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第14回

今年の富士山を巡るWPPDの、祈りのかたち。

 (文・写真:ほった さとこ)


 女性性が場として表れるとどうなるのか。ひとつの答えを、富士山を巡るWPPD2006でわたしはもらった。 
 夏至の日、わたしは富士山の麓、山中湖にいた。World Peace & Prayer Day 2006(せかいへいわといのりの日/略してWPPD)の実行委員として。そして司会者として。
 今年のテーマは「祈りのかたち」。踊りや富士山の信仰、日本という国について、聖なるお話、ジャンピング・マウス、アートなど、祈りのさまざまなかたちを集まった人たちでシェアし、最後に全員で大きなサークルを作り、祈りを捧げた。
 スタッフは約40人で、男は1/4くらい。圧倒的に女が多く、実行委員長も女。男女の比率だけが理由ではないけれど、結果として女性性が強く表れてきて、やわらかく、心地のいい場となったのではないだろうか。
 わたしは夏至の日まで、何回か会場へ下見や打ち合わせに行った。その都度目的が異るし集まる面々も違っていたけれど、いらいらと怒る人もいなくて、みんな穏やかな顔で笑い合っていた。準備の段階で調和は生まれていた。
 夏至の6月21日、山中湖に200人以上の人たちが祈りのために集まった。
 朝の10時が過ぎ、富士山で日常的に行なわれている自衛隊の演習による大砲の音が鳴り響く中、プログラムを始める。会場は晴れ渡り、湖畔からは富士山がくっきりと見えた。

 最初のプログラムはminaluさんたちの舞。広場には赤い布が敷かれ、天からきれいなものが舞い降りてきたようだった。広場の周りは大きなケヤキやブナ、アカマツの木々、植物たち、動物たちに囲まれていて、その日陰で赤ちゃんたちが休んだり、はしゃいだりしていた。お昼ごはんは参加者やスタッフが持ち寄った野菜などですいとん汁をシェアして食べた。おいしいごはんで幸せが染み渡る。
 最後のプログラムは「祈りの輪」。そこに集まった全員で大きなサークルを作り、火を囲み、地球、大地、すべてのつながるいのちに祈りを捧げ、総当たりでハグや握手をして、出会ったことを確認しあった。
 次の日、花火みたいなハプニングが起こった。帰る時間が迫ったころ、ゲストスピーカーのコエン・エルカさんたちがベリーダンスを披露、内なる力の放たれる様が周囲に伝わり、ひとり、またひとりと輪に入り、踊り、歌い、昨日からの身体と心にぎゅっと留まっていたエネルギーを天や地、生き物たちに放した。最初はおんなばっかりの踊りの輪で圧巻。そして男も入ってきた。人が火になったみたいだった。

 今回のスタッフが一番多く発した言葉は「ありがとう」。そして最後の最後まで、誰も大きな声を出して怒鳴ることがなかった。責任の押しつけや上下関係はなく、配慮があって、ほほえみがあって、お互いの存在を受け入れ、それが今年の富士山を巡るWPPDの祈りのかたちとなったと思う。といってもスタッフとしては、後から課題があれこれと見つかった。これらも誰かを責めることもなく、みんなでシェアして、次につなげて行ったらいいんだろう。
 女性性は、男も女ももっている要素。自分の中の女性性をもっと大事にして日常で発揮したら、いのちがもっと大事にされて、戦争がなくなるところまでいかないかなあ。いってほしいなあ。よし、いってみよう。


World Peace & Prayer Day せかいへいわといのりの日
6.21.2006 by Mt.Fuji, at Yamanakako

 一九九四年にアメリカ合衆国のウィスコンシン州で全身が白い毛で覆われたバッファローが生まれ「ミラクル」と名付けられる。白いバッファローは大平原で暮らしてきたネイティブ・ピープルにとって神聖なものの象徴であり吉兆だった。また「地球がひとつになる新しい心の時代のはじまり」の印であり、平和を作っていくのか、あらゆる生き物が絶滅に向かう時代を進むかの選択をする時がきていることを意味した。
 ラコタ族の精神的指導者であるチーフ・アーボル・ルッキングホースは、地球に平和と癒しをもたらすため、古くから人々が祈り集った日のひとつである夏至の日に、世界中の聖地で平和と祈りの集いを開くことを呼びかけ、一九九六年から亀の島である北米大陸の4つの聖地をまわり、二〇〇一年からは地球の4つの方角を巡り、二〇〇四年は日本が選ばれ富士山西側の朝霧高原で開かれ、二〇〇五年は「すべての存在の心臓」と呼ばれる聖なるパハ・サパの地(ブラック・ヒルズ)に戻り、すべてに感謝する儀式が行われた。
 二〇〇四年以降日本の各地でもWPPDが開催され、富士山を巡るWPPDは、昨年は二〇〇四年のスタッフが富士山の南側で集まり1年を振り返り祈りをシェア、そして二〇〇六年の今年は富士山の東側である山中湖で開かれた。来年は富士山の北側で開催の予定。
☆公式サイト http://www.wppd2004.org/wppd2006japan.html

写真上はminaluさんの舞。下はコエン・エルカさん(撮影:井出情児、井出香野)


No.137=2006年7・8月号

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