amanakuni Home Page | なまえのない新聞ハーブ&アロマテラピー | 八丈島の部屋

本誌前号で取り上げたように、いま西表島では大規模リゾート開発が進行中だ。アマナクニでも現地で活動する「西表の自然を愛する会」のHPをつくって協力しているが、このたび工事をストップさせるために広く全国に訴訟の原告を募集することになった。ぜひ協力をお願いしたい。


 日本屈指の貴重な大自然を残す西表島が、いま破壊の危機に瀕しています。
 (株)ユニマット不動産とその関連会社が、西表島のトゥドゥマリ浜(通称月が浜)で、14ヘクタールもの大規模なリゾート開発を計画し、すでに今年3月から着々と工事を進めているのです。
 リゾート開発予定地は、南西諸島最大の河川・浦内川河口の汽水域を覆う、生態学的にも極めて重要な地域に位置しています。トゥドゥマリ浜はウミガメの産卵地でもあり、この5月に2度、そして6月5日にもウミガメの上陸が確認されています。
 西表島では、人々は長い間この貴重で豊かな自然を守り、自然と共存して、生活を築き上げてきました。もしこのままリゾート計画が進行すれば、西表島の生態系に取り返しのつかない破壊をもたらすことは明らかです。また、自然との共存に心を尽くし、営々と築き上げてきた人々の生活も、根こそぎ破壊の危機に瀕することになります。私たちはユニマット不動産側に対し、何度となく交渉を呼びかけてきました。しかしこちらに十分に耳を貸さぬまま、ついに私たちの願いを無視し工事着工に至りました。気落ちする間もなく、私たちは那覇地方裁判所にホテル建築差止の仮処分の申立てを起こすなど、可能な限りの手を打ってきました。
 しかし、現状では、未だ工事を止められる状況にはありません。このままでは、西表島において永久に回復できない自然破壊の恐れがあることを目前にしながら、手をこまねいている外はないのです。これを食い止めるためには、何よりあなたの力が必要です。西表島の自然は、哺乳類の固有種であるイリオモテヤマネコに代表されるように、世界でも稀な、学術的にも極めて貴重な生態系を保持しています。学術的価値が高いこの生態系は、世界中の人々にとって「遺産」と言えるものです。生態系に対する回復不能な破壊がどういう意味を持つか考えるに至っていない一私企業のリゾート開発は、西表島の自然を、そして人類の叡智を貴重ととらえ「遺産」と考えるすべての個人にとって、耐え難い精神的苦痛をもたらすものです。
 西表島の生態系を「世界の遺産」と認識しその保持を願うすべての個人は、「世界の遺産」が叡智の欠如によって安易に破壊されてしまうことを阻止し、環境アセスメントといった適正な処置を促すべく、リゾート開発差止めの訴えを起こすことができます。
 残された時間は、本当にわずかです。私たちは7月にも、この提訴を行いたいと考えています。どうか、原告募集要項をお読みいただき、加入の手続をお取り下さい。
 西表の自然を守れるかどうかは、あなたの手にかかっています!

