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アマゾンから日本へ
ー私たちの暮らしとアマゾンの深いつながりー


 ここ最近、突然雨が降ったり、暑かったり、寒かったり、変な天気に対して「おかしいな」という声が多く、アル・ゴアさんの映画の影響もあって「地球温暖化」という言葉が世間でも騒がれている。しかし、この“おかしな天気”と自分の暮らしが密接に関連し、この地球温暖化を引き起こしていることに注目している人は少なく、マス・メディアでそれにつて言及されることも少ない。色々な意見があるかもしれない。しかし、この文明社会では悲しきかな、地球温暖化を引き起こす原因はあなたであり、私であるのだ。
 私は縁あってNGO熱帯森林保護団体(以下RFJ)の現地視察にスタッフとして2度同行し、ブラジル、アマゾンのジャングルまっただ中、シングー先住民保護区へ足を運んだ。成田から24時間飛行機に乗り、ブラジルを目指す。サンパウロから首都、ブラジリアへ移動、そこから目的地であるシングーまでおよそ1,500km。舗装されていない真っ赤な土道を車で3日間走る。その道のり、ジャングルなど目に入らない。牧場、大豆畑、サトウキビ畑…地平線が360度くっきりと見える程、何もない。文明社会の立場から見れば、経済的利益につながるものが山ほどあるのだが、永遠に得られる利益などではなく、地球の未来に対しては何もない。何よりも、私は日本に生れ育ち、ずっとジャングルの破壊に身を委ね、この先進国の工場裏を知らずにぬくぬくと暮らしてきたことが、ショックで恥ずかしくて仕方がなかった。
 ここで得られた作物の多くが、日本に運ばれ私たちの食卓に届く。例えば、味噌、醤油、豆腐、など大豆由来のなじみ深い食品。日本は大豆の自給率3%であるにも関わらず、スーパーでこれらが売り切れることはほとんどない。その事実をふまえると、広大な大豆畑の行き先が見えてくる。大豆に加え、さらにサトウキビやトウモロコシも石油の代替燃料“エコ燃料”のエタノールとして注目を浴び、そのための開発も進んでいる。日本の大手商社らはブラジルの石油会社との間で2008年からブラジルからエタノールを輸入開始することを決めているし、政府も2010年までにエタノール混合のガソリンを普及させることを決定しているが、それらは早まるかもしれないほどエタノールは盛り上がっている。このような開発には、精製工場の整備、パイプライン敷設と言った輸送インフラ整備も追ってくるので、今までのアマゾン破壊の過程と何ら変わりなく、“エコ燃料、じゃない”エタノールということが簡単にわかる。そして、ひとたび道路が整備されればそこから四方に開発は進む。“健康にいい”とか“環境に優しい”とか、そんな基準は自分で見つけないとダメだと思った。森に暮らす動植物や人々の命、源を奪って“エコ”なんてうんざりだ。
 問題は、CO2の排出量云々など結果がどうなるということじゃなくて、私たちがこの地球でどう生きるか、原因を直視しなければいけないということにあると思う。消費の満足点を知り、リサイクルに頼らず、RFJ代表、南の言葉を借りれば「野生に目覚めなければいけない」ということだ。
 私は現地視察でシングー先住民保護区内に暮らすカヤポ族の集落を訪れたが、彼らの社会には、水道、電気、ガスはもちろん、貨幣経済がない。よく、彼らの生活を原始的とか、文明に対し未発達というかもしれないが、それは私たちの価値観からのみであり、彼らはこの暮らしを選択しているのだ。私たちが今の暮らしを選択したように。現地を訪れて、進化とか、発達などという軸は無意味だと思った。それと対照的にインディオ社会には、寝たきり、いじめ、自殺、殺人など、私たちが深刻な問題として抱えるものが何もなく、彼らは森さえあればずっと生きて行けることを知っている。そしてインディオの長老は言う、「お前たちの世界はいつか滅びるんだろ、どう滅びるか見てみたい。」と。
 つまり、本当の“豊かさ”は、先住民保護区のギリギリまでジャングルをなくして、広大なアマゾンの森に暮らす人々を追いやり、彼らの暮らしを奪わなくても得ることができる。足ることを知り、出来ることを見つけ、行動する。一人一人がこの地球に生まれ、生きる法則はもう見えてきているのではないだろうか。

  地球が今、警鐘を鳴らし始めている中で、森を命の源とするインディオたちのメッセージは私たちへの地球からのメッセージでもあると考え、このたび、RFJは広島市、川崎市においてアマゾン・インディオ文化展をする運びとなりました。

★5月25日〜31日 広島市文化財団アステールプラザ
★7月14日〜9月17日 川崎市岡本太郎美術館

 森を生きる源として、森と共に平和に暮らす彼らの文化には私たちが文明と引き換えに見えなくなってしまったものが多く存在し、それは力強く、鮮烈で、生きる力に溢れていいます。このアマゾンのエネルギーが日本にやってくることに、ワクワクしています。私も、もがき、悩みながら、そのエネルギーをどうにかアマゾンの力になりたいという行動に変えるべく、展示会準備に奔走しています。
 この展示会を通して、一人ひとりがこの地球で生きることの何かの種を受け取って頂けると思います。お時間ある方は是非いらして下さい。

(RFJスタッフ 白石絢子)


熱帯森林保護団体 http://www.rainforestjp.com/

写真上:カヤポ族の偉大な長老、ラオーニと  写真下:インディオの工芸品

                   


No.142=2007年5・6月号

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