変動を止めるためには、そのための行動―CO2 の削減が待ったなしであると報道される。CO2 の増加が本当に温暖化や気候変動の原因なのかという疑問や異論は、存在しないかのように触れられもしない。まるで人類社会も地球環境の未来も、CO2 の増減いかんにかかっているかのような話になっている。
 21世紀に入って以来、やかましく警告されるようになった、CO2 増加による温室効果が原因とされる「地球温暖化」。昨今、毎年のように続く夏の異常な猛暑、集中豪雨、巨大台風、冬の猛烈な寒波―それらの気候変動は、地球温暖化によって引き起こされていると説明される。だが、温暖化が起きているとしても、それはそもそもCO2 の増加が原因なのか。

 地球の気温を変化させる要因として、地球の公転軌道の10万年ごとのサイクル(最大1600万km近づいたり、遠ざかったりする)、地球の地軸の傾きの周期的変化(4万1千年)、太陽活動、黒点の増減、宇宙線、地磁気の変化、水蒸気、火山の噴火、太陽光線を反射するアルベド効果など数々ある。なぜ「人為的なCO2 が主因と見るのが自然」なのか。 結論が議論なしに、いきなりそこへジャンプしているのだ。地球の気温を計算するために使われる物理化学の数式は、いずれも実験室的な閉鎖空間を想定して、一定の条件で成り立つものに過ぎない。IPCCの気候モデルでは、人間の知り得る科学では複雑過ぎて計算できないことを、コンピューターで強引にシミュレーションして、何十年後にはこうなると、あたかも確定した未来であるように予測しているだけなのだ。

 大気中の成分で温室効果が最も大きいのは二酸化炭素ではなく、水蒸気である。地球大気の温室効果ガスのうち、水蒸気の量は一桁大きく、水蒸気同士がもたらす相乗効果を考えると、温室効果の90%以上は水蒸気によるものと考えられる。二酸化炭素は、大気中に0.03%しかない、大気中には水蒸気が13兆トンもあり、大気の0.26%を占めている。湿度の高いところでは4%にも達する。この水分が雲を作って雨と雪を降らせ、蒸発しながら熱を奪い、その水分の巨大な熱量が、気流を起こして風が吹き、全気象を変化させてきた。
 二酸化炭素に赤外線の熱が吸収されても、この熱は膨大な量の水蒸気圏に拡散する。一度温まれば、水ほど冷えにくい物質はない。どちらが気象に影響を与えるかは歴然としている。
 現在のところ、温室効果ガスの寄与率には、科学者によって諸説あるので、断定はできないが、水蒸気の寄与率は最小の説でも60%であり、最大の説では95%である。
「水蒸気を除いた場合」には、IPCC第四次報告書からの数字を見ると、CO2 60%、メタン20%、フロン類14%、亜酸化窒素6%くらいと推定されている。つまり、現在の温暖化で議論されてきたのは、なぜか「水蒸気を除いた」この四つだけで、とりわけCO2 だけに問題が集中していること自体がおかしいのである。

温暖化と気候変動は、地球の周期的変化と宇宙からの影響で起きている

 地球温暖化と気候変動は、人為的な要因によるものではないということは、日本も含め各国の地球科学者や学術機関が発表したり、声明を出したりしているのだが、日本のメディアでは、そういう動きはなぜか全くと言っていいほど報道されない。
 時代は少し遡るが、2008年5月25〜29日に、日本地球惑星科学連合で「地球温暖化の真相」と題するシンポジウムが開催された。この学会は、地球に関する科学者の47学会が共催する国内最大級の学会であった。ここでは地球科学者、物理学者、天文学者たちが「CO2 温暖化説」を批判して数々の実証データを示し、大半の参加者が「CO2 温暖化説を信じない」という議論を展開した。太陽研究の第一人者も、CO2 温暖化説を否定した。
 アンケートを取ったところ、「IPCCが主張するように、21世紀に一方的な温暖化が進む」という考えの人は1割しかいなかった。むしろ多くの科学者は、寒冷化による被害が切迫しているのではないかと、という危惧を抱いていた。

