人はプラーナ(光)で生きられる(その3)


DNAとソマチッドの連関したメカニズム

 生物学者のガストン・ネサン氏によると、ソマチッドがいなければ、生命は存在すらし得ないという。そして、ソマチッドは生命の死により、消滅するものでもない。ネサン氏はこう言っている。
「ぜひ月の岩石のサンプルを手に入れて、私の顕微鏡で調べてみたいものだ。その中にソマチッドが見つかるかもしれない。地球上に存在するのと同じ原始的な生命の痕跡が―」
 この地球において太古から存在しているソマチッドは、今後人類が絶滅しても、地球に存続する可能性は高い。地球外の惑星においても、その可能性は否定できないのだ。
 そしてネサン氏ばかりか一部の科学者は、ソマチッドがDNAの前駆物質であり、これこそがDNAのミッシング・リンクを提供できると考えている。

 体調が崩れて加わることになるソマチッドの13段階を見ると、興味深いことにバクテリアや細菌類と似た形態をしており、このことはそれらと同じものが体内で生み出されることを示している。つまりストレスや生活習慣などからヒトの免疫力が弱まると、ソマチッドは形態を変化させて、宿主である肉体を破壊していくのである。
 ソマチッドとウィルスの違いについて、共同研究者であるネサン夫人は次のように説明する。
「ウィルスが生存し続けるには、それを支える環境が必要です。例えば、人工的な試験管培養とか卵のような自然の環境ですね。ところがソマチッドは、生体内でも試験管内でも独自に生きることができる。これはウィルスはDNAを持つのに対し、ソマチッドはDNAの前駆物質、つまりDNAの前身であるという事実と関係があります」

 さらに次のように言っている。
「私たちはソマチッドは〈エネルギーの具現〉であるという結論に達しました。ソマチッドは生命が〈最初に分化した〉具体的な形態であり、動植物の生きた生体に伝達できる遺伝的特質を持っています。この結論に達したのは、ソマチッドの最初の正常な三形態がないと細胞分裂が起きないということを発見したからです。ではなぜソマチッドがないと細胞分裂が起きないのかというと、細胞分裂を起こす特別な成長ホルモンを産出するのは実はソマチッドの最初の三形態だからです」
 これを裏付けるために、ネサン夫人は次のような実験を行った。

 解体直後の新鮮な肉片に、試験管内で培養したソマチッドを注入する。それを真空状態の密閉容器に入れ、窓辺に置いて、日中は自然の太陽光に曝す。すると、その肉片は腐ることもなく、健康色を保ち、まるで生きた有機体のように次第に大きくなっていったのだ。その話を聞いた生物学、代替医療に詳しい研究家のクリストファー・バード氏は、さらに電気的な刺激を与えれば、どんどん成長を続け、解体前の動物として蘇るのではないかという、馬鹿げた思いを巡らせたという。しかし、この想像はそれほど馬鹿げたものではないかもしれない。例えば、ロバート・ペッカー博士は、患部をマイナスに帯電させるように電気的な刺激を与えることで、サンショウウオの四肢を飛躍的に再生させる実験に成功しているのだ。ソマチッドは負の電荷を帯びており、アルカリ性の環境下で生命力を増すことが分かっている。今後DNAの前駆物質と思われるソマチッドの解明が進み、加えるべき電気的な刺激についても研究が進めば、ひょっとすると、ヒトが失った手足や臓器を再生させることすら可能になるかもしれない。
 ネサン氏は、ソマチッドがDNAのキャリアーでもあると推測している。ソマチッドはDNAすら修復して、生命に息吹を与える奇跡の微小生物のようである。

 714 Xの開発に至る前に、ネサン氏はフランスにおいて他の製剤も開発し、多くのガン患者を救ってきた。彼の成功が注目されるようになると、医師会を敵に回すことになった。不当な理由で訴えられ、多額の罰金を支払った。研究室は閉鎖され、器具類も没収された。なんとかそれを切り抜けたネサン氏は、思い切ってフランス語圏であるカナダのケベック州へ移住したのだが、そこでも同様の苦難を味わうことになった。
 ネサン氏の研究が業界で注目を集め始めると、カナダの製薬業界は彼の研究を妨害し始めた。1989年5月、彼は突然逮捕され、刑務所に収容された。罪状は、医師の免許なしに患者の治療に当たり、ある女性患者を死亡させたこと。しかし、実際にはその女性は病院による化学療法を拒み、714 Xによる治療を自ら望んだ末期患者であり、もはや手遅れだったのだ。
 最終的に、ネサン氏は裁判で身の潔白を証明した。ネサン氏の研究を高く評価した一部の人々や、ネサン氏の製剤で奇跡的に回復した元患者たちが、彼を救ったのである。
 長い間、カナダをはじめ、ほとんどの国々で714 Xを医師が処方することは認められていなかったが、90年代に入り、ようやくカナダ国内では、医師がカナダ保険省に714 Xの使用を認めた場合に限り、接種が許されるようになった。

