天然酵母のパン屋さんというと、最近では地方の街にもあるくらい当たり前の存在になってきたがその草分け的存在の東京・代々木八幡のルヴァンを訪ねた。
小田急線の代々木八幡駅から歩いて10分ほど、井の頭通り沿いにあるルヴァンは、道路に面して広く窓ガラスがあり、そこから店内やパンがよく見える。中には「いつもありがとう」という文字が焼かれたパンが飾ってあって目を引く。
夕方暗くなったころにお店に着いてみると、パンはもうほとんど売り切れており、棚はガラガラとなっていた。お天気が悪いと売れ残ることもあるそうだが、ルヴァンにパンを買いに行く人は早めに行った方がよさそうだ。
もともとルヴァンは調布で自然食屋さんへのパンの卸しの仕事から始まり、その後、平成元年から代々木八幡のお店がはじまった。ここで焼いたパンを売り、また隣には「ル・シアレ」というカフェがあって、パンを買いに来た人が休んでお茶を飲んだりいろいろ集まってくる情報を仕入れることもできる。また壁を利用しての個展も開かれたりしている。
富ヶ谷店では8人〜10人、調布の方では8人が働いているというルヴァン代表の甲田幹夫さんにお話を聞かせてもらった。
ーーー 元々はどうしてこの仕事を選んだんですか?
甲田● 出会いなんです。このパンを産んだのはノヴァというパン屋さんで、それをやっていたフランス人の方との出会いで手伝うようになってからですね。
ーーー 天然酵母パンといってもいろんなものがあるんですか?
甲田● 今は天然酵母といっても酵母を売ってるところもありますからね。うちでは自分のところで、麦を発酵させたものを使っています。
ーーー ルヴァンのパンの特徴は?
甲田● 国産の麦で石臼びきの粉を使う、自家製の天然酵母、あとは大島の塩とか自然の素材を使っていって、手作業でつくるということですね。
もう一つのルヴァンという存在の特徴として、ここが天然酵母のパン屋さんをめざす人たちの修行の場となっていることがあげられる。これまで10人ほどの人が独立してお店を構えている。
また原材料の生産者を時々訪ねたり、流通・小売り・消費者が集まるようなお祭りにはなるべく顔を出すようにして、違う分野の人と知り合ったり昔なじみと交流するなど、つながりを大事にしているようだ。
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