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第15回

世界にはかわいいバイブがたくさんあるのだ。

 (文・写真:ほった さとこ)


 セックスって道だなあ。セックスに対して心と身体が解放されているか、納得できているかどうかで、自分の肯定につながっていく。
 セクシュアリティをひらくことは、自分をひらくこと。そこには、異性愛、同性愛、自分で自分のからだを愛すること、みんな平等。恥ずかしいことでも、みっともないことでもない。でも、わたしの連載のなまえは「ヨーニ!」だし(ヨーニとは、ヒンドゥー教やインドで女性の性器、女陰、まんこ、ヴァギナ、あそこ、などと呼ばれている部分のこと)、セックスにはわりと積極的に取り組んできたつもりだけど、それでも、まだまだセックスの道のり、自分のセクシュアリティをオープンにしていくって時間がかかる。難しいなあ。最近では、日本で一般的に流れている情報の多くが男の射精を中心にしたセックスなんだと納得した。きっと世界中ではもっといろんなセックスがあって、オナニーまたはマスターベーションがあって、豊かな世界が広がっているんじゃないだろうか。そういう意味において『愛のヨガ』(ルドルフ.V.アーバン著/片桐ユズル訳/野草社)はためになる。その昔、この『名前のない新聞』で「愛のヨガ六条」が連載され、それが発展して本になりました。わたしは22才くらいでこの本に出会い、射精や回数が全てじゃないセックスの世界を知り、それはそれは目から鱗でした。
 ということで、ラブピースクラブ。日本で初めてのおんなによるおんなのためのセックスグッズストア。オープンして今年で10年になりました!わたしもお買い物しています。
 ラブピースクラブは、1970年生まれの北原みのりさんが代表。わたしも70年生まれ。同時代の空気を吸って育ち、親たちが背負ってきた価値観とのずれなどをたぶん同じようにビリビリと受け止めてきた人だ。彼女はエロ系フェミニスト!として数冊の著書があり、『週刊金曜日』の書評や、ジェンダーやフェミニズム、レズビアン、ゲイ、FTM(female to male)やMTF(male to female)と呼ばれる身体的な性と自分の認識の性が違う人たちについての発言や映画祭のサポートなどなどなど、骨のある動きをしている女性だ。なので、そういう人が立ち上げ、10年続けて来たラブピースクラブを心から応援したい。

写真左はアクアマンタ・レギュラー、3,654円。プニプニした医療用抗菌ゴムから生まれたマンタのローター。
(ローターとはバイブよりも小型のセックストーイのこと)

 それに、なによりも、かわいいラブグッズがたくさん揃っており、生きている女たちの空気があり、コミュニケーションがある。扱っている商品は、コンドームや布ナプキンをはじめとしたサニタリーグッズ、バスタイムグッズ、国内海外問わず女が創ったものもたくさんある!いろんな形・色のバイブレーター(ものすごくかわいいものばかり!!)やローション、膣の筋肉を鍛えるバーベル、フェティッシュな道具や小物、まんこ・ちんこの形をしたボールペンや人形、下着などなど。それから、DVDやVHSのビデオ、CDもあって、女の視点のエロスを感じることができる。書籍もエロなものからリブ、フェミな評論まである。最近ではフェミ系インディーズミニコミ誌の委託販売もはじめていて、ネットワークもひろがっていきそうだ。こういうラブピースクラブの姿勢やバランスがわたしは好きだし面白いと思う。どの商品にも共通しているのは、身体にとって、危険じゃないこと、かわいくてたのしいこと、差別がないこと。時々ワークショップやイベントを開いていたりもする。ホームページには北原さんのエッセイだけじゃなくて、ただで読んでいいのかなっていくらい、たくさんのコラムが連載されている。わたしはこのコラムたちをちょこちょこチェックさせてもらっている。世界がひろがる。おすすめは渋谷知美さんの「セックスと日本人」。戦後日本に存在し、いまも養成されている受胎調節指導員なる人たちの仕事やその背景についてがいまのテーマ。敗戦後、国がどういう国民を増やそうとしてきたのかがわかる。
 セックスグッズのお店っていうと、電車の中でおじさんがまわりの迷惑を顧みず新聞を広げて、エッチな小説やマンガを読んでいるような貧しいいやらしさを感じてきた。大人のおもちゃのお店に興味津々で行ったこともあるんだけど、セックスが薄汚く見えた。だけれども、セクシュアリティって、ほんとに大事だと思う!だから、ラブピースクラブのホームページやカタログを見ると、すごくうれしくなるのだ。フリーセックスとか、性の解放って言葉は使われるけれど、自分のまわりを見渡すと、案外セックス問題で行き詰まっている。おいしいごはんを食べる、自分にあった睡眠を取る、好きな服を着る、っていうような日常の幸せに、セックスをまぜてあげたい。

↑最新のカタログ。テーマは「The Birth!!」


Feminist Sex Store LOVE PIECE CLUB
http://www.lovepiececlub.com  (TEL. 03-5840-6455)
★ショールームがあります。予約制で男性は女性同伴のみ。詳しくは直接お問い合わせください。

北原みのりさんの本
『はちみつバイブレーション』(河出書房新社/1998年)、『男はときどきいればいい』(祥伝社/1999年)、『フェミの嫌われ方』(新水社/2000年)、『オンナ泣き』(晶文社/2001年)、『ガールズセックス』(共著/共同通信社/2003年)『ブスの開き直り』(新水社/2004年)。

写真はクリックすると拡大表示します。


No.138=2006年9・10月号

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