ユニマットによる西表大型リゾート開発を
人格権侵害に基づく開発差止訴訟で阻止を

                
沖縄県八重山郡竹富町字西表621 
西表リゾート開発差止訴訟原告団呼びかけ人 石 垣 金 星

日本屈指の貴重な自然を残す西表島が、いま大規模リゾート開発の危機に瀕しています。ユニマット不動産とその関連会杜が、西表島の西北部にあり、マングローブ林や多様な生物の生育する浦内川の河口域に位置する“トゥドゥマリ浜”で、2003年6月に公表された計画では14ヘクタールという大型リゾート開発を進めようとしているのです。
 ホテル建設予定地であるトゥドゥマリ浜は、穏やかな美しい砂浜です。この浜は十五夜に月の神様が降り、神の遊ぶ浜として信仰され、地元住民の聖地となっています。付近には天然記念物のカンムリワシ、セマルハコガメなど数多くの貴重な動植物が生育し、浜はアオウミガメの産卵場所でもあります。
 この浜はこれまで何度か開発が試みられたことがあります。ある開発業者はこの浜を勝手に“月が浜”と名づけて開発しようとしました。しかしこの浜にはヌカカと呼ばれる虫が多く発生し、これに刺されると体にシミになって消えないため海水浴に適さないことなどからことごとく失敗してきました。地元ではこの地を汚した者には必ずや「天罰が下る」と言い伝えられています。
 この浜を今、ユニマットグループのユニマット不動産が大規模リゾート開発しようとしています。計画によれば鉄筋コンクリート4階建て全141室という大型リゾートホテルや19棟全98室のコテージなどの大型リゾート施設を次々と建設しようとしているのです。ユニマットグループは、消費者金融、不動産、オフィスのコーヒーサービスなどで事業を拡大し、会長である高橋洋二氏は2001年度の納税額日本一になりました。彼のリゾート開発の手法は巧妙です。まずリゾート計画地に住民登録をして、莫大な額の住民税を自治体に納めて自治体を味方に付けて大規模リゾート開発を進めるのです。この手法で宮古島、小浜島に大型リゾート施設を作りました。高橋氏は、住民登録を竹富町に移して、町の年間予算の3分の1にもなる14億円もの住民税を納めていると言われています。この高橋氏が小浜島に続いて目をつけたのが豊かな自然の残る西表島です。竹富町長は高橋氏の住民登録を「天の声」と歓迎し、このリゾート開発を後押ししています。
開発計画の対象区域は、国立公園の特別地域にまだ指定されておらず、県の環境アセスメントの対象となる20ヘクタール以上という基準にも該当しません。ユニマットはこれをいいことにして計画を進め、県も2002年10月に開発許可を、2003年3月には建築確認をしました。そして建築確認が下りてすぐユニマットはホテル建築工事に着工したのです。これまでユニマットも竹富町も自然破壊を心配する住民と十分な対話や説明を拒んできました。環境アセスメントも十分には行われていません。地元の人たちはを結成してユニマット、県、町に申し入れをしていますが、計画の全貌は未だ知らされていません(なおこれまでの主な経緯は「西表の未来を創る会」(代表:石垣金星)のホームページhttp://www5e.biglobe.ne.jp/~irimira/ をご覧ください)。

これまで西表の人たちはエコツーリズムの理念を掲げ、自然と観光の両立のために懸命に頑張ってきています。ユニマットの開発計画はこのような西表の人たちの努力を踏みにじるものとしかいえません。地元の人たち100人以上がこの開発を止めるために2003年3月、那覇地方裁判所に開発差止仮処分を申請しました。しかし仮処分の短期間の審理では、この開発がどれだけ西表の自然と暮らしを破壊するかが十分に審理されません。
そこで地元の人たちはこの開発を絶対に阻止しなければならないとの決意の下で、西表の自然を愛する全国、全世界の人たちに声をかけて、日本中の人、世界中の人と共に、ユニマットの開発差止を求める本案訴訟を起こすことになりました。
この差止訴訟の原告となっていただける方は、このユニマットの開発行為によって自分自身の西表の自然を愛する感情が侵害され苦痛に感じる人すべてです。未成年者でも構いません。法的には人格権侵害といいます。大阪空港夜間飛行差止訴訟で大阪高裁は、「およそ個人の生命、身体の安全、精神的自由は人間の存在に最も基本的なことがらであって、法律上絶対的に保護されている。このような人格権は何人もみだりにこれを侵害することは許されない。身体的侵害行為に対してはもとより、著しい精神的苦痛を被らせる行為に対し、その被害が現実化していなくともその危険が切迫している場合にはあらかじめ侵害行為の禁止を求めることができる」としています(大阪高裁昭和50年11月27日判決)。この訴訟では、まさにユニマットの開発行為によって「著しい精神的苦痛を被る危険が切迫」している人はすべて原告となりうるのです。このような自然環境破壊による人格権侵害を根拠に全国から原告を募るのはわが国の環境裁判としては初めての試みです。西表は日本の宝、世界の宝です。西表の自然を守り、西表の人たちと共に西表の発展をめざし、未来を創りたいと考えている人が裁判に関われるのは当然です。
 この5月17日の大潮の夜、トゥドゥマリ浜にアオウミガメが上陸し産卵しました。今も続々アオウミガメが産卵に上陸しています。地元の人たちは驚きこれは神の使いと信じています。