 明けて2009年1月に、会員二千人を擁する日本のエネルギー・資源学会が新春eメール討論を開いた結果では、IPCC参加者以外の四人は、やはりCO2 による地球温暖化説を全員が否定した。アラスカ大学・赤祖父俊一名誉教授、横浜国立大学・伊藤公紀教授、海洋研究機構・草野完也プログラムディレクター、東京工業大学教授・丸山茂徳教授。
 この四人の意見を集約すると、「CO2 は増加しているし、地球の気温も上がってきたが、CO2 のために気温が上がっているのではなく、地球本来の自然な変化である。今後もこのような気温上昇が続く可能性は低い」というものだった。
 このように彼らのような権威ある学者らが、CO2 温暖化説は全くの誤りで、気温上昇は自然な変化であると断定しているのに、なぜかその言葉は当時から現在でも、メディアでも政治の場でも大きく取り上げられることはない。
 地球の気候―温暖化も気候変動も、それに影響を与えているのは「宇宙線と雲」、「太陽の活動」であるというのは全く正しいと思う。解放系である惑星地球は、太陽を中心に公転しながら、常に太陽の活動による影響と宇宙のエネルギーの流れである宇宙線にさらされ、大気ごとその影響を受けている。地球大気の0.03%のCO2 の増減より、宇宙と繋がっていることによる要因が、温暖化も気候変動も引き起こしていると見る方が自然である。

環境汚染の主因は何か

 国連の「若者気候サミット」で、CO2 削減を求めて抗議の声を上げる若者を含め、CO2 の排出量を減らせば環境が良くなると考えている人は、今一度、何が地球環境に汚染や破壊をもたらしているかということを、よく見てほしい。一番悪いのは「有害物質」と「熱の排出」と「機械的な自然破壊」である。地球の汚染は大気中の窒素酸化物、硫黄酸化物、浮遊粒子状物質、そして放射性物質の複合的な重なりによって、より広範囲に広がろうとしている。現在、南米のアマゾンをはじめ、世界中で進行する砂漠化の原因は、酸性雨、森林伐採、農地開発と河川の大量取水にある。CO2 や温暖化とは全く関係がない。中国の工場群が吐き出すもうもうたる煤煙―その光景に象徴される、有害な大気汚染物質による環境汚染も、同時に排出されるCO2 の方が問題であるかのように語られてきた。環境を汚染しているのは、これらの煤煙に含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物、浮遊状粒子物質であって、CO2 ではない。
 CO2 は大気汚染物質ではない。それはあらゆる生物が体内で生産し、呼吸によって放出する物質であり、全ての植物が光合成を行って生きるために不可欠の生命活動維持物質である。

炭素は生命の基本

 最近聞かれる「脱炭素社会」という言葉は、人間が自ら生命の素である炭素を否定する非科学的観念論である。我々生命体は炭素が素となってできているのだ。植物の炭酸同化作用に始まって、動物が炭酸ガスを吐き出し、いかにして炭素からエネルギーを得るかを人体が考え出し、それによって生物は、この世に出現した。なぜ炭素を悪者扱いするのか。筋違いも甚だしい。光の電磁波エネルギーを化学エネルギーに変える光化学反応によって、光合成による炭酸同化作用が行われる。これが生命の源となった有機物の大量生産の始まりである。人間は文明が始まる以前から火を焚き、薪、木炭、石炭、石油を燃やし、その炭素が与えた熱によってここまで生存してきた。炭素は熱源となる最も重要な元素なのだ。

