73.  桂川直文氏が満期出所

 5月12日朝、京都山科刑務所から、桂川直文君が懲役5年の刑期を満了して出所した。
 信州安曇野から出迎えに行った勝手連の仲間たちと、京都の仲間の家に立寄り、8時半ころ、そこから私に電話してきた。
 「いま一服やったところだよ」
 「久しぶりの一服は効くだろう?」
 「それが昨夜は一睡もできなくて……」
 無理もない。私だって夜半過ぎから眠れなかったのだ。
 03年7月14日、近畿厚生局麻薬取締部による家宅捜査の結果、大麻取締法違反にて逮捕され、04年2月大阪地裁にて「懲役5年、罰金150万円」の実刑判決を受けた。
 控訴審は04年4月から大阪高裁で始まり、桂川君は大麻の無害性と有益性を主張して一歩も譲らず、支援運動は盛り上がったが、05年3月控訴棄却、最高裁への上訴も却下。
 下獄後も桂川君は一切反省の色を見せず、そのため仮釈放は一日も許されず、刑期満了まで服役させられた。
 大麻事犯で反省する者などいないと言われているが、法廷では「2度と吸いません」と反省の色を示し、執行猶予や刑罰の軽減を計るのは常識とされてきた。かく言う私自身も然りだが、大麻取締法という理不尽な悪法には「スイマセン」のひとことしか身を守る方法がないのだ。
 しかし桂川君はこの常識を断固拒否し、自らの信念と誇りを貫く確信犯として、悪法をまともに受けて、一種の「自爆テロ」を試みたのだ。従って5年の刑を務めたからといって、権力がこの大麻の権化≠フような男を許したわけではないのだ。
 麻取りにせよ、デカにせよ官憲のパラノイア(偏執狂)共は隙さえあれば「大麻権現」をひっ捕えて、「スイマセン」と言わせたいだろう。だから今後とも油断はできない。この状況の中で、いかにして大麻解放運動を持続、発展させてゆくか。近日中に来訪するとのこと。6年ぶりの再会に胸がおどる。
                                  (5.12)


〈追記〉
 「久しぶりの一服」は大麻ではなく、タバコだったとのこと。睡眠不足でタバコを吸ったため、気分が悪くなり、帰宅後も調子が崩れ、その夜も眠れなかったとか。
 6年ぶりにシャバの感覚を回復さすのは大変なようだ。人によっては1年くらい必要だという。
                                  (5.15)

 


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