矛盾だらけの太陽理論

 太陽に関する科学的情報を伝える一般向けのテレビ、雑誌、書籍、ネットのサイトのほぼ全てが太陽の中心部は核融合反応をしていると伝えている。コア(核)で発生した熱は、放射と対流によって太陽の表面に上がり、宇宙に放出される。そして太陽の表面に見える粒状の黒点は、対流カラム(管)の先端であると推測されている。
 太陽に関するこういった「核融合理論」は、アーサー・エディトン卿(1882〜1944)によって最初に提案された。それ以降の天文学者らも、太陽のエネルギーは太陽外部から得られるものであるという推測をいとも簡単に否定した。そんなことはありえないと、彼らは想像すらできなかったようだ。したがって、太陽はそれ自身の内部からエネルギーを得ていて、数十億年燃え尽きないでいる理由は、その源が核融合によるものでなけ
ればならないと、アカデミズムは結論を出した。

 しかし、そうであるなら、太陽は大量のニュートリノを放出していなければならない。
 しかし、30年以上の研究を経ても、必要量を満たすニュートリノは全く見つからなかった。実際にはわずかながらも太陽ニュートリノは観測されたが、核融合反応が太陽の主なエネルギー源であるとすれば、発見されたニュートリノは本来必要とされる分量の半分以下しかなかった。それでも太陽モデルは再検討されることはなかった。むしろ、太陽ニュートリノが新しい性質を持っていなければならないことを実証する方に理論上の努力がな
された。その結果、2001年にカナダのサドベリーニュートリノ天文台は、ニュートリノが塊になると、性質を変えるという発表をした。次いで、日本のスーパーカミオカンデからは、太陽ニュートリノの問題は解決されたと見なすという声明が出された。しかし、欠乏しているニュートリノの問題は、太陽の核融合説に関わる根本的な問題であり、解決にはほど遠いと、『プラズマ宇宙論』の提唱者たちは考えている。

 黒点の温度についての謎も重要だ。黒点は太陽の表面から奥深く窪んでいる場所にある。
 そして「ウンブレ」と呼ばれている黒点の中心部の温度は、通常は3800度といわれている。太陽の表面温度は6000度とされているので、この黒点中心の温度は、それより2200度も低いということになる。エネルギーが温度が高い核から、表面に向かって流れているなら、黒点の穴は太陽の表面より温度が低いわけはなく、もっと熱いはずである。それとは逆に、太陽表面から離れるほど、温度が高くなるという不思議な現象がある。

 太陽コロナの温度はその位置によっては200万度にもなり、太陽表面から遠くなるほど高温になるという逆説的な問題がある。核融合に伴う物理からは不適当な現象であることは明白である。なぜなら典型的な放射エネルギーは、源から離れれば離れるほど、そのエネルギーは小さくなっていくのが常識だからである。太陽の表面近くでは6000度、さらに黒点の深い部分ではより低いと観測されている大気の温度が、表面から離れるにつ
れて上昇し、コロナの先端部分の非常に薄い層では、約200万度という高温になり、激しく飛び散る放射エネルギーが現れている。「核融合モデル」に従えば、放射エネルギーは核で発生し、対流カラムの先端へと放射されているのだが、それだとこの非常に大きい温度差を、容易に説明することはできない。


太陽フレアの大爆発

 コロナからプラズマが高速度で噴き出す現象を太陽風という。フレアが発生することで、高速で高密度の太陽風が放出される。太陽風の主な成分は「プラスイオン」―陽子である。
 観測結果から見ると、太陽から遠ければ遠いほど太陽風は激しく加速していることが分かっている。こうした矛盾が、プラズマ宇宙論を用いると、一挙に解決できるのである。


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