69.  自己規制と確信犯

 桜のシーズンは友人たちに誘われて、埼玉県下のイベントとパーティに参加した。
 咲き初めの3月28日は、小川町の重要文化財旧吉田家を会場に、自然との共生を謳った「あさのひかり」というヘンプ・イベント。朝9時から夕方4時半まで、庭での昼食付き。バザールはふんどしなどのヘンプ製品。講演は丸井英弘弁護士、縄文エネルギー研究所の中山康直所長、岐阜県産業用麻商会の田口龍治会長。音楽は「たけし・こうじ」「さんさん」「sawa 」など。
 中山君に紹介されたので、私は詩「スイマセン」を朗読し、シヴァ マントラを唱った。他に安曇天幕社のキヨシ、ユーラシア放浪人サワ、そして只今1年2ヵ月の実刑を食らって控訴中のラスター森たけちゃんが紹介された。参加者は百人以上、麻一族の身内ムードもあって、初対面の若者たちとも個別に話し合えて良かった。
 咲き納めの4月12日は午後から、東松山市の高速道路直下の河原でのレイヴ・パーティ。というより参加数10人のピクニック気分。久しぶりのテクノ・サウンドに座った足が踊っていた。
 春爛漫の若者たちの集まりだから、本来ならガンジャの香りが漂うはずなのに、双方の会場にその気配は一切なし。以前のように「スキあらば一服」などという不審者は見かけなかった。これも昨夏以来の異常な大麻弾圧の影響なのだろう。特に首都圏では、いつ何処で身体検査をされるかも知れないとあって、外出時にはブツを持ち歩かないという自己規制が徹底したようだ。
 そんなわけでヘンプ・イベントやレイヴ・パーティでも、ガンジャを我慢してビールを飲むという「禁欲的風景」が現象するのだ。
 しかしこの自己規制は、あくまでも敵を欺くための手段であって、安全地帯では大いに自己を解放し、シッディ(念力、大麻)を充電せねばならない。もし弾圧を恐れて、好きな大麻を止め、アルコールに転向するならば、それは大麻取締法という悪法に屈服したことになるだろう。権力の思う壷である。かつて多くのヒッピーが、そのようにして大麻を「卒業」していった。
 もし大麻が好きならば、厳しく自己を規制し、油断してはならないが、同時に吸うだけでなく勉強し、大麻に関する認識と理解を深めねばならない。それは大麻が地球エコロジーと精神世界を復活さすための聖なる力であるという思想と信仰を確固たるものにするだろう。それだけが弾圧に挫けない確信犯として、大麻から愛される唯一の道なのだ。
 限りなく大麻から愛された確信犯が、5年満期の懲役刑を務め終えて、あと1ヶ月でシャバに帰ってくる。敬意と祝福をこめて、桂川直文氏の出所を迎えよう!
                                  (4.14)


| HP表紙 | 麻声民語目次 |