 脱炭素社会を実現するとして、「2050年までにCO2 の排出ゼロ」という目標が宣言されているが、その時代には火力発電―石炭、石油も天然ガスも廃止で、クルマは全車電動化。さらには民間でも暖房に薪、木炭、灯油を燃やすことも法律で規制されるようになるのか? 暖房のための熱源はどうするのかと問えば、電気ストーブか電動エアコンにすればいいという答えが返ってきそうだが、電気を熱に変換するのは最も効率が悪い。つまり、大量に電気を食う。火力発電を全面廃止し、電源はどうするのか。自然エネルギーだけでは不足分を到底補えない。そこで再び登場が望まれているのが、“CO2 を出さない”原子力発電―。「脱炭素社会」のシナリオには、そんな目論みが含まれている気がしてならない。
 火を焚くこと自体を禁じるような「何時何時までにCO2 の排出ゼロ」などという非現実的で実現不可能な国際社会の宣言に真面目につきあう必要はない。火力発電や内燃機関を廃止しても、工業や農業、あらゆる産業、人間の生命活動も、CO2 の排出なしには成り立たない。いくら削減しても、排出ゼロなんて、ありえないことなのだ。

CO2 温暖化論を超えて

 大気中のCO2 が増えることの脅威は、地球の46億年の歴史から見れば、ほんの一瞬の直近の過去(18〜19世紀以降)の危ういデータを基に論じられている。それぞれの異常気象の原因は、複数の要因によるもので、個々の現象の関連も含めて科学的に分析しなければならない。はっきりと言えることは、地球の気温の上昇や気候変動、環境汚染といった問題のどこにもCO2 は登場しない。全くの無実である。
 温暖化の犯人として、なぜCO2 ばかりが注目されるのか。環境問題のような政治家や指導者が介在する問題を科学的に扱おうとすると、一般社会では物事をなるべく簡略な説明で済ませようという心理が働く。CO2 は温暖化や気候変動がとうやって起こるのかを簡単に説明するには都合がよい。この「温室効果ガス」によって地球の気候が支配されていると言われれば、人々はそれ以上の複雑な仕組みを学ぼうとしなくなる。

 一方で、多くの科学者らによって、地球温暖化や気候変動の原因は、CO2 などの人為的なものではないという発表や声明が相次いでいるが、国連や各国政府は、いつまで、その報告や証明を、見て見ぬふりを続けられるだろうか。地球がこれから温暖化し続けるのか、あるいは寒冷化が迫っているのか、多くの科学者が謙虚に「分からない」と答えているが、私も分からない。ただ言えることは、CO2 の増加によって温暖化や気候変動が起きているわけではないことは明白である。数々の自然のメカニズムが相互に、周期的に作用して、そして太陽活動がその中心にあって、自然現象によって過去の気温が変化してきた、ということに尽きる。「2050年までにCO2 排出ゼロ」を目指しても、温暖化、あるいは気候変動は少しも止まらない。それだけは断言できる。
                           
  地球とその気象とは、人間の願望や意図をはるかに超えた宇宙的スケールの原理と仕組みによって、太陽系の一惑星としての数十億年の歴史を今も刻み続けている。
 現在の世界を挙げてのCO2 温暖化騒ぎは、宇宙の真っ只中にある地球という視点を欠いた、「木を見て森を見ず」の人類の視野狭窄と閉鎖的な思考法の産物である。世界中で、このシナリオを進めている限り、誰も地球の真実の姿を知ることはできないだろう―。



“温暖化の危機感共有 気候行動サミット 米大統領が出席”

 深刻さを増す地球温暖化に対処するため、各国首脳や閣僚らが集まる「気候行動サミット」が9月23日、米ニューヨークの国連本部で開かれた。グテーレス国連事務総長が主催し、危機感と対策への責任を共有することで、来年に本格始動するパリ協定の下で温室効果ガスの大幅削減など、具体的行動の強化を図る。グテーレス氏は開幕式で「気候変動の危機を止めるため、できる対策を全て実行することが我々の責務だ。残された時間は少ないが、まだ手遅れではない」と強調した。
 世界に広がる若者の抗議行動の先駆けとなり、21日の国連初の「若者気候サミット」に参加したスウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさん(16)も発言。温暖化で人々が苦しみ、生態系が崩壊しているとして、「全ての将来世代があなたたちを注視している。(必要な対策を怠り)我々を失望させることはけっして許さない」と、各国の首脳らに対し、語気を強めた。

