91.  詩「イタチ」について若干の解説
 イタチ、即ち「大麻取締法は最後っ屁を最後に 引退した」というのは、あくまでも私的な状況判断であり、詩的イマジネーションであって、何の証拠もない。
 昨夏、信州で雌花が咲く頃、大麻栽培で逮捕された被告は、初犯ながら草丈3メートルものシンセミアが70本以上とあって、実刑は免れないものと思われた。案の定、検察の求刑は5年だった。
 ちなみに最近チェコでは、個人の大麻栽培を5本まで認可した。5本あれば年間1キロを消費するヘビースモーカーでも十分に採集可能なのだ。その10数倍もの栽培ともなれば、営利が疑われても当然である。ところが長野地裁は「懲役3年に、5年の執行猶予」をつけて結審し、関係者たちを唖然とさせた。おまけに逮捕時には実名報道した地元メディアが、裁判の結果は一切報道しなかった。
 ところがこの異常事態は長野の一件だけではなかった。聞くところによれば、最近は大麻でパクられたのに起訴猶予になった人たちが結構いるらしい。
 イタチが引退しても、大麻取締法の看板がある以上、密告などがあれば違反者は逮捕されるのは当然だが、条件によっては起訴猶予となり、例え起訴されても裁判では罪に問わない「非犯罪化」という方法が、オランダなど先進国で採用されてきた。 
 これは1961年にWHO(世界保健機構)が大麻を阿片やヘロインと同等に扱う「麻薬に関する単一条約」という非科学的で理不尽な国際条約を定めたため、これに批准した国は(中国や北朝鮮は批准していない)合法化が不可能なためである。従って「非合法ながら非犯罪化」という先進国並みのプロセスが日本でも始まったのだろう。この調子だと あと2,3年もすれば日本の刑務所には、大麻取締法違反で服役する囚人はいなくなるはずだ。
 大麻に麻薬のレッテルを貼ることで、デュポンなど石油ケミカル資本が大儲けしてきたアメリカだが、このたびの経済恐慌では大麻に助けを求めるありさま。
 昨年7月、カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事は、税収不足による深刻な財政難対策として、州法で合法化している医療用大麻に税金を課すことに提案した。すると同州オークランド市は一足先に医療用大麻に課税することを決定し、本年1月1日から実施した。カリフォルニア州も新年度から実施するだろう。やがて課税対象は産業用大麻や嗜好用大麻にも及び、それはいずこも同じ財政難のアメリカ全州に及ぶだろう。
 この雪崩現象は連邦法の大麻禁止令(1937年制定)を粉砕し、WHOの「麻薬に関する単一条約」から大麻を排除するだろう。かくて全世界の大麻は全面解禁、完全な自由化が成就するのである。
 その日がそんなに遠くないことに、わが国の「麻取り」も気づいたようだ。そこで「非合法・非犯罪化」の異常事態がしばらく続いた後、一気に「コンビに大麻」の時代が来るかも。
 大丈夫かな?
                                            (10.2.12)

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