21. ヒッピー40周年は「9aid(9条守れ!)」

  「おさきまっくろ」というタイトルのミニコミ誌が届いた。まさに刻々と暗黒時代が迫っているという感じだ。敗戦後62年、平和憲法のもとに、自由、平等、人権、福祉など一定程度の漸進をみたわが国の民主主義は、いまその成果の全てをドブに捨てて、戦前の暗黒時代へ逆行しようとしているのだ。
 今年になって安倍内閣は愛国心を謳って教育基本法を改悪し、現在国会では改憲のための国民投票法案が通過しようとしており、早ければ今秋中にも憲法9条が国民投票にかけられ、改悪されようとしている。これが民主主義の最後の砦であり、この砦が落ちたら市民運動に明日はないだろう。
 外国と戦争のできる国になるということは、国民に対しても戦争のできる国、即ちファシズム警察国家になることだ。憲法9条の改悪は同時に19条(思想・良心の自由)21条(表現の自由)などの改悪となるだろう。戦前の治安維持法のように、国家権力にとって都合の悪い思想、言論は刑事犯罪として弾圧されるのだ 。従って「ラヴ&ピース」の強壮剤である大麻に関しては、ブツを所持しなくても、論じるだけでパクられるかも知れない。ちなみに大麻取締法4条4項によれば、「医薬関係者等を対象として行う場合のほか大麻に関する広告を行うこと」を違法と定めているのだ。
 私たちがミニコミやインターネットで大麻について論じることも「広告」と見なされ、刑事罰の対象とされるのだ。この4条4項がまだ行使されたことがないのは、憲法に思想、言論の自由が保障されているからであって、この支えが無くなれば弾圧は際限ないだろう。まして「共謀罪」が成立していれば、例えば『アナナ イ通信』の執筆者や編集者はもとより、このミニコミ誌をカンパで支えている読者にまで累が及びかねない。事実上の運動つぶしである。
 もちろん私は現憲法に満足しているわけではない。改正したいところはある。特に1条から8条まで、天皇と天皇制についての条項は廃棄し、9条を1条にすべきだと思う。しかし今は9条死守が先決であって、天皇制について論じ合う余裕はない。
 そこで問題は国民投票だが、これに関しては「おさきまっくろ」ではなく「おさきまっしろ」という感じだ。護憲派と改憲派の潜在勢力は50:50、半々だ。決戦の時は早ければ今秋と言われたが、このところ安倍政権は失速を始め、支持率は著しく低下、7月の参議選で自民党が更に弱体化すれば、改憲は先へ延ばされ るだろう。しかし米帝から要請されている以上、属国の憲法は「改正」の運命にある。だから改憲のための国民投票の時は必ず来るだろう。
 果たして日本が9条の理想を守り通すか、それとも米帝の属国として戦争のできる国になるかを、全世界、特に中国、韓国、朝鮮、東南アジアなど、第二次大戦で日本軍に侵略され、破壊され、虐殺、強姦された国々は注目しているに違いない。国民投票でもし改憲派が勝てば、アジアの銃口は全てがいっせいに日本に向け られるだろう。だが、護憲派が勝てば「ラヴ&ピース」の波動が、日本からアジアを通して全世界に拡がり、地球は喜びの中で「ひとつ」になるだろう。
 「ラヴ&ピース」の波動で世界中のヒッピーがひとつになった「サマー・オブ・ラヴ」の1967年夏から、今夏は40周年である。あの時、全世界を呑みこんだ「ラヴ&ピース」の大波が、40年の周期を経て、いま私たちの周辺を呑みこみつつあるのだ。
 阿蘇のオールド・ヒッピー正木高志は言う。「歴史には誰にも予測できないようなことが起きる! では『ひとつの地球』は、いつ、どんなふうにして、実現するのだろうか? ぼくは、それがまさにいま、九条問題をきっかけに、この日本から生まれようとしている、と思うのだ」
 正木情報によれば「9aid(ナインエイド)ムーヴメント」という新造語があるらしい。憲法9条をaid(応接、支持)しようという自然発生的な社会現象で、カリスマとかリーダーが主導、煽動する運動ではない。「9エイドはこれから国民投票へ向けて、ますます元気に増殖してゆくことになるだろう。無数のアクションが9エイドの波に乗って、平和憲法を運ぶ原動力になるだろう。その日、日本人は地球 人に生まれ変わる。その衝撃は60年代につづく「ワン・アース・ムーヴメント」の「ビッグ・ウェーブ」となって世界中に広がってゆく。」正木高志

 かくて、あなたは知った。あなたとあなたの愛する者たちの生命と運命が、「9エイド」に勝利するためのあなたのカルマ(働き)に賭けられていることを。あなたの家族や友人そして仲間たちに、ケータイで、インターネットで、手紙でメールしてほしい。ビラやステッカーやミニコミを作り、音楽やイラストや映像など で訴える手もある。集会やデモに参加したり、祭りやパーティを催したりして、運動そのものがラヴ&ピースの実践でもある「9エイド」運動を盛り上げてゆこう。

 なお正木高志は春分に出雲を出発し、木を植えながら本州西海岸の原発を巡り、共感者と自主的に合流しながら、夏至には核再処理工場の本格稼動が近づく六ヶ所村まで歩く「ウォーク9」を提案。参加希望者は下記へ。
 http://amanakuni.net/walk9/
 http://takashimasaki.blog79.fc2.com/
                        (07.3.13)


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