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どんとソロCD三部作


 どんとの急逝は当初、哀しさより無念さが先に立った。遂にこれであの稀有な才能がこのまま封印されるのかと。彼が残した名曲は膨大な量だ。業界では早くから注目されていたが、大きなヒット曲がないと世間では評価されない。しかしどんとファンのパワーは強力で、署名を進めてCDを復刻させたり、各地で様々なイベントが開かれたり、どんとフィーバーばく進中。やはり真理は光を得るのだと安堵する私。いろんなミュージシャン達もどんとの曲のカバーを始めたし、日本の音楽界にどんとが与えた影響の多大さを、ここにきてあらためて実感している。
 とりわけソロ三部作をローザやボガンボス時代しか知らない人、まだどんと体験してない方にも是非聴いていただきたい。業界を離れ、家族と共に沖縄に移住した後のファーストソロ「ごまの世界」は、クーラー無しの三畳間で一人で録音したもの。そこには一切の飾りが省かれた、清々しいありのままのどんとがいる。音的にはそれまでと勝手が違うわけだが、むしろ彼の中の花が浮き立っている。持って生まれた天才としての花である。詩のヒビキのたまらない魅力。心の奥をゆさぶるスピリチュアルな世界。二枚目の「ディープサウス」のジャケットに彼は批評禁止と書いている。本当に珍しいほど裏表のない美しい人だったから、この言葉は深く、彼の到達した世界が見えてくる思いだ。今も家族でどんとの曲を歌って盛り上がったりするが、不意に涙が溢れてくる。哀しさではない。どんとの作品には人類の普遍的なテーマがさりげなく描かれているから、深いところにヒビクのだ。でも決して悲愴感や重たさではない。愛と笑いがあるから。彼の音楽人生は様々なプロセスを経て花開いたことを、この三部作は表していると思う。21世紀はどんとのメッセージが、愛と笑いが世の中に満ちて欲しい。それは希望であり、美しい光そのものだから。ソロ三部作、全部いいから是非聴いてね。

     (中野郁子)



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