 気候行動サミットは、地球温暖化に対策を求める若者の抗議行動などを背景に、対策強化を表明する国が相次いだ。一方、パリ協定から離脱する方針の米国や石炭火力発電を重視する日本などへの批判は根強いが、二極化が鮮明になっている。登壇したのは欧州など先進国に加え、アジアやアフリカ、南米の発展途上国など多岐に渡った。首脳らは2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする長期目標や、石炭火力発電所の段階的廃止、炭素排出にも課金する制度導入などを次々に表明した。
                         (『北海道新聞』9月24日付)                

 温暖化阻止を求め、若者が政府に抗議行動。2050年までに温室効果ガス(CO2 )の排出を実質ゼロ。―つまりは人間がCO2 の排出さえ止めれば、温暖化も気候変動も止まる。各国政府から国連、一部の科学者(IPCC―〈気候変動に関する政府間パネル〉に属する)、大多数のメディア、環境問題を危惧する若者に至るまで、そのことを確定した科学的事実の如く信じている。驚くことに、人間の出す二酸化炭素によって地球が温暖化しているという途方もない仮説が出てから、人類の大半がそれを科学の結論だと信じて議論をスタートし、環境汚染も生態系の破壊もCO2 のせいにして、CO2 狩りに熱中する狂騒の最中にある。
 数年前にも、私は『宇宙NEWS〜』で、具体的データや論証を挙げて、CO2 温暖化説に真っ向から反論したが、現在でも政治家から科学者、メディア、一般市民の多くが、CO2 温暖化説を固く信じ、CO2を一刻も早く削減しなければ、生態系が崩壊し、人類が滅ぶとまで大合唱している有様を見て、あらためて強烈な違和感と別の意味での危機感を覚え、この議論に冷水を浴びせるべく、今一度、ここで反論したい。あえて言うが、CO2 温暖化説というのは、とんでもないフェイク、逸らし(偽装)である。

 その「CO2 増加による地球温暖化」という世界的合意を形成する国連のノーベル平和賞受賞者「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」という組織については、日本人は国連とかノーベル賞受賞といったお墨付きがつけば、頭から信用してしまいそうだが、これはその名の通り政府間の組織で、参加している研究者は、いわばボランティアで、国際学会や学術研究連合とは全く性格が異なる。また、IPCCは独自の研究調査はせず、既存の研究結果に基づいて合意を形成し、報告書を作成したということになっている。政府立案者に向けた報告書に過ぎず、学術論文のように厳密な審査を経たものではない。

 このIPCCにおいては、2009年11月に交信メール1073件と、文書3800点がアメリカの複数のブログサイトに流出し、世界中が驚愕する「気温データの捏造」というスキャンダルが発覚した(クライメートゲート事件)。日本では無報道に近かったが、科学誌「化学」2010年3月、5月号で東京大学の渡辺正教授が詳細にこの事件を分析している。アメリカ、ヨーロッパでは、その不正とスキャダルを伝える多くの報道が続き、その正体のいかがわしさが明らかになった。現在では、メディアもすっかり忘れているようだが、その詳しい内容については、私の「宇宙NEWS〜」の〈地球温暖化の虚構〉(2015年12月)の項を参照されたい。

