9. 核傘上下の平和利用

  核傘上のアメリカは石油中毒から脱するために、木屑などの廃棄物から植物性エタノール燃料「木質バイオマス」を開発すると、ブッシュ大統領は年頭教書を演説した。
 石油に代替する新しいエネルギーとして最も重要視される各種バイオマスの中から、なぜ「木質」を選んだのか。というのも、脱原発をめざすヨーロッパでは、温暖化の原因であるCO2の排出量ゼロという「ヘンプバイオマス」を開発し、すでに実用段階にあることくらいホワイトハウスにも伝わっているはずだから。
 もとより石油コングロマリットのボスであるブッシュが宿敵「大麻」を解放し、ヘンプバイオマス時代の国際協調路線を採ることなど間違ってもありえないが、あえて「木質」を指名したのは、ヘンプ派への牽制なのか。最近はコロラド州デンバー市のように、市条例で大麻合法化を定めたところもある。
 教書演説から3週間後、ブッシュはもう1つのエネルギー政策を宣言した。それは79年のスリーマイル島原発事故以来、モラトリアムにしてきた「核燃料サイクル計画」を再開し、原子力推進に本腰を入れるというもの。
 何のことはない。あまりに危険なために30年近くも開発を中断し、ソーラーや風車など安全なエネルギーを模索してみたが、廃物利用のバイオマスしか無く、錆ついた再処理工場や高速増殖炉を修復することにしたというわけだ。もっとも実用化までに数10年を要するというから、これは単なる外交ガードかもしれない。例えば……
 核傘下の日本では、チェルノブイリ原発事故20周年の今春、六ヶ所村の再処理工場に核燃料が入り、試運転を開始する。核燃料サイクルの要として、日本が独自に開発してきた原発百個分の危険物だ。そこで放射能に強いゴキブリ大王ブッシュの原始ラッパが高鳴れば、原子ゴキブリたちは小躍りして、核開発の地雷原へ、凄い! 日本はアメリカの先を行くのだ。(06.3.21)


 チェルノブイリ事故20年目の傘


核傘下の属国では 史上最低のキツネ首相が
核燃料サイクルの要 再処理工場に
核燃料を入れて 試運転をスタートさせた
世界中から核兵器への転用を疑われながら
アテにならないプルサーマル計画をアテにして
「危険は原発の百倍」という恐怖が蓄積されてゆく

核傘上の帝国では 史上最低のスカンク大統領が
スリーマイル島事故以来モラトリアムにしてきた
核燃料サイクル開発を再開し
原子力推進に本腰を入れると宣言した
ついでにテロリストからプルトニウムを守るため
超危険な細工をする必要があると言った

核傘上の帝国には 軍事用の核施設はあるが
商業用の核施設は ポンコツ化してしまった
最も危険な核再処理工場と 高速増殖炉は
計画通り 核傘下の属国に任せること
なにしろ「核の平和利用」と呼んでいるのだから
文句ある奴は「プルトニウム警察国家」だ

そこで思い出すのは かつて反原発ブームの頃
デモを見物する民衆の中から発せられた
マインドコントロールの名セリフ
 ヒッピーなんかと一緒にデモをやって
 大麻汚染されるくらいなら
 放射能汚染の方がまだましだ


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