日本で継承されるソマチッド研究

 1997年にガストン・ネサン氏の研究と法廷闘争の行方を伝えた『完全なる治癒』(クリストファー・バード著、徳間書店刊)が出版されて以来、日本でもソマチッドに関心を抱く医療関係者が現れた。帯津三敬病院名誉院長の帯津良一博士や、CLIクリニック院長の森時孝博士は、カナダのネサン氏を訪問し、治療に役立てるべくソマチッドの観察を行っている。また、ネサン氏に影響を受けた福村一郎氏は、ソマチッドの存在と生態を確認し、さらに研究を進めた。そして、2004年にナチュラルクリニック代々木院長の宗像久男博士と共に『古代生命体ソマチッドの謎』(冬青社)を上梓した。
 福村氏は、次のようなことを確認している。
・ソマチッドは地球上最古の原始生物であり、当時地球上にあった元素のうち、水素(電子)をエネルギー源として活動した。
ソマチッドは不死であり、細菌やウィルスとは別の生命体である。
ソマチッドは環境の変化に応じて、種々の形態をとり、その環境が気にいらない場合、
 周囲の基質を利用して殻を形成するという避難行動をとる(休眠状態で数千万年以上は
 生きながらえる)
ソマチッドを活性化することは、宿主を健康にすることと一致し、人の免疫力の強弱と血漿中のソマチッドの増減は比例する。
人の白血球はソマチッドを抗原とはみなさない。
ソマチッドは尿から排出される。
ソマチッドはDNAの基質であるタンパク質を合成する。

 福村氏の研究で特に注目すべきは、古代のソマチッドの方が現代のソマチッドよりも生命力が強いという点だ。この発見は、2500万年前の化石から取り出したソマチッドと、現代の動植物から取り出したソマチッドを比較したことで確認された。現代のソマチッドが弱体化してしまっているのは、環境破壊、汚染と関係しているように思われるが、化石中に発見されたソマチッドや、原初の状態が保たれた自然環境に存在するソマチッドを体内に取り込むことで、ヒトの免疫力を高められる可能性があるのだ。

 このようにガストン・ネサン氏が先駆者となったソマチッド研究は、日本の研究者によって継承されており、2005年には「日本ソマチッド学会」も設立された。ソマチッドを研究することは、あらゆる生命の健康の鍵を見つけることであり、生命の神秘に迫るものである。
 日本が誇る「千島学説」の生みの親、千島喜久男博士によると、赤血球が変化して細胞を新生するという。また、減食や断食でガン細胞が赤血球に戻って治癒する例があるように、赤血球には細胞へ変化する方向性と、細胞から赤血球に戻る方向性の両方を備えている。では、赤血球が新生する細胞の種別に何が関わっているのか。不食の人の体内で、どのように体細胞やタンパク質が作られているのか。ひょっとすると、その答の鍵はソマチッドが握っているかもしれないのだ。

 ネサン氏の発見の中で、もう一つ興味深いことがあった。人が精神的に落ち込んだり、腹を立てたり、不満を持ったり、意識がネガティブになると、正常の3段階のサイクルが崩れて、バクテリアや細菌に似た形態のソマチッド・サイクルが現れる。それに対して、人が喜びや感謝といったポジティブな意識を持つと、ソマチッドが増え、そのサイクルも改善されるのだ。このことは、ある意味、我々は自らの意識で病気を作り上げてしまっていることを示唆している。「病は気から」という言葉は、科学的な真理だということだ。

 

食事の量を3割減らす

「まずは食事を3割減らすことから始めましょう」
 西式健康法を実践する渡辺医院(東京都中野区)院長・渡辺完爾医師は、こう提唱する。西式健康法とは、1927年に西勝造氏が創始した健康法で、生菜食、断食、運動、入浴などを中心とする。戦前から戦後にかけて広まり、今でもホリスティック医学などの分野で支持されている。森美智代氏の主治医であった甲田光雄医師も、西式の流れをくむ。
 渡部医師は言う。
「人間だけでなく、動物から細胞レベルの生物まで、エネルギー源を30%減らすと寿命が伸び、病気にかかりにくくなります。これは科学的に証明されていることです。臓器ができあがる頃は、肉体的に最も元気な時期でもあります。そのため、この食事量が自分にとってベストなのだと、体にインプットされてしまうのです。しかし、そこから先は肉体的に成長しないのだから、その分を差し引いて食べないと、栄養の取りすぎになります」