 科学的立証も実は不確かなCO2 温暖化説が、いつの間にか科学の結論、社会の常識として定着し、温暖化ストップや気候変動を止めるためには、そのための行動―CO2 の削減が待ったなしであると報道される。CO2 の増加が本当に温暖化や気候変動の原因なのかという疑問や異論は、存在しないかのように触れられもしない。まるで人類社会も地球環境の未来も、CO2 の増減いかんにかかっているかのような話になっている。
 21世紀に入って以来、やかましく警告されるようになった、CO2 増加による温室効果が原因とされる「地球温暖化」。昨今、毎年のように続く夏の異常な猛暑、集中豪雨、巨大台風、冬の猛烈な寒波―それらの気候変動は、地球温暖化によって引き起こされていると説明される。だが、温暖化が起きているとしても、それはそもそもCO2 の増加が原因なのか。

 大気中の成分で温室効果が最も大きいのは二酸化炭素ではなく、水蒸気である。地球大気の温室効果ガスのうち、水蒸気の量は一桁大きく、水蒸気同士がもたらす相乗効果を考えると、温室効果の90%以上は水蒸気によるものと考えられる。二酸化炭素は、大気中に0.03%しかない、大気中には水蒸気が13兆トンもあり、大気の0.26%を占めている。湿度の高いところでは4%にも達する。この水分が雲を作って雨と雪を降らせ、蒸発しながら熱を奪い、その水分の巨大な熱量が、気流を起こして風が吹き、全気象を変化させてきた。
 二酸化炭素に赤外線の熱が吸収されても、この熱は膨大な量の水蒸気圏に拡散する。一度温まれば、水ほど冷えにくい物質はない。どちらが気象に影響を与えるかは歴然としている。
 現在のところ、温室効果ガスの寄与率には、科学者によって諸説あるので、断定はできないが、水蒸気の寄与率は最小の説でも60%であり、最大の説では95%である。
「水蒸気を除いた場合」には、IPCC第四次報告書からの数字を見ると、CO2 60%、メタン20%、フロン類14%、亜酸化窒素6%くらいと推定されている。つまり、現在の温暖化で議論されてきたのは、なぜか「水蒸気を除いた」この四つだけで、とりわけCO2 だけに問題が集中していること自体がおかしいのである。

温暖化と気候変動は、地球の周期的変化と宇宙からの影響で起きている

 地球温暖化と気候変動は、人為的な要因によるものではないということは、日本も含め各国の地球科学者や学術機関が発表したり、声明を出したりしているのだが、日本のメディアでは、そういう動きはなぜか全くと言っていいほど報道されない。
 時代は少し遡るが、2008年5月25〜29日に、日本地球惑星科学連合で「地球温暖化の真相」と題するシンポジウムが開催された。この学会は、地球に関する科学者の47学会が共催する国内最大級の学会であった。ここでは地球科学者、物理学者、天文学者たちが「CO2 温暖化説」を批判して数々の実証データを示し、大半の参加者が「CO2 温暖化説を信じない」という議論を展開した。太陽研究の第一人者も、CO2 温暖化説を否定した。
 アンケートを取ったところ、「IPCCが主張するように、21世紀に一方的な温暖化が進む」という考えの人は1割しかいなかった。むしろ多くの科学者は、寒冷化による被害が切迫しているのではないかと、という危惧を抱いていた。

 明けて2009年1月に、会員二千人を擁する日本のエネルギー・資源学会が新春eメール討論を開いた結果では、IPCC参加者以外の四人は、やはりCO2 による地球温暖化説を全員が否定した。アラスカ大学・赤祖父俊一名誉教授、横浜国立大学・伊藤公紀教授、海洋研究機構・草野完也プログラムディレクター、東京工業大学教授・丸山茂徳教授。
 この四人の意見を集約すると、「CO2 は増加しているし、地球の気温も上がってきたが、CO2 のために気温が上がっているのではなく、地球本来の自然な変化である。今後もこのような気温上昇が続く可能性は低い」というものだった。
 このように彼らのような権威ある学者らが、CO2 温暖化説は全くの誤りで、気温上昇は自然な変化であると断定しているのに、なぜかその言葉は当時から現在でも、メディアでも政治の場でも大きく取り上げられることはない。
 ごく最近では、7月に神戸大学の科学者が、気候変動は「人為的な要因のものではない」ことを証明。地球の気候に影響を与えているのは「宇宙線と雲」であることを、78万年前の地磁気逆転の時のデータから突き止めた。また同月、イタリアの科学議会が「人為的な要因による地球温暖化という説は科学ではない」ということを全会一致で決議し、請願書をイタリア議会に提出した。6月にはドイツの科学者が「太陽黒点と降雨量が、ほぼ完全なリンクを示している」ことを発見した。
 さらには同時期に、フィンランドの研究チームも気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候モデルでは「気温の条件を正しく計算できない」ことを突きとめていて、IPCCが算出した気候変動モデルが崩壊しつつある。

