おじじ(徳村彰さん)と曼荼羅のモリへ・・・

おじじとは3年前の秋、丹波の『モリを語る集い』で初めて出会いました。
おじじの話を聞いて、おじじと話をして、
いつか私もおじじのようにモリとひとつになる感覚を味わってみたいと思うようなりました。
そして、今回はじめておじじが『曼荼羅のモリ』と名づけたモリに同行することができました。

おじじはいつも
モリに入るとき祈りの木の前で
「モリの小さな小さな小さな命の一つである私に 大きな大きな幸をください」と祈ります。

モリに入って
惚れて惚れて惚れて惚れて 
ひとつになっていくと
溶けて境目がなくなっていく・・・
そうすると
ものすごい幸せなの

とおじじは本当に幸せそうに話してくれました。

おじじは、ゆっくり ゆっくり モリを歩きます。
後から来られた登山者の方は、どんどん私たちを追い抜いていきます。
おじじは登山や目的地に着くことよりも、モリの木々たちや
そこに生きる小さな生命たちとの会話や触れ合いをなにより大切にしていました。

おじじと同じ早さで 歩き じっくりとモリを感じることで
私は 普段いろんなことを味わえてない自分 に気付きました。

そして、
木さんや草さんや虫さんたち たくさんの生命さんに耳を傾けることで
いろんなメッセージを伝えてくれていることに気付きました。

今回、雪虫(ゆきむし)という虫さんに出会いました。
通常は秋に飛ぶ虫さんで 6月に出会うってことは きっと何かが変なのです。

更におじじは、去年にもまして木さんも草さんも多くの葉をつけている。
というのです。

それってつまりどういうことなのかな・・・
私にはわかりませんが
じっくりと
木さんや草さんや虫さんや風さんたちの声に
耳を傾けることで 感じてみたい そう思いました。


●文・写真:うえきひとみ 撮影:2009年6月5日-6日 

*おじじ=徳村彰(とくむらあきら)さん。
1983年から北海道滝上町でモリの子どもの村を開く。
ブナのモリを愛し旅を続けている。
おじじは、モリという漢字を『木と水と土』を組み合わせて『モリ』と表現しました。
モリは木と水と土の間であらゆる生命が輝き育まれるところ
という意味が込められているそうです。著書:モリに生きる・モリに学ぶ。

*名前のない新聞の裏表紙に連載中のマンガ「しま森へ行く」(作:うえきひとみ)をご覧ください。