 ムリムリ ヌ ヤマメーマ  
 (森に住むセマルハコガメが)
 ウブトゥ ウリ カミ ナルケ 
 (海に下りて海がめになるまで)
 バガケラヌ イヌチ シマ トゥ 
 (我々の命も西表島と共に)
 トゥミ アラショーリ    
 (いついつまでもありますように 神様)

 第一陣の差止訴訟を7月に起こす予定です。全国から1000人の方に原告になってもらうのが目標です。どうか一人でも多くの方々がこの訴訟にご参加くださいますようお願い申し上げます。私たちには西表の神様がついてくれています。

原告募集要項
 西表島における、(株)ユニマット不動産とその関連会社によるリゾート開発を差止めるため、建設差止訴訟、その他必要な手続を行います。
 自然を愛し、西表島の生態系を世界遺産=世界の共通財産と認識し、その保持を願うすべての個人は、性別・年齢・住所・国籍・職業・思想信条その他、いかなる事由を問わず、原告となることができます。
 原告となるために必要な費用は1人あたり1万円、学生・未成年者・竹富町民は5000円です。学生は学生証コピーを、未成年者は戸籍謄本を、竹富町民は住民票か住所の記載のある健康保険証のコピーをお送りください。
 この費用には訴訟提起の費用その他事務手続に必要な費用が含まれています。この裁判は、すべての原告が自己の人格権に基づき建設差止を求めるため、1人1人に裁判手数料が発生しますので、どうしてもこれだけの費用が必要です。
 原告となる人が多ければ多いほど、1人あたりの手数料は少なくて済みます。また、できるだけ多くの原告が参加することがユニマットの開発差止に効果があります。
 ホテル建設工事はすでに着工されておりますので、少しでも早く訴訟を提起することが必要です。そこで、第1次提訴を7月に予定しています。
(7)事情により原告となれない方は、「西表リゾート開発差止裁判を支える会」の会員として加入申込書を送付又はメールしていただき、カンパをお寄せ下さい。個人は1口3000円、団体は1口1万円です。カンパの送金先も、加入費用の振込先と同じです。

原告団加入の手続
 加入希望者は次の書類をお送り下さい。
・原告団加入申込書 
・訴訟委任状  
・住民票又は運転免許証のコピー ※外国籍者の場合、ID番号欄に記載した身分証明書等のコピー
・加入費用の振込票のコピー
・(未成年者の場合のみ)親権者及び本人の記載のある戸籍謄本外国籍者の場合、親権者であることを証明する書類のコピー
・学生は学生証などのコピー、竹富町民の方は住民票や住所の記載のある健康保険証などのコピー                
☆申込の締切りは、2003年7月2日(第1次提訴分)。締切りを過ぎて到着した方については、第2次提訴(提訴日未定)の申込として扱います。
☆送付先:〒102-0073 東京都千代田区九段北4−3−28−302 
東京ゆまにて法律事務所内 西表訴訟原告団事務局 電話 03(3234)0268
-----------------------------------------
★アマナクニ制作のホームページ「西表の自然を愛する会」見てください
http://www.iriomote-love.com



No.119=2003年7・8月号

なまえのない新聞のHome Page

amanakuni Home Page