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高橋ゆりこさんへインタビュー

みんな遊びたいし、生きてることを楽しみたい

高橋ゆりこさんは、東京・西荻窪ほびっと村の役に立つ本屋「ナワ・プラサード」の店主であり、ほびっと村学校もやっている。プラサード書店からお店を引き継いで、もう10年。4月11日には10周年記念パーティを開き、お茶のお点前や詩と映像のコラボレーションがあったり、おんなもおとこも一緒にフラで踊ったりして、おとなの遊びの時間が続きました。わたしはほんとに楽しくて、時間が流れ、人がつながっていくことの幸せを感じたのでした。このインタビューはその次の日、楽しかった時間の余韻が残っている中、サクラやケヤキなど、大きな木が新緑で風にそよいでいる公園でゆったり話を聞きました。               (取材・文:ほった さとこ)


──小さい時、何になりたかったですか。
★おとなには早くなりたかったけど、すごく無自覚に生きていて。大きくなってからは社会に対する嫌悪感とかが強かったので、完全にニヒリズムに陥って。就職なんかしないと思ったり。フリーターのはしりだったね。(後日、そうよ!ダンサーになりたかったよ、と聞きました。)
──お店を継ぐ時は、こういう本屋にっていうイメージは。
★プラサード書店の「百姓の本屋」っていうコンセプトが好きだったのよ。実はしっかり継いでるつもり。おんながやってるってことで、やわらかい雰囲気になったし、風通しもよくなったと思うけどね。精神世界が売れなくなってきたよね。変わらないものは野口整体だとか、ほんとによいもの、基本的な食べ物の本とか。もっとからだの本を充実させたい。昔の方がいい本が多かったね。いま出版状況が厳しいから悲しい。プラサード書店は文化の中心だった気がするけど、私の時代はきびしくて、そんな風には作り出せなかった。でも昨日10周年記念パーティをやってみてわかったの。みんな遊びたいし、生きてることを楽しみたいし、それがいろんな文化の形としてあらわれてくれば最高だから、私は遊んでこうって思った。
──ほびっと村学校は、もともとからだのクラスが中心だけど、ダンスも増えてますね。
★そうそう。女は踊りたいよ。男もそうだと思うけど、男のダンスはまだ日本の文化にないからね。男の人が踊るってすてきじゃない。どうして自分が日本に生まれたのかよくわからないけど、楽しい遊びを作り出すにはどうしたらいいのかを、いま考えてるよね。わたしサイズで、ちいさなおまつりとか、楽しいことをやりたい。
──昨日のパーティでのフラを見て、おんなのひとのきれいさを感じました。
★そうだね。でもやっぱりおとこのひとも、自分をきれいだって見直してほしい。いま整体を一生懸命やっているんだけど、私が行きはじめた頃、男の人と女の人のおじぎは違いますってセンセイがおっしゃって、男の人を1列に並べてやらせてね、おじぎし終わったら、みんないい男になったの。すっごく驚いちゃって。よろよろしたおじいさんとか、中年のがんこそうな人とか、20代の頼りなさそうなお兄ちゃんとか、全員男っぷりが上がって、わお〜!男の人ってきれいなんだって思ったよ。おじぎをして、相手を受け入れると、からだもきもちも変わるんだろうね。ぴしっとしているのに、胸は開いているというか。
 ナワプラサードを始めたとき、私は内向的な人間なので、人とつきあうのはどうやったらいいんだって、すごい悩みだったのね。人と胸開いてつきあう、かつ、影響をわーっと受けるんじゃなくて、いい感じで交流しあうことがよくわかってなかった。そういうことを整体だけでなく、いろんなことから今学んでいる気がする。
──ゆりこさんはおんなを意識して本屋をやっていますか。
★うちはサンルームが「おんなのひみつ」コーナーなんだよ。woman's spiritualityに対する言葉が日本語になくて、「おんなのひみつ」にしたの。「おとこのひみつ」もやりたいね。
──小さくて愛のある場所をぼちぼち作って行きたいですね。
★結局それだよね。子供を産まないひとが増えてるでしょ。わたしは子供を産むのは面白かったのよ。大変だったけど、それにまさる喜びがあったから。BLUE NOTEとかスノッブで嫌なんだけど好きなアーティストがくると行ったりするわけ。そこにいる人たちは、結婚適齢期っていうことばが昔あったけど、半分以上は適齢期の女の人なわけよ。その時に、自分が伝統的になったのはびっくりしたんだけど、この人たちの半分は、一生こどもを産まない気かしらって。悲しいやら、変な感じだった。子供を産むのは「いのちのきほん」かなあと思うので残念な気もあって。すごい引き裂かれるんだよね、自分の中が。こういうことを私はしたかったのか、こういう人たちを増やすためにがんばったんか。っていう疑問があったりしてさ。
──かわら版の「へんしゅうこうき」はいいなあ。近々本になるんですよね。
★まだまだ分らないけど、そういう動きになっている。一緒にかわら版作っている、内海朗さんの絵がついて、詩集のような形ででたらなぁ、って思っているけれど、本ってひとりでできることではないので、時間がかかるかも。でもなんとか今年中に出したいなぁ。
──世の中のこと、人と話したことで、ゆりこさんが影響されたこと、揺れたことがシンプルに書いてありますね。
★うん、すごく影響されてる。整体の先生が、「世界で何かが起きれば必ず影響受けるんですよ、みなさん知らないでしょう」っておっしゃるのね。そうなんだろうって思う。自分の経験だけど、同時にみんなが経験することだろうって思って書いているのね。さざ波のような文章を書きたい。自分の小さなつぶやきだけど、他の人も気がついたら、さざ波が起きてた、とか、さざ波とさざ波の間にある静かな水の感じとか、そういう美しいものが好きなんだよね。いま感じる風だとか。あなたの揺れるイヤリングとかね。

■ 役に立つ本屋 ナワ・プラサード 
167-0053 東京都杉並区西荻南3-15-3 http://www.nabra.co.jp/hobbit/
TEL 03-3332-1187 FAX 03-3331-3067 OPEN 12:00〜20:30 定休日なし
 ほびっと村学校『かわらばん』は、ほびっと村学校のニューズレターで年6回発行しています。定期的に読みたい人は@何月号から欲しいかを書いて、A送り先を記入して80 円切手を貼った返信用封筒を、送ってほしい回数分だけ用意して、「ほびっと村かわらばん係」まで送ってください。ゆりこさんの「へんしゅうこうき」や、ナワプラサードのおすすめの本、からだやダンスの講座、ライブなどのお知らせがたくさん載っています。



No.124=2004年5・6月号

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