18. ガサに備えて

  数日前、散歩から帰って家の前まで来た時、白いワゴン車とすれ違った。携帯を片手に運転していた一見ヤクザ風の男は、私と顔を合わせたとたんにギョッとして、助手席の男に合図したが、助手とは顔を合わせる前に通りすぎてしまった。
 私には憶えのない顔なので、はて何者かと車の行方を見ていたところ、30メートルくらい先でT字路を右折し、車はいったん視界から消えたが、すぐにバックしかけた。どうやらUターンする気らしかった。車が引き返して来るまで待とうかと思ったが、なにしろわが家の玄関口まで10数メートルという至近距離だったので、「用があるなら訪ねて来るだろう」と思って家へ入ってしまった。(だからUターンしたのかどうかを確かめていない)
 しかし考えてみれば、しばらく待って顔を合わせ、相手が何者かを確かめておくべきだった。その時は軽く考えていたが、麻取りかデカということもありうる。いや、あの面相はデカに違いないという疑惑が日一日と深まる。さてはガサ入れの下見ではないのか? 埼玉県警がインターネットで「麻声民語」を見ている可能性は十分あるだろう。(それは前回のHPに「ヴェポライザー」を発表する直前のことだった)
 私は大麻取締法で2度パクられており、2度とも執行猶予がついたが、3度目はそうはいかないだろう。99年に高山でパクられた時は、既に酸素吸入器付きの身だったので、留置所に入れるためには主治医の診断書が必要であり、吸入器の設置を含めて実に18万円もの費用を警察は使っているのだ。これで取調べ中に病状が悪化すれば入院費は全て警察持ちである。結局留置所は1泊で釈放され、取調べは通いとなった。だからめったなことではパクられないと思い、現に桂川事件では最も近い関係にあったにも関わらず、近畿麻取りはガサ入れにも来なかったのだ。そんなわけで楽観していたのだが、埼玉県警にはそれなりのノルマがあるだろう。
 99年当時と比べると、現在の私は夜間を含め1日10時間は「人工呼吸器」を使用しており、監獄暮らしは死出の旅路ともなりかねない。殺されないためには、当分は大麻を休むしかない。幸か不幸か、右や左の旦那様からのバクシーシーも底をつき、また誰かに無心しなければと思っていた矢先なので、残り少ない大麻を燃えるゴミとして処分した。ヴェポライザーとの出会いによって、これで肺に優しい吸引が出来ると喜んだのも束の間、無期限休止とは残念至極。
 しかし大麻には依存性はなく、長年の訓練によってガンジャ無しでも深呼吸だけで吸った気分になれるのだ。もちろん「麻声民語」は大麻無しでも語れるので今後ともよろしく。ただし間違っても当分は大麻のバクシーシーなど送らないで下さい。
 以上が家の前で悪相の男にすれ違ったことによる直観から私の採ったガサ対策である。これが私の被害妄想で、あの男たちはただのヤクザ者で、私を人違いしてビックリしただけなのかも知れない。できればそう願いたい。(07.1.17)

  治安維持法の予感
              
散歩から帰って 家の前まで来た時
白いワゴン車と すれ違った
携帯片手に運転していた ヤクザ風の男は
私と顔を合わすと ギョッとして
助手席の男に合図したが 走り去った

車は30メートル程先の路地を右折し
いったん視界から消えたが すぐバックしかけた
私はUターンしてくる車を 待とうかと思ったが
ヤクザ者とのトラブルを避けて
そのまま家に入って 玄関を閉めた
 
しかしあれはヤクザではなく デカかも知れない
さてはガサ入れの下見ではないのか?
私はインターネットのHPで大麻解放を訴え
大麻の詩とエッセイを載せている
思想弾圧のための物的証拠捜しとか
 
明朝にでも ガサが来るかもしれない
私は残り少ない貴重な大麻を
ビニール袋に入れ 燃えるゴミとして処分した
これが被害妄想なら 幸いである
だが憲法改悪は 治安維持法の復活だ
       07.1.18



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