amanakuni Home Page | なまえのない新聞ハーブ&アロマテラピー | 八丈島の部屋

なまえのない新聞92より

ほかほかソフト〈BOOKS〉


足に土・原人アキラ

〜須貝アキラ追悼集〜

【スタジオリーフ 0558-62-4533、FAX.4534/A5・288p ¥2200】

昨年9月に50歳で世を去った一人の〈百姓〉を偲び、縁のあった全国各地の人々が思いを寄せて綴った大追悼集。巻末の「名前のない新聞にみるアキラとコミューン」と題した資料には、'70年代前半の若者文化(カウンターカルチャー)を代表するミニコミだった第1期・名前のない新聞(現在のは第2期)からの抜粋や写真が、当時の熱い息吹を伝えてくる。「〜いま改めてあの時代を振り返ってみると、みんな時間はあったが貧乏だったし、情報も知識も乏しかった。でも、わけもわからず何も持たない分、思い切った生き方を選べたのかもしれない。みんな熱い思いに突き動かされ、ひたむきに濃密な時間を生きた時代だった。(中略)〜そうしてアキラは、コミューン生活を通じて人と土に深く親しむ生き方を全うし、僕は都会を離れて島に移り住んでも今だにミニコミを出し続けている。アキラがクワを手に死ぬまで土を耕し続けたように、僕はこれからもミニコミを手に、時代の空気を敏感に感じ取って動いている人達と出会い続けたいと思う。浜田光(アパッチ)」。

 “ヤポネシア”開拓先陣の一人であったアキラが生きた時代背景から、共同体、対抗文化、オルタナティブ、有機農業などを改めて考察し、今を問い直す、後の世代の人にこそ読んでほしい『人間家族』特別号。

脱クルマ入門

〜未来へのライセンス

【上岡直見著/北斗出版/¥2200】

クルマの楽しさを伝える情報の多さに対して、その負の側面に関する情報は意外と不足している。著者はこれまでも『交通のエコロジー』『乗客の書いた交通論』『クルマの不経済学』などの著書を通して、近未来への必然であるモータリゼーション依存からの脱却の道を多角的に提案してきた。綿密なデータを用いながらの独自の語り口は、単なる観念的なクルマ嫌悪や企業悪者論に陥ることなく、私たちにとって「批判を突きつけられて強要される脱クルマ」ではなく、「正しく情報を知ることによって選ぶ脱クルマ」社会へのイメージをより身近なものにしてくれる。

ダライラマ・生き方の探究

【ソナム・ギャルツェン&藤田省吾共訳/春秋社/¥2500】

これほど人間的魅力にあふれ、確かな存在感のある宗教者を私は他に知らない。チベット民族の心の支えとなる長であると同時に最先端の哲学者、と同時に謙虚に修行を続け、かつユーモア溢れる一人の人間。本書はノーベル平和賞受賞者ダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォの若き日の講義録。「三十七の菩薩の実践」をもとにした法話の、地に足のついた深い洞察は、ニューエイジのポジティブな語り口より少なくとも私にとっては説得力と具体性をもって受けとめられた。現代の日常生活に生かすべく何度も読みたい、チベット仏教を知るのに最適な一冊。ついでだが、最近角川書店から出た『ダライ・ラマ、イエスを語る』もすごく面白かった。

知恵の三つ編み

【ポーラ・アンダーウッド著・星川淳訳/徳間書店/¥1700】

アメリカ先住民に一万年以上にわたって語り継がれてきた膨大な口承史を受け継ぎ、『一万年の旅路』という大作にまとめた著者は、現在それをもとにした「学び」のためのワークショップを教育者を対象に行なっている。その教材である本書におさめられた3つの短い物語から、西でも東でもない先住民文化の途方もない深みが垣間見える。私たちにとって「それが懐かしいのは、人類史上の圧倒的大部分を私たちがこのようにしてすごしてきたからに違いない。ときに涙するほど真剣な暮しがないところには、本物の学びも喜びもないだろう(星川氏)」。

アマゾンの呪術師(シャーマン)

【パブロ・アマリンゴ語り/永武ひかる構成・訳/地湧社/¥1700】

人間と植物が織りなす不思議な世界にひかれ、何度もペルーのアマゾンを訪ねるようになった写真家の永武さんは、かつて伝説的シャーマンだったパブロに出会い、様々な話をきいた。どのようにしてシャーマンになったか、精霊との語らい、植物の神秘、自然の恵みを生かして人々を癒す力、呪術‥。現在は画家のかたわら、私設の絵画学校「ウスコアヤール」を開いて若い才能を育てている彼は、自然と人間の神秘世界を伝える語り部として、二度とシャーマンには戻るつもりはないという。波乱万丈の人生を通して、聖と俗を知りぬいたその語りには、本質をついたメッセージがちりばめられている。

農薬と環境ホルモン

 〜化学物質が生命系を脅かす

【反農薬東京グループ 0424-63-3027/A5・152p/¥1100】

「大切なのは、科学物質の危険性を知った上、それがどのようなところで使われているかを知ることです。そして、その製品を着実に生活の場から取り除いていくことが必要です」。ここでは、農薬とプラスチックに焦点を当て、内分泌撹乱物質を検証している。

マリファナ・ブック

〜環境・経済・医薬まで、地球で最もすばらしい植物=大麻の完全ガイド

【ローワン・ロビンソン著/オリタード・ディメンション研究会編/オークラ出版/¥2200】

大麻の繊維からは絹のような繊細な繊維や質の落ちない上等な紙が出来る。無限に栽培できる大麻は、環境汚染の一因として問題になっている綿に用いる膨大な農薬の使用や、森林伐採やパルプ公害の心配がない。その種に含まれる良質なタンパク質は食材として、茎に含まれる多量のセルロースからとれるエタノールはエネルギー資源として、最低レベルの自給率で他国への依存と破壊を続ける日本が本気でとりくまなければならない課題に具体的な可能性を示してくれる。他の向精神性薬物と十把一からげに「麻薬」とされ、栽培や所持、使用が厳しく規制されているため、危険で有害と思い込まされ、単なる天然の植物であることすら知らない人が多いが、偏見を持ち続けるにはあまりに勿体ない魅力と可能性を秘めたスーパー植物、それがマリファナ=大麻だ。巻末には一万年も前から祭祀や衣服などの生活に大麻を用いてきた「世界で最も古くから大麻を使ってきた国」としての日本の歴史や、20世紀になって大麻が禁じられるようになった背景が述べられている。

宇宙の暦は13ヵ月

〜自然のリズムが心と体を変える

【小原大典著/KKロングセラーズ/\905】

現在のグレゴリオ暦の時間の区切り方は誰がいつ、何を根拠に決めたのか? マヤ暦をベースにした自然のリズムを刻むカレンダーを実際に使い続けてみることで、現在世界で起こっている諸問題とこれまでの暦との密接な関係を、著者は感じるようになったという。「時間と心は密接に関係し、心は現実をつくり出します。新しい時間(暦)を通じて心(意識)は変わり、その心が現実を変えます」。共時性など、集合的無意識のレベルで作用する現実に働きかける可能性を秘めた「13の月の暦」になじむための初歩的な入門書。

なまえのない新聞のHome Page