 地球の気候―温暖化も気候変動も、それに影響を与えているのは「宇宙線と雲」、「太陽の活動」であるというのは全く正しいと思う。解放系である惑星地球は、太陽を中心に公転しながら、常に太陽の活動による影響と宇宙のエネルギーの流れである宇宙線にさらされ、大気ごとその影響を受けている。地球大気の0.03%のCO2 の増減より、宇宙と繋がっていることによる要因が、温暖化も気候変動も引き起こしていると見る方が自然である。

環境汚染の主因は何か

 国連の「若者気候サミット」で、CO2 削減を求めて抗議の声を上げる若者を含め、CO2 の排出量を減らせば環境が良くなると考えている人は、今一度、何が地球環境に汚染や破壊をもたらしているかということを、よく見てほしい。一番悪いのは「有害物質」と「熱の排出」と「機械的な自然破壊」である。地球の汚染は大気中の窒素酸化物、硫黄酸化物、浮遊粒子状物質、そして放射性物質の複合的な重なりによって、より広範囲に広がろうとしている。現在、南米のアマゾンをはじめ、世界中で進行する砂漠化の原因は、酸性雨、森林伐採、農地開発と河川の大量取水にある。CO2 や温暖化とは全く関係がない。中国の工場群が吐き出すもうもうたる煤煙―その光景に象徴される、有害な大気汚染物質による環境汚染も、同時に排出されるCO2 の方が問題であるかのように語られてきた。環境を汚染しているのは、これらの煤煙に含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物、浮遊状粒子物質であって、CO2 ではない。
 CO2 は大気汚染物質ではない。それはあらゆる生物が体内で生産し、呼吸によって放出する物質であり、全ての植物が光合成を行って生きるために不可欠の生命活動維持物質である。 

炭素は生命の基本

  脱炭素社会を実現するとして、「2050年までにCO2 の排出ゼロ」という目標が宣言されているが、その時代には火力発電―石炭、石油も天然ガスも廃止で、クルマは全車電動化。さらには民間でも暖房に薪、木炭、灯油を燃やすことも法律で規制されるようになるのか? 暖房のための熱源はどうするのかと問えば、電気ストーブか電動エアコンにすればいいという答えが返ってきそうだが、電気を熱に変換するのは最も効率が悪い。つまり、大量に電気を食う。火力発電を全面廃止し、電源はどうするのか。自然エネルギーだけでは不足分を到底補えない。そこで再び登場が望まれているのが、“CO2 を出さない”原子力発電―。「脱炭素社会」のシナリオには、そんな目論みが含まれている気がしてならない。
 火を焚くこと自体を禁じるような「何時何時までにCO2 の排出ゼロ」などという非現実的で実現不可能な国際社会の宣言に真面目につきあう必要はない。火力発電や内燃機関を廃止しても、工業や農業、あらゆる産業、人間の生命活動も、CO2 の排出なしには成り立たない。いくら削減しても、排出ゼロなんて、ありえないことなのだ。

