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『ホピの太陽の下へ
〜女3人、アリゾナを行く〜』のこと

辰巳 玲子

羽倉 玖美子 著 野草社 刊 1500円+税 2005年6月刊


 ホピの国への旅は巡礼である・・・

とこの本の帯に、北山耕平さんはそう書いてくださった。北山さんから送られてきた原稿のメールを見たとき、「魂が近いんだなあ」と、なんだかうれしく、安心もした。ほんとうに、ホピは世界の雛形であり、自分自身を見せてくれる鏡のようだと、しみじみと思うのだ。

 88年の春早く、ホピからの平和のメッセージにわたしは出会い、そして宮田雪(映画「ホピの予言」監督)と一緒に始まったホピへの旅を「巡礼」のようだと思ってきた。授かったひとり娘にもそれを思い、礼(あや)と名前をつけた。この本は、2001年夏に7年ぶりで米国・アリゾナ州ホピ居留地を訪ねたわたしと、当時小5だった娘の礼、そして映画がご縁で88年に知り合った羽倉玖美子さんの「女3人、アリゾナを行く」という副題をつけた旅の紀行文となっている。しかし、旅の臨場感や風情を損なうことなく、はじめてホピやアメリカインディアンに接する方にも彼らの現在の様子や世界観を、私たちなりの眼差しとアプローチで馴染みやすく接してもらえるようにと、資料やインタビューも多く交えて羽倉さんが執筆・構成してくれている。

 その旅からは5年もの時間が経って、ようやく形になったものだが、文章を率先して書き綴り、わたしのお尻を叩き続けてくれたハグさん(羽倉さんをそう呼んでいる。)にとっても、わたしにとっても、正面から自分と向き合わざるをえない5年間だった。なにせミレニアム単位で続いてきた人類のあるひとつの時代が終わりを告げ、新しい時代のはじまりに、まさに立ち会った感がある旅であり、その後わたしたちに訪れた浄化の波もそれ相応に大きなものがあった。

 わたしは、04年春から「ホピの予言2004年版」製作・上映という形でランド・アンド・ライフの活動を再開し、ハグさんはお連れ合いの病と死を通して、ホピの発したメッセージ「精神的な生き方」を具体的に生きようとしている。もう一人の「女」、娘の礼は中3となったが、砂漠の風がばっくんと何かの形になって立ち現れるのはこれからかもしれない。熟成にはそれなりに時間がかかることを知った5年間でもある。

 ホピと出会って今年で17年となった今、何よりも幸せだと思えるのは、自分が地球とつながっており、天が父で、大地が母である、という感覚を得られる聖地と出会えた事に尽きる。ただの地球人であることを思い出し、自分を存在させているいのちの源とつながりながら、いまこの現実を生きることを、わたしはホピを通じて学んできたように思う。

 本を読んでくださったおおえまさのりさんが、「映画『ホピの予言』にまつわるこれからの展望が示されていて、とてもいい本だと思いました。」という感想を述べてくださったことは、わたしにはほんとうにありがたいことだった。

 機会があったらどうぞ手にとってお読みください。

           辰巳玲子 拝



No.133=2005年11・12月号

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