日記36

マウイ便り TWIN FALL(双子滝)

私の住んでいるところはツインファルという滝の真上で、昔は森が形成されていたのではないかと思う。マウイは現在アメリカ本土からの住宅ラッシュでこの数年で家賃が数倍に跳ね上がり、今まで何もない丘や山だったのにいたるところに家が建ち、はっきり行って良くこんなところが宅地として土地の許可が出たなとおもうような場所にも人が住み始めている。そして残念ながら今私が住んでいるコテージもそんな、場所のひとつ。山の森を半分ばっさりと切り開き広く整地された5エーカーぐらいのスペースに大家さん宅も含めて5世帯が住んでいる。敷地内の端っこは崖でその下に滝がある。その崖からは険しくて滝に降りてゆくことは出来ないが崖の上にいると、滝を訪れた観光客の歓声がひっきりなしに聞こえてくる。
私がそのツインファルを最初に訪れたのは1999年の冬、カレッジの友達が案内してくれたのが最初だ。そのときの神秘的で厳かな美しさは、開放的でトロピカルな海の世界とは打って変わって森の世界。南国のジャングルに隠された神聖な水の世界だった。そしてここ数年、その美しさが観光スポットとして何処のパンフレットにも“必見!!”という大目玉に祭り上げられて・・連日驚くくらいの観光客が押し寄せてくるような場所になってしまった。
初めて訪れた頃には誰もいないため見落としてしまうぐらいだったパーキングロットにはフルーツスタンドの出店が建ち、朝から夕方まで20台ほどの車がひっきりなしに並ぶようになってしまったのだ。

ちょっと前まで住んでいた、コテージ(リアルファンタジーのジャケットの家)から事情があってこちらに移ってきたのだが、昨年7年ぶりに、ツインファルに散歩に行ったときの私の驚きは言葉に出来ないくらい悲しいものだった。
7年前の繊細で美しい神秘性は失われて、ただの池のようになってしまった神聖な滝、豊かに清らかに流れていた水は少なく、滝までの道すがらところどころよどんで水溜りを作っていた。ただただ悲しくてその夜から眠る前にせめてツインファルの精霊たちを慰めたくて祈り始めた。こんなにマウイが愛しく思えたことは無かった。

そのマウイ滞在中、私は自分が今までマウイ島から頂くことばかりで差し上げることを何もしていない事に気が付いた。八丈島からマウイに来るとき、私は八丈島から頂いた愛をこのマウイ島に届けようと、そう誓ってこのマウイの土地に降り立ったはずだった。そしてNENEという同じ名前を持つ鳥にも出会って、迷っていた自分の進む道も教えられて、日本にいても、ここに戻ってくることでエネルギーを充電させて、日本に帰るときは又新たな希望とワクワク気分で成田空港に降り立つことが出来た。いままで沢山の恩恵を頂いてきた私だった。それなのにマウイ島が病んでいることに、いずこも同じ地球の痛みがマウイ島にも及んでいることを知らなかったわけではないのに、自分のことにかまけて目をそむけていたのだ。ごめんなさいマウイ島、ごめんなさい地球様。
自分が今までマウイ島から頂いてきた恩恵。それに報いて返していく時が来たのを感じた。
まずは私自身がハワイアンチャントを学んで、日本の言霊だけではない、ここの言葉で滝を讃える歌を歌おうと思う。いつもハレアカラに登ると歌をささげる場所があるのだがいつかハワイの言霊でもささげたい、そして・・日本でフラを奉納してくれる人々を募って優しい女性たちと一緒にカヒコフラを学び、ツインファルや聖地で奉納をしよう。
マウイの精霊たちが慰められて、喜んでいただけるように。
訪れた者を大きな愛で受け止めて分かち合ってくれるALOHAスピリットを教えてくれたハワイの神々にこれからは感謝と愛をささげて行きたいと思う。


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