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Terroism in USA

アーニー+エイミー・ミンデル(プロセスワーカー)からの提言

危機解決のための3ページのレシピ


危機解決のための3ページのレシピ

エイミー+アーニー・ミンデル 2001年9月1日
(訳責:桑原香苗)

−そういうものとして使うには一般的過ぎるけれど、
願わくば考える刺激として十分に幅広くあらんことを−

I. 現在の状況からいかに始めるか
II. いかに権威に働きかけるか
III. より大きな到達目標
IV. テロリストの本質
V. 犠牲者の本質
VI. いかにすべてを一つにしていくか(How to bring it all together)

I. 現在の状況からいかに始めるか(悲嘆、怒り、復讐…)

a) 苦痛と傷とがあることを認め、また、深く悲しむこと、悲しみを
感じることには時間がかかることを覚えておこう。復讐という考えは、
苦痛を感じることへのエッジであるかも知れない。その時々の状況を
扱いつつも、覚えておくべきことは、すべての人々にとってのよい
生活を長期的展望で見ること、全体的な見方である。怒っている
人は誰でも、いずれ危険になる可能性があることを認めよう。ゆっ
くりおだやかに進んでいこう。注意すべき、また忘れてはならない
ことは、自分の外側にいる(正当な理由のない攻撃を行う)攻撃者
(aggressor)は常に、自分を鏡に映せばどのように見えるかという
イメージだということだ。現在の、あるいはあなたの人生のある
時点での。

b) 攻撃という状況は、あなたの全体的な自己、つまり周囲の
他者および宇宙の本質を見出すための最高の挑戦である。

c) もしできたら、自分の中に、もっとも洞察に満ちたリ?ダーであり
かつ武道家であるような人を見つけよう。持てる認識力(awareness)
のすべてを、ものごとを抑圧するのでなくそれに従うことに使い、自分
がテロリストの攻撃自体になることができるような人、ものごとをめぐる
すべての立場を自分のうちに、葛藤を起こすことなく感じ取れるような人を。

d) 内なる世界は同時に外なる世界でもあることを覚えておくために、
あなたが抑圧された時のこと、その結果として怒れるテロリストの役割を
取らざるを得なくなった時のことを思い出そう。また、あなたが同じ事を
他の人たちにした時のことも思い出そう。どのように彼らを抑圧し、また
言っていることを聞かなかったか、その結果として彼らがどのようにあな
たに怒ったかを。あなた自身が「テロリスト」になったり他の人がそうなる
ように仕向けたりした瞬間を思い出せるなら、あなたは次のステップに
進む準備ができている。そんな瞬間が思い出せない場合は、あなたが
行うことはすべて、しっかりと地に足をつけたものにならないし、あまり
うまく働かないだろう。

II.いかに「権威」に働きかけるか

覚えておいてほしいことは、ここまでのaからdの経験を意識的に行って
きただけで、もうあなたは権威を持った存在であるということだ。他の人
たちはみな、彼らが話しているのは彼ら自身(同様に他者でもある)の
ことだなどとは気づいていない。世間で権威を持った人たちはおそらく、
いかなる気づき(awareness)のトレーニングも受けたことがないかもしれ
ないのだ。心のこもったやり方で、彼らに伝えよう。私たちがやろうとして
いることは、簡潔かつ洞察に富み、素早くかつ持続可能なことではあるが、
一時的な感情よりも感覚的認識(sensing)を多く含むことになるだろう、と。
権威ある立場の人たちに対して用いるべき感情に基づいたスキルとは、
彼らのジレンマへの感謝の表明(appreciation)だ。彼らは公的生活で
板ばさみにあっている。復讐を求める人たちと愛に関心を持つ人たちの
両方を満足させなければならないのだ。

以下のことを、彼らがすでに計画していることへの付け加えとして
提案してみよう。彼らの方法に反対したり放棄させたりするものと
してではなく。覚えておいてほしい、世の主流派の考え方とは、
あなたがさしたる自覚(awareness)なしに何かに反応している時の
あなた自身の考え方なのだ。だから、あらゆることを共感(compassion)を
持って行おう。では、次のステップに進もう。

III. より大きな到達目標

心の奥深く、また夜の静けさの奥深くで、あなたは大きな堂々たる
さまざまなビジョンを持ち、人類および地球の未来を切望している。
それらの大きなビジョンを今、はっきり形にしてみよう。あなたが
行っているあらゆることにおいて、どのようにそれをモデルとして
形に表すことができるか考えてみよう。そのビジョンを使い、それを
形に表すところを想像しよう。モデルがなくては、ビジョンはうまく
働かないのだ。