「そもそも動物は、空腹になると自分で食べ物を取って、それで命をつなぐものです。
 その時にいい仕事をしないと食いっぱぐれてしまう。だから、空腹の時にパフォーマンスが最高になるのが動物の基本仕様、人間も例外ではありません。食べない状態を維持している人たちは、その方が快適だからそうしているのでしょう。いつでもキレのあるパフォーマンスができるわけですから」

 さらに空腹が眠れる遺伝子をオンにする可能性もあると渡部医師は言う。
「我々の祖先は氷河期さえも乗り越えてきたのですから、食べ物が手に入らない時の対処法なども、ちゃんと遺伝子の中に組み込まれています。しかし、飽食を続けていれば、そういう遺伝子はお蔵入りしたままで使われません」

 今の人類の多くは、そういう遺伝子のデッドストック状態に陥っている。だとしたら、非常にもったいないことだと思うのは、私だけだろうか。

食べない・死なない・争わない

 食べない・死なない・争わない―これは、かつて法曹界に身を置き、現在は臨済宗の尼僧となった稲葉耶季(やすえ)氏の、著書のタイトルだ。稲葉氏は、実は秋山佳胤氏と縁が深い人だ。ある時、秋山氏が、司法実習生の一人に不食をカミングアウトすると、「秋山先生のように何も食べない人を知っています」という答が返ってきた。それが稲葉氏だった。稲葉氏は1日にリンゴ1個を食べるだけだという。私物も少なく食費もかからないので、給料がほとんど残る。その10分の9を、自費で建てたネパールの小学校の運営費に充てていたと、秋山氏は後に知った。
 不食の人から感じられる揺るぎなさ、穏やかさ、優しさ、クリアな印象―。不食の人々はなぜそのようにいられるのか。森美智代氏はこう言う。

「見える世界と見えない世界は渾然一体となっていますが、食べなくなると、空気、匂い、音など、目に見えないもの、形のないものを情報として受け取るようになります。
 すると、目に見えないものの影響が強くなってきて、霊的な感度が上がるのだと思います。チャネラーの人などは、唐突に断食を始めたくなって、しばらくしたら神様が降りてきたということがありますね。あれは、神様がその事に白羽の矢を立てて、自分の言葉を受け取ってもらうために体をクリアにしているのではないでしょうか」

 森氏自身は、オーラ視、自動書記、バイ・ロケーション(同時に複数カ所に存在すること)などができる。鍼灸師として患者の治療をする際には、ツボから出入りするエネルギーを見ていると、どのツボがエネルギーを欲しがっているかが分かるという。
 山田鷹夫氏も著書の中で、「相手に手を当てるだけで、なぜか患部が分かる」「これまでに考えたこともない独創的なアイデアが、どこからかやってくる」と書いている。
 心と体がプラーナで満たされ、食べなくても生きられる人々が、こうした能力を発揮する世界とは、どのようなものなのか。そして、不食は、一部の人々だけでなく、人類全体にとって可能な有り方なのだろうか。それが可能な道だとしても、人類は生活と一体化した、ものを食べる、味わうという営み。その文明の歴史と共に育まれ、培われてきた、豊かで奥深い食文化というものを捨てることができるだろうか。
 例えば、一杯のラーメン、炊き立てのご飯、香り高い味噌汁。こういった食事を美味しいとも、食べたいとも思わなくなるというのも、肉体を持って生きている以上、味気ない気がする。もっとも呼吸や太陽光によって、プラーナから食物に代わるエネルギーを得られるようになれば、それで十分に満たされて、食べ物のことなど忘れてしまうのかもしれないが―。

 現在、不食の人々が公の場に現れ、その秘密を伝えようとしているのは、もしかして「神様がお望みになった」からなのか。あるいは宇宙の流れが変化してきているからなのか。だとすれば、人類の一部は、次のステージへと歩みを進めようとしているのだ。陰が極まれば、陽が兆すという。飽食の時代を迎え、振り子が極限まで振れたところで、人類の潜在意識は本来の姿に戻ろうとしているのかもしれない。

 



  *写真/図版は『ムー』学研'16年6月号、『超不都合な科学的真実』/ケイ・ミズモリ 5次元文庫/徳間書店〜より転載


 

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