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パレスチナの写真集を自費出版した

亀 山 亮 の こ と

                (丹下 遊)


 先月、亀山亮が新宿で写真展をやったので沖縄から見に行った。

 「2001年9月11日以降、世界は汚いビジネスを始めた。年に$100で生きている人の上に$1.00,000の爆弾を落とした。
 パレスチナでイスラエル政府は、アメリカの軍事援助の後押しのもとテロリストを一掃しようという名目で、イスラエルに土地を奪われ難民として逃れて生活している人を殺し、家を破壊する。
 メディアは“パレスチナ人は自爆テロをするから、彼らはテロリストだ”というイメージを報道するが、なぜ自爆するのか?なぜ子供たちは生命を賭してまで戦車に石を投げるのか?
 一体全体、誰が本当のテロリストなのか?メディアはちゃんと伝えてこなかったと思う。
 撮影を始めて2年。まだ短い期間だが、伝えられない“影”の部分に、写真によって少しでも“光”が当たればうれしく思う。」(亀山亮写真集・PALESTINE・INTIFADA)

 という文章で始まり。短いけれど、強烈なメッセージだった。そして、この疑問・原因の数々の写真が壁に飾ってある。


 一枚一枚の印画紙にパレスチナの人々の生の感情がはりついている。違う国に生まれてしまっただけで、こうまで日々の現実は違ってしまうのか。自分の置かれた状況に両手放しで嘆き悲しむ老婆。絶望の中で頭を抱える男。
 あまりにも恐ろしい現実に目を背けたくなるが、亮の写真には、人の目を鷲掴みにする何かがある。


 以前から何故亮が、危険を犯してまで写真を撮り続けているのか、不思議だった。亮は、高校生の時には三里塚を撮っていた。「何故、三里塚?」の質問の彼の答えは「だって頭にきちゃうじゃない。」だった。


 2年前、亮はパレスチナでイスラエル軍の放ったゴム被膜弾によって、効き目を失った。そのニュースを聞いた私は、腸が煮えくりかえった。怒りと悔しさと悲しい気持ちを持ち、とにかく凶暴な感情をどうしても抑えることができなかった。その時、亮はこう言った。「遊がそういう気持ちを持っている限り、戦争ってなくならないんだよ。」
 疑問が解けた気がした。多くを語らない亮の言葉が、パズルの様にはまってくる。
 亮の写真から届くメッセージ。それは、どうしようもないまでの人間らしさだ。目を背けたくなるもの、怒りを覚えてしまうもの、笑っちゃうもの、思わず抱きしめたくなるもの、汚くて、儚くて、時にそれは美しい。亮は、そんな人間の全ての感情を心に貼り付けながら、片目でシャッターを押し続けるのだろう。私は彼のその行動に、どうしても優しさを感じる。


 写真展の最後は、瓦礫の中でチューイングガムを膨らます少女の写真だった。彼女にはこれからどんな生活が待ち受けているのだろう。絶望の中に、本当にうっすらと、一瞬だけ希望が見える気がした。
 亮は、いつまで写真を撮り続けるのだろう。時には怒り狂いながら、時にはバカ笑いしながら。私に、何が出来るだろう。まずは知る事から。自分に出来る事、考え出したら少しずつ、地球に優しさが戻って来るのかもしれない。

 以前友達が書いた一行、  
 「世界がほほえむまで。」  
 何度も心の中でこだまする。
                                  (沖縄・遊より)


亀山亮さんへのインタビュー(編集部)

Q■ この写真集は自費出版なわけですね? 写真集をつくるのはどうやったんですか?。またこの写真集を手に入れたい人はどうしたらいいかも教えて下さい。
亮● 写真集は、韓国で作りました。来年写真展を、向こうでします。いつかは未定。
向こうで、写真集も売っています。どこで売ってるかは、ちょっと不明です。印刷、製本を、向こうの人たちが、助けてくれかなり安くできました。本の販売は、メイルで送料別で受け付けています。ただし来年から撮影で、日本にいないときは大幅に発送がおくれてしまうかもしれませんが、なるべく早くします。

Q■ 今までパレスチナを中心に撮ってきたわけですか? もし他の場所やテーマがあるなら教えて下さい。また今後の予定も。
亮● 16歳から写真を始め、三里塚、homeless, メキシコの先住民や、サパティスタ、(サパティスタ民族解放軍)、コロンビア、コンゴ、など。アフリカを長期撮影予定。 

Q■ パレスチナやイラクを撮ってるとしたら、なぜ内戦や戦争などを撮るのかの理由を聞かせて下さい。そこで感じたことなども。
亮●  戦争ばかりに、興味があるわけではなくて、人間の生活、労働、その中での問題、戦いであったり差別であったり、歪みや、影の部分を、撮影してます。いっぱんメディアで報道されないことを。
暗い部分だけじゃなくて、ポジティブのものも撮影します。先住民の祭りとか。

Q■ 撮った写真を発表する場としては、写真展をさいきんやったそうですが、時々やってるんですか? 今後の予定はありますか? 写真集の方は? その他の方法は?
亮● 発表は、雑誌、通信社で、します。 但し、制約が多いので、写真展、写真集、ゲリラ路上写真展、イベントでのスライド、どこでも、なんでも、写真で、強いイメージが、出せる所ならやってます。
都内で、(日本)で、ビルに写真を大きく貼り付ける、写真展を企画してます。今の時期だったら、例えばイラクの写真を貼って(僕自身は、撮影してないけれど友達の写真で)、キャプションは、まだやるのか?アメリカ?小泉? ビルの提供者募集中です。 なるべく人通りが、多い所で。

Q■ 取材に行くにしろ、旅費だけでもかなりのお金がかかると思いますが、どうやって工面してるんですか? 写真を撮ることで食っていけますか?
亮● 金はかかります。バイトをしたり、写真を雑誌に売ったりしてます。今は、パレスチナで撃たれたとき、日本の保険会社から、もらった保険金で撮影してます。 

亀山亮 写真集
『PALESTINE〜INTIFADA』

★A3版32頁モノクロ

★1部1500円・送料310円

★注文はメールで: ryokameyama@hotmail.com
 又はアマナクニまでFAXで。



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