もし必要なら、そのビジョンに以下のことを付け加えよう。自然が我々を
動かすのだ。私たちの仕事は、自然の動きを意識化し、役立てることだ。
夢や感情は起こるものだ。私たちの仕事は、夢や感情が私たち自身や
他のすべてのもの、あらゆる有情のもの(sentient being)の生命を豊かに
するのを助けることだ。これをあなたのビジョンに「付け加える」ことが意味
するのは、生きることそれ自体が聖なるできごとだ、ということだ。たとえ
最初は生きることが不可能に思える場合でも。生きることは、あなたの
最大限の能力と知恵が求められる「道場」でありアシュラムであり寺院
なのだ。究極の状況では、あなたの最上の部分以外は必要とされない。
それは機会なのだ。破滅であるだけではない。この見方を踏まえてこそ、
次のステップに進むことができる。

IV. テロリストの本質

私たちの多くにとって最大の問題は、テロリストのエネルギーと動機の
本質を理解することだろう。あなたや私や他の誰でもが傷つけることや
復讐を望み、傷つく人たちを思いやることのない怒れるテロリストになる
時は、我々人間の誰もがそれぞれに経験したことのある何かを明らかに
して見せているのだ。ポイントは、テロリストはあなたにとって未知のもの
ではない、ということだ。彼女または彼は、あなたが傷ついた意識状態に
いる時になるものなのだ。

テロリストのある一面は自由の闘士であり、より新しい、よりよい、その人に
とっての正義の世界を求めている。また別の一面は精神的求道者であり、
生命自体よりも偉大な目標、つまり自分の生命やそれを犠牲にすることを
取るに足らないものとする何ものかを見出した人だ。
もうひとつの側面は、恐怖させるもの(terror)それ自体である。ずっと抑圧
され続けて憤怒に変容してしまった恐れ(fear)だ。恐怖(terror)と怒りは
たいへんに近い。恐怖(terror)は全能の攻撃者(aggressor)に傷つけられる
恐れ(fear)によっており、怒りは、復讐の甘い感情と、犠牲者であり続ける
代わりに意図せずに攻撃者と化すことの陶酔とが、ない混ざったところに
由来している。

ある意味でテロリストは、その人がもっとも憎むものの鏡像と化しているのだ。
彼女または彼は絶望の産物であり、そのいくぶんかは、その人が何のために
戦っているのか他の誰もが誤解していることによって作り出されたものだ。
では次のステップへ行こう。

V. 「犠牲者」の本質

犠牲者(例えばアメリカ合衆国)は、テロリストの心の中では攻撃者(aggressor:
訳注:正当な理由なく攻撃を行った、という含みがある)である。「犠牲者」とは、
攻撃されたことがあって自分を犠牲者だと思っている(自己同一化している)人の
ことである。さて、これから私が言うことは、共感(compassion)を持って理解して
いただく必要がある。犠牲者とは、自分が犠牲者であること(victimhood)を、テロ
リズムを「作り出す」ことにおける自分の役割に気づかないでいる罪悪感を和ら
げるのに使い、そこから動かない人のことである。犠牲者は、ひとつの単純な
意味で、攻撃に関して有罪である。その人はずっと、テロリストと対面してその
不幸を聞くことを望まず、あるいはできずに来たのだ。まだ不満を示すシグナルが
穏やかで、少なくとも節度があって破壊的ではなかったころでさえ。ずっと無視し、
抑圧し、支配し、自分は他の人たちより優れていると感じつづけることは、もっと
たくさんの規則や法律や警察や軍隊、最終的には戦争を作り出す?これは、
いわゆる犠牲者に対する批判ではない。実際には、無意識を共感的に認め
理解することであり、目覚めを促し支えるちょっとした刺激がこれに続く。
何ごとも、青天の霹靂として起こったためしはない。雲は何日も、何ヶ月も、
何十年も、場合によっては何世紀もそこにあったのだが、晴れだというふりを
みんながしていたのだ。

犠牲者についてのこのような知恵はすべて、たいていは後の祭りとしてしか
起こらない。犠牲者を扱う上で私たちは、まず最初に、無実の傍観者だという
そのアイデンティティを受け入れねばならない。次に私たちは、テロリストに
復讐し破滅させようとする犠牲者の破壊的な意図を理解する用意がなくては
ならない。その一方的さ(one-sidedness)に対して共感を持てた後にしか、
次のステップには進めないのだ。あなたが「犠牲者」(あるいはテロリスト)の
狂ったような攻撃性に精神的な優越感を感じている限り、自分自身では何も
するべきではない。あなたはいまだに助けを必要としており、あなた自身が
戦争であってさらなる戦争を付け加えるだけであり、問題の助けにはなれない。
今、次のステップに進んでくれるあなたに感謝する。