CO2 温暖化論を超えて

 大気中のCO2 が増えることの脅威は、地球の46億年の歴史から見れば、ほんの一瞬の直近の過去(18〜19世紀以降)の危ういデータを基に論じられている。それぞれの異常気象の原因は、複数の要因によるもので、個々の現象の関連も含めて科学的に分析しなければならない。はっきりと言えることは、地球の気温の上昇や気候変動、環境汚染といった問題のどこにもCO2 は登場しない。全くの無実である。
 温暖化の犯人として、なぜCO2 ばかりが注目されるのか。環境問題のような政治家や指導者が介在する問題を科学的に扱おうとすると、一般社会では物事をなるべく簡略な説明で済ませようという心理が働く。CO2 は温暖化や気候変動がとうやって起こるのかを簡単に説明するには都合がよい。この「温室効果ガス」によって地球の気候が支配されていると言われれば、人々はそれ以上の複雑な仕組みを学ぼうとしなくなる。

「CO2 増加による地球温暖化」は、もはや科学ではなく、完全に政治化している。「排出権取引」等というものがあるように、CO2 温暖化を世界的な政治・社会問題にすることによって、利益を得ている多数の者が存在している。また、危機感を煽って大きな国家予算がつぎ込まれると、利益を得る人々がいる。ちなみに現在の日本でも、温暖化研究という名目が付けば、どんな意義があるのか理解しがたいような研究課題にも、毎年数億円の予算が支出されているという。国の予算でも、毎年、温暖化対策(CO2 排出削減)が組み込まれ、全国の自治体も企業も、それに習えで、それで経済が回るようになっているから、どの国も今さら、それを中止したり、降りたりするわけにはいかないのだろう。
 こうして研究者も、政府や企業も、それに連なるメディアも、揃って「CO2 増加による地球温暖化」が確定した科学的事実であると宣伝されていった。

 一方で、多くの科学者らによって、地球温暖化や気候変動の原因は、CO2 などの人為的なものではないという発表や声明が相次いでいるが、国連や各国政府は、いつまで、その報告や証明を、見て見ぬふりを続けられるだろうか。地球がこれから温暖化し続けるのか、あるいは寒冷化が迫っているのか、多くの科学者が謙虚に「分からない」と答えているが、私も分からない。ただ言えることは、CO2 の増加によって温暖化や気候変動が起きているわけではないことは明白である。数々の自然のメカニズムが相互に、周期的に作用して、そして太陽活動がその中心にあって、自然現象によって過去の気温が変化してきた、ということに尽きる。「2050年までにCO2 排出ゼロ」を目指しても、温暖化、あるいは気候変動は少しも止まらない。それだけは断言できる。
                           
 私はここで、人間は二酸化炭素を大気中に野放図に放出してよいと言っているのではない。火力発電所や工場、自動車などの排ガスを規制することは、CO2 以上に、その大気汚染物質を減らす上でも絶対に必要である。ただ、それは温暖化とか気候変動とは関係ない従来から求められている環境政策である。CO2 が異常な温暖化を引き起こしているという政治的・社会的要請に沿ったシナリオばかりに目を奪われていると、私たちは惑星地球を真に科学的・かつ冷静に見る視点を失ってしまう恐れがある。母なる地球は、コンピューター・シミュレーションの予測など歯牙にもかけていない。「今世紀末までに世界の平均気温の上昇を2度未満に抑える」と国連などが宣言しているが、地球の大気と気象とは、人間がコントロール可能な閉鎖系の温室ではないのだ。

 地球とその気象とは、人間の願望や意図をはるかに超えた宇宙的スケールの原理と仕組みによって、太陽系の一惑星としての数十億年の歴史を今も刻み続けている。
 現在の世界を挙げてのCO2 温暖化騒ぎは、宇宙の真っ只中にある地球という視点を欠いた、「木を見て森を見ず」の人類の視野狭窄と閉鎖的な思考法の産物である。世界中で、このシナリオを進めている限り、誰も地球の真実の姿を知ることはできないだろう―。

                                                                図版は「二酸化炭素温暖化説の崩壊」広瀬隆/集英社新書刊より転載


 

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