VI. いかにすべてを一つにしていくか

もしあなた自身が軍隊に直接影響力を及ぼしたり、平和交渉のテーブルに
ついたり、知事や大統領になることができなくても、自分の仲間内や祈りの
場で、電子メールや地元新聞で声を上げることや、隣近所の人たちと話す
ことはできる。わかってほしいのは、戦争はいたるところにあり、特定の
戦場だけにあるのではないということだ。恐怖(terror)はあなたがそれを
考えるときはいつでもある。あなたが自分の内面で、また外面で行う
ワークは、あらゆる形態の「ワールドワーク」であり、全体的な場に触れる
ものである。全体的な場とは、2、3の、あるいは多くの個人に直接影響を
与えるのみならず、非局在性の量子波(quantum waves of non-locality)に
よってあらゆる人々に間接的に影響を与えるものである。

自分の内なる中心となるところを、動きの最中にある静けさの源として
見出してから、次のことを試してみてほしい。テロリストと犠牲者に
ついてのあなたの理解を使って、交互にそれぞれの立場になって
話し、感じ取り、表現してみてほしい。一人で行う場合は、これは
インナーワークである。他の人と行う場合は、グループワークになる。
TVでやれば、ワールドワークである。テロリストとして、あなたの
憎しみを、そこに至る経緯(history)を話してほしい。自分の個人的な
生命よりも大切な、そのために戦っていることについて話してほしい。
単に演じることはしないでほしい。これはロールプレイではない。
これは、あなたの体を動かす、深く透徹したダンスなのだ。シャーマンに
なり、この宇宙に働く諸力の本質になりきってみてほしい。テロリストの
体を、あたかも彼女/彼の口から出る言葉が骨の髄から湧いてくる
ものであるかのように感じてみてほしい。深みにおりて、あなたが
これまでにやって来たいかなることも越えたところまで行ってみよう。
あなたの認識力(awareness)を使い、あなたの感情を無限に広げて
みよう。それが自然に終息した感じがしたら、立場を変えよう。

苦しめられた「犠牲者」として話してみよう。報復について警告しよう。
あなたが個人的に、また社会的に持っている特権について、そして
平和で静かな暖かい人間関係を望むことについて、どんなものか
話してほしい。それから、深みに入っていこう。もしあなたが合衆国を
演じるなら、ニューヨークのエッセンスをつかんでみてほしい。エンパ
イヤ・ステート・ビルだけではなく、自由の女神と呼ばれる民主主義の
スピリットが誇らかに掲げる灯明のエッセンスを。忘れないでほしい。
あなた自身が憩いの家(home)であり、抑圧されてきた人々に
開かれた扉なのだ。自分が常にその夢を生きて来られたわけでは
ないのを認めた上で、思い出そう。あなたの一番大きなビジョンを。
民主主義を切に求める努力を。
あなたの心の根っこまでよく見て、2億5千万人のために話そう。
彼らを一つにまとめるかすかな希望、光のフィラメントについて。
それは彼らを、時には無意識の怪物にもするが、可能性としては、
自分を攻撃した人たちをも含めたあらゆることを受け入れる用意の
ある開かれた心にするものなのだ。もしあなたがこれを、あなた
自身に向かって、他の人たちに向かって、新聞やTVに向かって、
嘘偽りなく言うことができるなら、次へ進むべき時だ。

素晴らしい、予測できないようなことが起こるだろう。この会話を、
長くても2時間続けたら、あなたの内面および外面にいるすべての
スピリットにさよならを言って手放し、家に帰ってすべて終わったと
考えよう。でもやることはもっとあるのだ。ここにあるのは、自由と
生命について歌われるべき歌のひとつであり、この世界的ドラマの
エッセンスを繰り返し表現(recapitulate)したがっているダンスと
芝居のひとつであり、驚く私たちの目前で繰り広げられた夢の
ような多様な現実である。しかし夢見られるべき夢、ワークすべき
未来はたくさんあるのだ。挑戦してくれることに、感謝する。

ご参考までに訳注

著者
アーノルド・ミンデル博士:プロセスワーク(プロセス指向心理学)の創始者。
エイミー・ミンデル博士:A.ミンデル博士のパートナーおよび共同研究者。
 世界各地で夫妻共同のワークショップを行っている。日本でも2002年5月に
 ワークショップが予定されている。

・ワールドワーク:プロセスワークで行っている、世界に普遍的なテーマに
 取り組むグループワークの方法。この文中では、世界に対して働きかける
 ワークという意味が強い。

・非局在性の量子波:量子力学用語。量子の世界では、量子は一点のみに
 存在するとは言えず、ある広がりをもった場に存在する可能性または波の
 ようなものとして考えられる(うーん、違っていたらごめんなさい) 。そのような
 量子波の性質を通じて、私たち個人も場としての世界全体に関わり、影響を
 与えるとミンデルは考えている(アナロジーとしてだがちょっとだけ本気で)。

・インナーワーク:自分の内面に何があるかに気づき、深めていく方法。
 瞑想などを考えて頂けると近い(かも知れない)。

・2億五千万人:アメリカ合衆国の人口。

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